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IoTのフレーム問題は「家が目を持つ」ことで解決できる

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IoTにおける「フレーム問題」とは?

フレーム問題という言葉を聞いたことがあるだろうか。

ない?

なかったとしても、つぎのようなシチュエーションなら経験したことがある、または理解できるのではないだろうか。

―― 帰宅してリビングのソファに腰掛け、「アレクサ、テレビをつけて」と話しかけたのに「同じ名前のデバイスが複数あります。どれにしますか?」と返事が返ってきて苛立ちを覚える―― といったシチュエーションである。

これがまさに、自宅IoTにおけるフレーム問題だ。

アレクサは「寝室かリビングどっちのテレビをつければいいか」と尋ねているわけだが、リビングのソファにいるのだから目の前にある「そのテレビ」だと苛立ちを覚えるだろう。

なぜこんなことが起こるのだろうか。こんなことばっかりしているから、人々はAIスピーカーに愛想を尽かしてしまうのだ。しかし、私はAIスピーカーを擁護したい。

これは、AIを「人工知能」すなわち「人間の脳を模倣したもの」と誤解しているからこその苛立ちだからである。もっと正確に記述するなら、AI=Artificial Intelligenceの日本語訳はたしかに「人工知能」だが、いまだに真の意味でのAIは生まれていないのにそれを期待しているからこその苛立ちなのだ。

まず当たり前のことを書くと、AIは人間ではない。あなたのパートナーに同じことを頼めば(怒りを買う可能性もあるが)きっとリビングのテレビをつけてくれるだろうが、同じことを期待してはいけないのである。

なぜか。AIは今のところ「人間の脳を模倣したもの」ではなく「人間らしさを真似しているコンピュータ」にすぎないからである。

人間であれば「常識的に考えて」すぐにわかるようなことを理解するほどには、今のAI、すなわちコンピュータは成長していない。スパコンを使ったとしても同じことである。というのも、この「常識的な」判断を数学的に表現することのハードルが非常に高いのだ。

実際、AIの気持ちに立って考えてみてほしい。目はない。暗闇で、耳をそばだてて主人の言葉を待つ。「テレビをつけて」と聞こえる。この家には寝室とリビングにテレビがある。目はない。主人がどの「テレビ」を指しているのかわからない。

こんな逡巡が彼ら(彼女ら)にはあるのだ。つまり、質問をどの「フレーム」で理解すればいいのかがわからないのである。リビングというフレームの中で出された指示なら当然、リビングのテレビだと考えられる。しかし、目のないAIにとって、フレームは常に「家全体」であり、単に「テレビ」と言われると家中のテレビが対象になってしまうのだ。

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AIが目を持つ日は遠くない

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