複数のアクセスポイントをまとめる仕組み
メッシュネットワークという言葉をご存知だろうか。2017年ごろからメジャーになってきたネットワーク構成のコンセプトで、簡単に言えば複数のwi-fiルーターを束ねてひとつのネットワークとして扱うというものだ。
ルーター同士、そしてそれらにつながる機器を構成図にすると「網の目」のような見た目になるのでメッシュと呼ばれている。
(画像引用元:Google Wifi製品ページ)
https://store.google.com/jp/product/google_wifi_learn
これの利点は、メインのルーターからサブルーター、サブルーターからサブルーター、サブルーターからデバイスと、もっとも速度の速い経路をシステムが自動選択するためネットワーク内のどの場所でも最速の接続ができることにある。
と書くとオフィスや工場など、比較的広い場所で使われるもののように思われるだろう。実際、これまではそういったエンタープライズ利用がほとんどだったが、昨年、Google謹製の「Google Wi-Fi」が登場したことによって家庭での利用も広がっている。
(画像引用元:Amazon)
https://www.amazon.co.jp/Google-Wifi-system-set-replacement/dp/B01MAW2294/ref=sr_1_5?ie=UTF8&qid=1547688037&sr=8-5&keywords=google+wifi
今回の記事では、前編でホームIoTとメッシュネットワークの相性について、後編で実際に筆者の自宅にメッシュネットワークを導入した経緯からその効果をまとめてみる。
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ホームIoTとメッシュネットワークの相性
ホームIoTとメッシュネットワークは相性ばっちり
ほとんどの読者の家庭にもWi-Fiルーターが設置されているだろう。そして、それはおそらく固定電話回線の近くであり、家のすみっこのほうにあると思う。
(画像引用元:Google)
https://blog.google/products/google-wifi/making-mesh-your-wi-fi/
すると、家の中でwi-fiの速度に「ムラ」ができる。
ルーターが設置された部屋がもっとも速く、離れるほどに遅くなり、トイレやバスルーム、寝室といった壁を隔てた空間では4G回線の方が速いのでWi-Fiを切っているということもあるのではないだろうか?
スマホで動画を見る程度なら一時的にWi-Fiを切っても問題ないのだが、Wi-Fi接続のホームIoTガジェットとなると話が別だ。
たとえば、これまでいくつかの記事で「ホームIoTを導入するなら欠かせない」と紹介しているNature RemoはWi-Fiで接続されている。ルーターの位置の問題で接続が不安定になると非常に使い勝手が悪い ーーつまり、エアコンや照明をつけられなくなる。
また、ChromecastやApple TVといったストリーミングデバイスもそうだ。
家の中に発生している「速度のムラ」の中でも遅いところにそれらが設置されていると、せっかく高い料金で契約したNetflixの4Kプランもまるで一昔前のYoutubeのような画質になってしまう。
さらに…と例を挙げればキリがない。AIスピーカー、Zigbeeゲートウェイ、Wi-Fi制御可能なルンバなどの家電類、これらのWi-Fi依存しているすべてのガジェットにとって、ネットワークの「ムラ」はいいことなしである。
そこでメッシュネットワークだ(私の悪い癖なのだが、ようやく本題に入る)。
私の住んでいるマンション(70㎡の2LDK)はそこまで広くもないが、やはりWi-Fiルーターは家の隅っこにあり、家の中で速度のムラがあった。正直、この面積でメッシュネットワークは大げさだと思っていたのだが、実際使ってみると非常に快適である。
(画像引用元:Google)
https://blog.google/products/google-wifi/making-mesh-your-wi-fi/
その設置方法や効果は後編のレビュー記事に譲るが、先ほども例に挙げたストリーミングデバイスは特に効果抜群で、待機時間なしでいきなり4K再生が始まる。
続きは後編で
(撮影:Yuta Tsukaoka)
というわけで、メッシュネットワークがいかにホームIoTと相性がいいかを力説する前編はこれで終わる。
ここまで読んでもまだ、自分の家にメッシュネットワークはやりすぎだろうと感じるかもしれないが、ことネットワークの速度と安定性に関して「やりすぎ」はない。速ければ速いほど、安定していればしているほどいいに決まっているのだ。
というわけで、私は自宅にNETGEARの「orbi」を導入してみた。その設置から使用感レビューを掲載する後編を読めばそれを納得してもらえるだろう。
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