ここ数年の間にIoTという言葉が頻繁に聞かれるようになりました。なんとなく言葉の意味は分かっているものの、IoTによって具体的に何ができるのか、その詳しい仕組みまでは分かっていないという方も多いのではないでしょうか。
今回はIoTの簡単な概要や市場規模 、IoTの仕組み 、具体的な活用事例 などを余すところなく紹介していきます。この記事を最後まで読んでいただくことで、IoTを生活やビジネスに活かせるヒントを得ることができます。
企業のなかにはIoTを活用して業務改革に取り組んでいるところも多いですが、自社で具体的に何から取り組めば良いのか分からないという方もぜひ参考にしていただけると幸いです。
IoT(モノのインターネット)とは何か?
IoTとは「Internet of Things」の略称で、日本語に直訳すると「モノのインターネット」という言葉になります。パソコンやスマートフォン、タブレットのような端末だけではなく、今までインターネットとは無縁と思われていたあらゆるものがインターネットにつながり、これまでにない新たな価値を生み出す ことが期待されています。
IoTという言葉が誕生したのは2010年代になってからのことですが、実はIoTという言葉が生まれる以前からその概念は考えられていました。しかし、IoTの要となるセンサーや通信用デバイスが高額であったり、インターネット自体もまだまだ普及前の段階であったため一般的には浸透しづらかったという背景があります。
IoTの考え方に似ているテクノロジーとして、M2Mというものがあります。M2M とは「Machine to Machine」の略称で、その名の通り機械同士が通信を行いデータのやり取りをする仕組みのことを指します。
IotとM2Mの違い
M2M
【機械同士で機能し、その間で完結する】エレベーターのように機械が機械の動きをコントロールするほか、得られた情報はシステム内で完結するのが特徴
IoT
【人間が介したり、インターネットに接続したりする】M2Mで収集されるような情報をインターネットで収集したり、クラウド 上で情報を共有したりできるので、ビッグデータ化できる
センサーを介して機械が通信するIoTと仕組みは似ているのですが、M2Mの場合は人間が介在することがなく、機械が機械を制御するといった用途で使われることが多いです。これは工場の生産ラインやエレベーターなど、長時間にわたって定常的な制御を行う必要があるものに対して有効な方法です。
IoTにおいても機械が機械を制御するということもありますが、それはあくまでも機能のひとつに過ぎません。機械同士だけではなく、人がモノを制御したり、モノから人に通知して知らせるといった機能を有しているのがIoTの特徴です。
また、IoTはAI と組み合わせることもできます。
IoTとAIの違い
IoTを語るうえで欠かせないのがAIの存在です。アルファベットで表記されており、似たシーンで出現するワードなので混同されがちな両者ですが、実はまったく異なるものであることを覚えておかなくてはなりません。
それぞれの特徴と違いについて詳しく解説していきましょう。
IoTの特徴
IoTとAIは人間の体に例えると理解しやすいでしょう。
まず、IoTとは人間の五感に相当するものといえます。手触りや温度、味、見た目、音などを感じる(情報を得る)ことを目的としています。この部分はIoTのデバイスやセンサーが相当する部分ですが、それを頭脳に伝えるための神経の働きをしているのがネットワークの部分です。
人間にとっての手触りや温度といった情報は、IoTの世界ではデータというものに置き換えて考えることができます。
AIの特徴
AIとは人口知能という意味です。その名の通り、人間に例えると脳に相当する部分といえるでしょう。
人間の場合、手触りや温度といった情報は神経によって脳に届いて初めて認識します。IoTとAIの関係も同様に、IoTで得られた情報は何らかの処理をしないと活用することができません。
IoTをデータの収集のみに活用し、人間がデータを処理したり管理するという使い方もできますが、もっとも多いのはIoTとAIを組み合わせてシステムを設計するという方法です。
時間や温度などの条件をAIが判断し、それに適した命令を与えるというのがオーソドックスなパターンです。このように、IoTとAIはそれぞれまったく違う役割を果たすものであり、双方が揃って初めて十分な役割を果たす ことができます。
IoTの仕組みとは? 簡単に解説
IoTは主に「デバイス」「センサー」「ネットワーク」「情報端末」という4つの構成から成り立っています。どれかが欠けてしまうとIoTとしての機能を果たすことができなくなるのですが、これらはどのような役割を果たしているのでしょうか。
4つの構成についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
デバイス
デバイスとはIoTに接続する「モノ」のことです。自動車 や家電製品 、カギ や財布などの貴重品 をはじめとして、IoTに接続するものすべて が対象となります。
現在実用化されているものの中から分かりやすく例を出すとすれば、スマートウォッチ が挙げられます。スマートウォッチは運動量などを計測するために腕に身につけますが、ネットワークに接続されていることで即座にスマートフォンでデータが確認できます。
センサー
IoTの影の主役ともいえるのがセンサー です。さまざまなデータを計測するために、デバイスに取り付けられます。先ほどのスマートウォッチを例に出すと、運動量を計測するためのセンサーが該当します。
スマートウォッチはセンサーが取り付けられていることで初めてその役割を果たすことができます。センサーがなければIoTデバイスではなくなるため、まさに要の部分といえるでしょう。
ちなみにIoTデバイスに搭載されるセンサーは多種多様です。気温や湿度を計測したり、扉の開閉などの動きを知らせたりするものもあります。デバイスの役割に応じて適したセンサーを選ぶ 必要があります。
ネットワーク
デバイスとセンサーによってデータを収集したら、情報端末までデータを転送しなければなりません。ここで重要なのがネットワークです。インターネット通信を行う際にはWi-Fiや携帯電話のネットワークを利用しますが、IoTの場合はこの他にBluetooth を利用するケースもあります。
たとえば農業や漁業にIoTを活用しようとした場合、情報端末とデバイスの物理的な距離が長くなってしまうことも少なくありません。この場合はBluetoothの信号が届かないため、携帯電話ネットワークなどを活用するケースが多いです。
ちなみに、現在の携帯電話ネットワークはLTE(4G)とよばれる規格が主流ですが、近い将来「5G 」という新しい規格が登場します。5GはこれまでのLTEに比べて圧倒的に高速で大容量の通信を可能にします。
現時点ではまだ実用化されていない技術ですが、5Gが登場するとIoT化が一気に前進すると考えられているのです。
情報端末
デバイスで必要なデータを収集したら、最終的にユーザーに対して目に見える形で表示させなければなりません。パソコンやスマートフォンなどが情報端末に相当するものです。
スマートウォッチの場合は、あらかじめスマートフォンとBluetoothでペアリングしておくと自動的にデータが転送されます。スマートフォンで受け取ったデータは、専用のアプリケーションなどで開くとユーザーが見やすいデータとして表示されます。
アプリケーションの管理画面は製品によっても見やすさが異なるため、ユーザーにとってはIoT製品を選ぶうえで大きなポイント にもなります。
IoTの製品によって実現できること
IoTの基本的な仕組みは「デバイス」、「センサー」、「ネットワーク」、「情報端末」の4つから構成されていることを紹介してきましたが、実際にIoTによって何が実現できるのでしょうか。
ここからは、IoTで実現できること として基本的なものを3つ紹介していきましょう。
データを収集する
センサーによって取得されたデータを収集することはIoTの代表的な用途です。たとえば体温や血圧、脈拍、温度や湿度など、センサーの種類によって取得できるデータの種類は無限 にあります。
デバイスを制御する
データを収集し、その結果に合わせてデバイスを制御することも可能です。たとえばエアコンなどの空調設定を変える、決まった時間になったら植物やペットなどに水を与えるといったものです。
データを収集するだけではなく、IoTをより実用的に活用するため に必要不可欠な機能といえます。
デバイス同士で通信する
データの収集やデバイスの制御よりもさらに複雑な処理を実現するのがデバイス同士での通信です。気温や湿度、雨量など複数のデータを参照し、特定の条件となった場合に水を撒くといった条件付きの制御を行う場合に必要不可欠 なものです。
IoTの活用事例は意外と「身近なもの」ばかり
IoTを活用しようと考えたとき、具体的にどのような場所にどのような用途でデバイスを設置するのが効果的なのでしょうか。IoTに適した場所をいくつか取り上げると同時に、具体的な用途を紹介していきましょう。
オフィス内のトイレにIoT?
オフィス内でトイレを利用しようとしたとき、個室に空きがなく困ったという経験はないでしょうか。個室内でスマートフォンを開くと、思っていた以上に時間が過ぎてしまっていたということも少なくありません。オフィスで働く人が多いビルほどトイレは混雑しがちな傾向にあります。
そこで、オフィスの個室トイレに入って一定時間以上が経過すると警告音が鳴ったり、警備員が駆けつけるといったIoTソリューションのニーズが高まっています。
賃貸アパートで高まるニーズ
一人暮らしの人にとって空き巣の被害に遭うリスクはゼロではありません。また、ペットを飼っている場合も留守中にトラブルが起こっていないか不安になるもの。
そこで、自宅の中に防犯カメラを設置し、何らかの動きを感知した場合にスマートフォンに映像を転送することもできます。賃貸アパートやマンションなど、個別に警備会社との契約ができない場合であっても手軽に防犯設備を用意することが可能です。
スマートホーム化の入り口として
「スマートホーム」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思いますが、照明やテレビ、エアコンなどをスマートスピーカー で制御できるIoTソリューションが注目を集めています。
家電製品が多いとリモコンの数も多くなり、テーブルの上が煩雑になりがちです。しかし、スマートホームを実現することによってテレビの音量やチャンネルの変更、エアコンの温度管理などを言葉で話してコントロールすることが可能となります。
現在利用中のほとんどの家電製品を買い換える必要はなく、スマートスピーカーと専用のコントロールデバイスを用意するだけでスマートホームを実現できます。
このほかにも、アイデア次第でIoTが活用できる場所は無限にあります。屋内だけではなく、屋外対応のセンサーやデバイスなども存在しており、一般ユーザーから法人ユーザーに至るまで幅広くIoTを活用することが可能です。現在困っていることや解決したい問題がある場合、IoTの技術を応用することで対応できるかもしれません。
wi-fiやBluetoothの役割とは? IoTと無線技術の関係性
IoTを活用するうえで重要となる無線技術。一口に無線といっても、Wi-Fiや携帯電話ネットワーク、Bluetoothなど多岐にわたります。そこで、IoTで活用される無線の種類と特徴について紹介していきましょう。
Wi-Fi
インターネット接続用のネットワークとしても一般的となったWi-Fi。正式な規格の名称としては「IEEE 802.1a/b/g」が使われ、通信速度や通信範囲によってa/b/gの規格が変わります。自宅や小規模なオフィスなど、半径十数m程度までの範囲の通信に適しています。
携帯電話ネットワーク
屋外などWi-Fiの通信範囲外の場所に適しているのが携帯電話ネットワークです。IoT用のセンサーから発信されるデータはそれほど容量も大きくなく、低速の通信速度であっても十分利用できることがほとんど。
そのため、通信各社では一般的な携帯電話料金に比べて大幅に安くIoT専用プランとして提供しています。一般ユーザー向けに提供されているものではなく、法人向けプランとして提供しているキャリアがほとんどです。
Bluetooth
デバイスと情報端末を常に至近距離で使用するような場合はBluetoothでの接続が最適です。主な用途としてスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスに多く採用されている無線規格でもあります。
LPWA
Wi-FiやBluetoothは耳にしたことがあっても、「LPWA 」という規格を初めて耳にした人も多いのではないでしょうか。LPWAとは「Low Power Wide Area」の略称で、IoT向けの通信方式として今もっとも注目を集めています。
その名の通り「低電力で広範囲」な通信を可能とし、IoTとの相性は抜群に良いです。なかでも低電力である点は見逃せないポイントで、特に電源の確保が難しい屋外などで活躍します。デバイス内蔵の電池は1年以上交換が不要で、あらゆる用途に活用が可能です。
LPWAの実用化事例はまだまだ少ないですが、IoTが広く活躍する社会のなかでは重要な無線通信規格 となります。
読めば語れる、「今日までのIoT市場」について
ITという分野において、過去の歴史を紐解いていくとさまざまなトレンドが波のようにやってきたことが分かります。
1980年代のパーソナルコンピュータの登場、1990年代にはインターネット、2000年代にはブロードバンドやスマートフォン、クラウドなどが爆発的に普及し、今や重要なライフラインとなったことは言うまでもありません。スマートフォンに次ぐ大きな波として、IoTを活用したデバイスが続々と登場するのではないかといわれています。
総務省統計データから見るIoT市場
ITの世界は周期が早いだけではなく、これまで予想もしていなかった革新的な技術が次々と生まれ、私たちの生活を勝手に変えてしまうほどの大きなインパクトを与えるものです。そして、ITの世界で今後どのような技術が発展し市場を席巻するのか、統計データや現在のトレンドを見ることで必然と答えが出てきます。
(画像引用:総務省「IoTがもたらすICT産業構造の変化」)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n2100000.pdf
総務省が発表した統計データのなかで、IoTデバイス数の出荷実績と今後の予測数値が立てられています。2020年度のIoTデバイス数は300億を超えると予測されており、これは世界の人口に換算すると1人あたり4台以上 のデバイスがネットワークに接続されることを意味しています。
2015年の統計のため少しデータは古いですが、IoTデバイス数の推移予測のグラフを見ると一目瞭然。きれいな右肩上がりを示していることが分かります。これは日本国内だけではなく、全世界のIoTデバイス数を予測しているものです。
また、IoTデバイスで取得したデータを管理・制御するためのスマートフォンやタブレット端末の出荷台数も右肩上がりのトレンドであることに変わりません。IoTという言葉が誕生する以前にIoTの仕組みが広がらなかった大きな要因として、デバイスやセンサーが高額であったことは先述したとおりです。
しかし現在、全世界へ多くのデバイスが出荷されると同時にデバイス1個あたりの単価も下がっています。より多くのユーザーが手軽に導入できる環境や条件は整いつつあるため、今後IoT市場は爆発的に拡大していくことは明白であるといえるでしょう。
IoTが注目される理由
今後IoTが世界の市場に大きなインパクトをもたらし、爆発的に拡大していく理由は何でしょうか。
それは、あらゆる産業がIoTによって再定義されるということが挙げられます。ITとは無縁の産業であると思われてきたものも、IoTによって効率化され生産性 が飛躍的に向上するといわれています。
そのため、これまで当たり前だと思われてきた生産方法や働き方もIoTによって大きく転換される可能性があり、産業構造自体が変化していくとも考えられています。
それほど大きな変革が期待できるIoTだからこそ、多くの企業や人がビジネスチャンスと捉えるのは必然的なことといえるでしょう。インターネットやスマートフォンが登場して世の中が大きく変わったように、IoTにも時代を変革する力が秘められています。
IoTを使ってビジネスを展開しようとする企業、または自社の業務にIoTを活用して効率化を図ろうと考える企業など、IoTをビジネスに活用する方法はさまざまですが、いずれにしても次世代の産業界において大きな武器 となることは間違いないといえるでしょう。
ビジネスにおけるIoTの活用例
IoTはあらゆる産業において大きな変革をもたらすとされていますが、具体的にどのような活用例が考えられるのでしょうか。先ほどは一般ユーザーの周りで見かける活用事例についてご紹介しましたが、ここではビジネスにおけるIoTの活用例をいくつか紹介していきます。
農業・漁業への活用
たとえば、これまでITの分野とはもっとも遠い存在であると考えられていた農業や漁業などの一次産業ですらIoTによって技術革新がもたらされると考えられています。
IoTのセンサーを活用することで気象条件の変化をいち早く察知することができ、ビッグデータと連携したAIによって適切な予測が立てられます。結果として今以上に効率的な生産を可能にし、収穫量や漁獲量の向上が期待できます。
在庫管理への活用
一次産業のほか、小売業においてもIoTは有効に活用することができます。在庫管理にIoTを活用することで、過剰在庫を防いだり発注漏れをなくすことにもつながります。
また、規模の大きい小売店舗の場合は自店舗に大きなスペースの倉庫を所有しているケースも少なくありません。倉庫内への不審者の侵入をIoTによって監視し、盗難被害を未然に防ぐことも可能になるでしょう。
大型トラックのタイヤ空気圧監視
日本国内の物流に欠かせないのが大型トラックによる輸送 です。日本国内の流通の9割はトラックが使用されており、私たちの生活に欠かせない存在といえます。
高速道路を使う頻度の高い大型トラックは、タイヤにかかる負担も想像以上に大きいです。あまりにもタイヤを酷使しすぎると、やがてパンクやバーストを引き起こし走行不能になることも。高速道路上でタイヤのトラブルが起こってしまうと大事故につながるため、日々の安全チェックは必要不可欠です。
通常、タイヤの空気圧は自動車が停止した状態でなければ確認することができません。しかし、IoTを活用することによってタイヤ空気圧をセンサーでリアルタイムで確認できるシステムを構築することも可能です。
スマートホーム物件への活用
不動産業界では賃貸物件をスマートホーム化し、先進的な物件であること をセールスポイントとして貸し出すことも有効です。従来の物理的なカギではなく、スマートフォンを活用したスマートロックは代表的な例といえます。
また、先述したようにスマートスピーカーを活用してスマート家電とすることも可能。機械に苦手な高齢者にとっても優しい物件としてアピールできるのではないでしょうか。新たに大掛かりな工事をする必要もなく、初期投資も少なく済むためコストパフォーマンスの高い集客方法といえます。
上記で挙げた事例はほんの一部に過ぎません。このほかにも、IoTは従来のM2Mのような単純で機械的な制御ではなく、AIやビッグデータと連携することでより高度で正確な予測を立てることができます。
IoTは特定の産業やユーザーのみが恩恵を受けられるのではなく、あらゆる分野において産業構造を良い方向に変化させることができるのではないかと期待されています。
次ページ > IoTのメリット・デメリット、真の価値とは
IoTのメリット・デメリット
IoTによって得られるメリットは非常に多いですが、反対にデメリットとなることはないのでしょうか。IoTのメリットとデメリットとして考えられることをピックアップしてみましょう。
IoTのメリット
IoTのメリットとして考えられるのは主に以下の項目です。
革新的な技術によって生活が便利になる
デバイスやセンサーなどが普及すればするほどコストが安くなる
既存のシステムや設備をそのまま流用できるものが多い
新たなビジネスアイデアが誕生する
上記で挙げたポイントはほんの一例ですが、メリットとして考えられるのはまだまだ多くあります。IoTは専用の機材に買い換える必要がなく、既存の設備をそのまま流用 できるものが多いです。そのため、設備投資に回す資金に余裕がない中小企業であってもIoT化を進めることが可能です。
これまで使い慣れた設備がIoT化によって生まれ変わり、より高い生産性を発揮することになるため抜群のコストパフォーマンスといえるでしょう。
IoTのデメリット
IoTの懸念材料として考えられるのが、ズバリセキュリティの問題 です。これはIoTにおいてクリアしなければならない問題で、唯一のデメリットでもあります。
IoTとは常にデバイスがネットワークにつながっている状態であるため、セキュリティ対策を万全にしておかなければハッキングの被害に遭うリスクが高まります。すでにIoT機器へのサイバー攻撃は急激に増加 しており、本格的な実用化を前に万全のセキュリティ対策が必要と言えるでしょう。
IoTの本質や価値について「勘違い」が多い理由
IoTとは「モノがインターネットにつながる」ということですが、この言葉を聞いてもピンと来ない方は多いのではないでしょうか。
これまでIoTの活用事例などを紹介してきましたが、そもそもIoTの本質とは何なのでしょうか。IoTを突き詰めて考えたとき、IoTの真の価値とは何なのかについて、もう少し詳しく紹介していきましょう。
IoTとは手段に過ぎない
まず大前提として、身の回りのモノ全てがインターネットにつながったからといって、今すぐに何か革新的な進化を遂げるということはありません 。当然のことではありますが、IoTをどう活用するのかがもっとも重要なポイントといえるでしょう。
IoTをうまく活用できるか否かのポイントは、身の周りで起こっている問題や出来事をピックアップし、何らかのデバイスを活用して解決できないかを考えてみましょう。
IoTとAIとの違いでも紹介した通り、IoTはデータを収集する人間の手足のようなものに過ぎません。コンピュータが情報を得るための手段であり、その情報を使って何を解決するのか は人間が知恵を絞って考える必要があります。
ビジネスでIoTを活用するために
IoTを活用したビジネスアイデアがなかなか思いつかない方は、IoTで利用できるセンサーはどのようなものがあるのかを調べてみるのも良いでしょう。温度や湿度、動きを感知するもの、光を感知するものなど、あらゆるセンサーが存在します。
そこから得られる情報をIoTのシステムに組み込み、何らかのビジネスに発展させることができないかを考えてみるのもおすすめです。
IoTの現状と未来
今回はIoTの概要や活用事例、メリット・デメリットなどを中心に紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
IoTを活用したシステムやツールは徐々に増えてきていますが、今後も続々と新たなものが登場してくるはずです。つい10年ほど前までスマートフォンは一般的なものではなく、ごく限られたユーザーしか活用していませんでした。
しかし、現在に至るまでの短期間でスマートフォンの需要は爆発的に増え、多くのユーザーがその恩恵を受けています。IoTも同様に、スマートフォンと同じようなイノベーションを起こす可能性があります。
IoTを活用して何を解決するのか、アイデアがもっとも重要ですが、日常の業務や生活のなかにそのヒントは隠されているはずです。