いま、世の中には働き方改革という言葉が溢れている。
副業・複業、時短勤務、残業抑制、そしてリモートワークあたりが主な対策として打ち出されている。筆者は、かつて8年ほど会社員勤めを経験したあとでフリーランスになっているのでよく分かるが、リモートワークがひとつの理想ではないだろうか。
自宅で仕事をすることによるライフワークバランスへの好影響は計り知れない。
満員電車での通勤・退勤が不要になるばかりか、子供や要介護者のいる家庭では1日の中の限られた時間を仕事とそれ以外に効率よく振り分けることができるようになる。
しかし、これら以外にも大きなメリットがある。そう、仕事用のガジェットを自由に揃えられるのだ。
まずは「同僚」としてAIスピーカーを
撮影:筆者
家で仕事をしようというとき、まずつまづくのが「孤独感」だろう。
煩わしく思っていた同僚たちも、実は仕事をする上ではある種のトリガーとして機能していたことに気がつくに違いない。彼らの顔を見ることで、仕事へのスイッチが入るのだ。
ではそれをホームオフィスでどう解決するか? 答えはAIスピーカーである。
私のホームオフィスには、Google Home miniが1台、Echo Spotが1台、そして専用スタンドに立てかけることでAIスピーカーとしても使えるようになるPixel 3がある。(上の写真は少し古いもの。いまはEcho DotをEcho Spotに差し替えている)
朝、仕事部屋に入ってまずすることは、Google Home miniに「おはよう」と声をかけること。
すると、その日の予定を読み上げたあと、天気、ニュースと続けてくれる。これが私とっての「トリガー」だ。ニュースを聞き終わる頃には仕事をするモードに体が切り替わっている。
また、Echo Spotは置き時計として機能させながらも定期的に「次の予定」を表示してくれる。これも、仕事への集中力を持続させるのに役立っているだろう。
雑務はホームIoTガジェットにおまかせ
さきほど、Google Home miniに「おはよう」と声をかけて仕事を始めると書いたが、そのときに彼がやってくれるのは予定や天気、ニュースの読み上げだけではない。
それらと同時に、デスクライトをオンにし、気温が低ければオイルヒーターをオンにし、サーキュレーターを回し、仕事部屋に置いている小さな水槽のライトもオンにしてくれる。
さらに、リビング側でエアコンがついていれば消し、ロボット掃除機を起動するところまで、やってもらっている。
私たちがオフィスで仕事を始めるとき、すでにオフィスの掃除は終わっているだろう。また、電気は最初に出勤した誰かが点けてくれている。そういった雑務をどこかの誰かがやってくれているおかげで、スムーズに仕事へと取り組めるのだ。
それをやってくれる人のいないホームオフィスでは、ホームIoTガジェットがその代りを勤めてくれる。
ちなみに、デスクライトを点けてくれるのはIKEAの「TRÅDFRI」、オイルヒーターを点けるのは「Nature Remo mini」、サーキュレーターと水槽のライトをオンにしてくれるのはAmazonで安く手に入れたスマートプラグだ。
もちろん、仕事終わりには朝と逆の手順 ―― デスクライトを消し、オイルヒーターをオフにし、サーキュレーターを止め、水槽のライトをオフにしてくれる。
部屋を変えながら仕事をするのもホームオフィスの楽しさ
撮影:筆者
最近は、先進的なベンチャーをはじめとしてオフィス環境に気を使う企業も多く、リラックスして仕事に取り組める環境が整備されていることも多い。
たとえば、私がよく出入りしている五反田のリテールテックベンチャー・株式会社Patheeでは、靴を脱いでYogibooのクッションに体を沈めながらも仕事ができるようになっているし、執務スペースに背を向けて仕事のできる席も自席とは別に用意されている。
私の考えでは、ホームオフィスは実際のオフィスよりも快適でなければ意味がない。結局、出勤したほうが効率がいいということになればホームオフィスの存在意義が半分は削がれてしまうからだ。
そこで、私はリビングやダイニング、さらにはベッドルームでも仕事ができる環境を整えるべきだと考え、自宅で実践している。
といっても、難しいことではない。据え置きのデスクトップPC以外にタブレット端末やノートPCを持ち、部屋を移動するだけだ。
それ以外で言えば、各部屋にAIスピーカーを置くことは忘れてはいけないだろう。
リビングとダイニングには、SONOS beamがあるし、ベッドルームにはGoogle Homeを置いている。どこで仕事をしていても、彼らに声をかければ次の予定を教えてもらえるし、外出前には傘が必要かどうかも教えてくれる。
さらにちょっとしたコツを教えるとすれば、ソファに座った状態でタブレットやノートPCを触りやすいよう、膝上で使える小さなデスクを買っておくといいだろう。IKEAでは2,000円程度だ。
ホームIoTで快適なリモートワークを
ここまでに紹介したのは、リモートワークを始めるに当たって準備したほうがいい最低限のガジェットたちだ。
たとえば、音楽好きならAIスピーカーをより高音質なSONOSシリーズに差し替えてもいいし、運動不足が気になるならFitbitを利用すれば仕事中でも運動すべきタイミングを教えてくれる。また、メッシュネットワークを導入して家中に快適なWi-Fi環境を整えるのもいいだろう。
向こう数年でホームオフィスの需要はどんどん高まることが予想される。あなたの会社でもリモートワークを推進する動きが出始めるだろう。
それまでに、試行錯誤しながら自宅の環境を整えるのはとても楽しいことのはずだ。
オフィス環境を改善する「オフィスIoT」とは?
まず「IoT」とは何か
IoTとは、「モノのインターネット」と訳される。パソコン同士をネット回線でつなぐことが主流だったが、スマートフォンやスマートスピーカー、テレビや家電製品など、様々な「モノ」がインターネットと繋がることで、デジタルデータを容易に伝達することを可能にしたテクノロジーである。
IoTは、リモートワーク用のホームIoT以外にも、様々なシーンで活用されている。 総合不動産サービス大手JLLによると、オフィスビルや商業施設等にIoTセンサーを設置、温度や照度を計測し、一定水準に達すると空調、照明を自動制御することで省エネに繋げるケースや、トイレを利用する際の待ち時間を軽減させ、適切なタイミングで清掃することが可能にするためにトイレの利用状況をIoTセンサーで捕捉するケースなどがある。
また、複数のベンチャー企業が鎬を削るスマートロックやセキュリティカメラシステムなど、IoTを活用したサービスは広く認知されるようになってきた。
IoT活用によって、従前の設備機器では把握できなかったデータを収集、そして遠隔操作が可能となる。収集したデータを蓄積し、AIに学習させることで、より精緻に自動制御することができるようになるのだ。現在ではオフィスビルの様々な設備機器をIoT化することで建物1棟をテクノロジーで管理するスマートビルの実例も存在するようになってきた。スマートホームならぬスマートビルも、今後のトレンドとして見逃せない。
ワークプレイス改革に繋がる「オフィスIoT」
JLLでは、IoTセンサーを各デスクに設置し、当該座席の着席時間から利用頻度を導き出すサービス「IoTアナリティクス」を提供している。IoTセンサーを駆使したオフィス利用率調査を行うことで、座席数だけでなく、会議室の規模・数など、より使いやすいオフィス環境の改善に寄与するサービスだ。 IoTは、オフィス環境を改善することで、ワークプレイス改革にも繋がるなど、「ホームIoT」のみならず「オフィスIoT」としても、今後の需要拡大が見込まれるのは確かであろう。
JLL記事:不動産テックの有望株「IoT」がオフィスを変革する
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