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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2018.11.10
2019.12.26

これで日本は救われる?ソフトバンク「IoT共創プロジェクト」の内容

記事ライター:Yuta Tsukaoka

200社を超える「共創」プロジェクト

会議中にタブレットを操作している様子

共創という言葉が使われ始めたのはいつ頃だっただろう。同義の言葉「コ・クリエーション(co-creation)」は少なくとも2013年頃には聞かれ始めていたと思う。

大企業が小さな企業や顧客を巻き込む際に使われる「お題目」と化してしまった感もあるこの言葉。しかし、今回ソフトバンクが発表した共創プロジェクトはその本来の意義 ――それぞれの長所を活かして共同でより良いものを創るというところを外していない。

このプロジェクトについて説明されたソフトバンクの開発者向けイベント(2018年11月7日)では、200社以上の協力会社が発表された。その主なものを見てみよう。

 

ソフトバンクのインフラ

ネットワークが広がるイメージ画像

この共創プロジェクトにおいて、ソフトバンクの主だった仕事はネットワークと開発環境の提供である。その先行例として アリババの例があげられ、副社長によるプレゼンも行われた。

登場したランスロット副社長によると、もともとはペイパルのような小口決済サービスから始まったアリペイが、今や多くのビジネスユースケースを持ち社会インフラ化していく過程で、クラウドを支えるネットワーク基盤を強化していくことになったという。

つまり、ソフトバンクのIoT共創プロジェクトは、この順序が逆 ――すでにあるネットワーク基盤を起点に、IoT開発を進めようというものだ。

 

トヨタをはじめとした200社以上での共創

夜間に走行中の白い車

この共創プロジェクトで主幹のソフトバンクに次いで重要なのが、すでにネットワーク分野で協業を発表しているトヨタだ。2020年には5G通信が実用化される。それをにらみ、自動運転車の開発を進めているということである。

トヨタがすでにレベル4(走行条件によってドライバーが不要になる高度自動運転)の開発を進めていることは、すでに記事にしている。ここに、ソフトバンクのネットワークと他社のセンシング技術、そして決済システムを組み合わせることで、買い物困難者を援助する自動運転 ――移動販売車の自動化が進められるようだ。

このように、自動運転ひとつをとっても1社ではとてもまかないきれない。

運転管理のためのシステム開発、道路状況のセンシング、必要に応じたサービスを提供するための各種インフラ、ナビゲーションシステム、そして強固なネットワーク ――ハッキングされて暴走殺人自動車になっては笑えない―― など、多くの企業が力を合わせて「共創」することで実現するのだ。

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回線費用はたったの10円

 

回線費用はたったの10円

散らばったお札と10円玉一枚

社会インフラのIoT化において問題になるのが、回線費用だ。ホームIoTであれば自宅のWi-Fiを使うので問題にならないのだが、5Gのような公共無線通信を利用するインフラIoTの場合には携帯回線と同じように料金が発生する。

これについて、ソフトバンクは当面、1回線月額10円にするという。この金額なら、水道や電気などの各種メーター、信号機などあらゆる場面で通信回線を組み込んだIoT化が見込める。

 

日本がIoT先進国になる未来はあるか?

広いオフィスで複数人が会議をしている様子

かつての日本といえば、ものづくりの帝国であった。「ドイツ人が発明し、アメリカ人が製品化し、日本人が小型化する」というネットミームもあるくらい、世界の製造業で存在感を示していた時代もある。

しかし今はどうだろう。「失われた○○年」の数字を更新し続けている。お家芸の半導体も衰退し、AI開発は完全に出遅れ、データビジネスも振るわない。

そんな状況で、このソフトバンクによる共創プロジェクトはIoT分野で世界に存在感を示す可能性がある。

IoTで重要なキーワードのひとつが、小型化だ。すでにある社会インフラや家電製品のサイズを変えずにネットワーク機能を組み込むことができると、普及のスピードが早まる。それは日本人の得意分野のはずだ。

大いに期待したいものである。

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