天才だと思うから失望する
AIという言葉が盛んにメディアに出るようになって数年になるが、いまだに多くの人の頭の中では「AI=全知全能」といった勘違いがある。そのAIを冠した「AIスピーカー」もまた、全知全能 ――少なくとも人類よりも頭がいいと思っている人も多いだろう。
自宅で7台ものAIスピーカーを稼働させて使い倒している筆者の目から見ると、それは大いなる間違いだ。AIスピーカーはアホなのである。
そこで、AIスピーカーを導入したて、またはこれから導入しようと考えている読者が失望しないよう、AIスピーカーがいかにアホなのかを紹介しよう。
信じられないような聞き間違い
いちばんよくあるシチュエーションがこれだ。
たとえば「OK,Google、リビングの電気を消して」と言ったのに「リビングデッドについての説明はこちらです」とウィキペディアを読み上げるというようなことは、かなりよくある。
もう眠いのに煌々と明かりのついた部屋で機械音声が読み上げる「リビングデッド」のウィキペディアを聞いている時間は、一種のコンテンポラリーアートさえ思わせる。
何を聞いても「すみません、ちょっとむずかしいです」
これもしょっちゅうあるシチュエーションだ。昨日まで ――いや、さっきまでできていたことが急にできなくなるのも、AIスピーカーの特徴である。
さっき点けたライトを消すために「Alexa、寝室のライトを消して」と頼んでも「すみません、まだわかりません」と答えたりするのだ。
「いや、さっき君が点けてくれたあのライトだよ」などと言っても無駄なので、もう一度、ゆっくり、心を込めてお願いするしかない。
アレックスやアレクサンドラが登場する映画を見るときにはマイクをオフにする
1日の仕事を終えて、軽い夕食を摂ってからハイボールを片手に映画を見るのが私のささやかな楽しみなのだが、そんなときにも注意が必要だ。
アレックス、アレクサンドラ、アレクサンドリア、アレクサンドロスといった名前の登場人物がいないかどうか、ネタバレに最新の注意を払いながら映画情報を調べてからでないと、安心して休息もとれない。
もうおわかりだろうが、これらの名前を自分と勘違いしたAmazon Echoが反応してしまうのだ。当然、そのあとに続くセリフは彼ら(彼女ら)にとっては意味不明なので「すみません、まだわかりません」と言い始める。
ひどく興ざめだ。
考え込みすぎて、失敗する
ちょっとレアなパターンだが、AIスピーカーが考えすぎておかしなことを言い出すこともある。
これまででもっとも驚いたのは「リビングの照明を消して」とお願いしたAmazon Echoが「リビングのテラスアキラというデバイスが見つけられませんでした」と言い出したときだろう。
その瞬間には何がおこっているのか分からずに私のほうがフリーズした。そう、「照明」をきちんと聞き取った上で、なぜか訓読みに変換して「テラスアキラなんていうデバイスは存在しない」と主張しているのである。
なんでこんなことが起こるのか頭の中を覗いてみたいが、分解するとサポートが受けられなくなるのでやっていない。
やっぱりAIスピーカーはアホである
こういった話は挙げていくときりがない。そういうものだと割り切って付き合わないとAIスピーカーに失望するのに3日はかからないだろう。
そこで、ひとつコツを教えよう。
AIスピーカーにお願いするときには「5歳になる姪っ子が手伝いに来てくれている」と思っておくことだ。
5歳だから、まだきちんと聞き取ることができないこともあるし、さっきまでできたことが急にできなくなる(やりたくなくなる)こともある。そして、子供の脳内は大人よりずっと複雑なのでこちらが想定していない答えが返ってくることもある。
そう考えておけば、AIスピーカーはなかなかいいパートナーになるだろう。
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