ここ数ヶ月ですっかり「戦国時代」状態になった10インチ未満の「小型スマートディスプレイ市場」。
我が家にあるスマートディスプレイたち。
もともとはAmazonのEcho Spotだけだった市場に、まずはGoogleから「Nest Hub」が投入され、その後、Echo Show 5、そしてLenovo Smart Clockと続々新製品が投入されている。
そんな小型スマートディスプレイ市場のニューカマー、Lenovo Smart Clockについて使用感に基づいたレビューをお届けしよう。
ちなみに、開封レビューはすでに公開されているので興味のある方はこちらもぜひお読みいただきたい。
スマートディスプレイではなく「画面付きのスマートスピーカー」
まず断っておかなくてはならないのが、Lenovo Smart Clockはスマートディスプレイではなく「画面付きのスマートスピーカー」だということだ。
スマートディスプレイの最大のメリットは、スマートスピーカーの機能をディスプレイによって拡張し、スマートスピーカーが苦手とする部分を補っていること。
たとえば、このように声で出した指令を文字で表してくれたり、YouTube動画をそのまま流したりできることにあるが、それはできない。
上の写真はNest Hubに指令を出したときのもの。文字で内容が表示されるので、たとえば「聞き間違い」や「言い間違い」によって思うような結果にならなかったときのストレスが非常に小さい。
一方、これはLenovo Smart Clockに指令を出したときの様子。
画面にはGoogle Assistantのロゴが表示されるだけで、特に文字は出てこない。
また、タッチ操作で照明や家電を一つずつ調整することもできない仕様になっている。
Nest Hubでライトを調整する画面。色も細かく指定できる。
同じくGoogle Assistantを搭載したNest Hubにできて、Lenovo Smart Clockにできないことは思いの外多く、それらを寄せ集めて考えてみると、これが「画面付きのスマートスピーカー」でしかないことがよく分かる。
目覚まし時計としてみると、非常に優秀
ただ、ここまで書いてきた「残念な部分」だけで製品の評価をするのは、まだ早い。
なぜなら、「目覚まし時計」だと思えば非常に優秀だからだ。
まず、時計がとても見やすい。余計な情報を排除しているところにも好感が持てる。
また、同じく「目覚まし時計」としての利用を想定されているEcho Show 5よりも明確に優れているのが、
こうして本体上部を叩くことでアラームを止めることができる点だ。
アナログな目覚まし時計と同じ動作を採用しているのは素晴らしい。起きてすぐ「OK Google、アラーム止めて…」と言わなくて良いのだ。本当に素晴らしいと思う。
また、ディスプレイを使った機能は限定的であることをすでに書いたが、天気予報はウェザーニュースから引用した情報を表示してくれる。
朝起きてまず確認したい情報であるだけに、これも気が利いているなと感心した。
Lenovo Smart Clockの背面。左から、電源ポート、マイクのオン・オフスイッチ、そしてスマホなどの充電に使えるUSB-Aポート
また、ベッドサイドに置くことを考えるとスマホ充電に使えるUSB-Aポートが背面にあるのも大きなメリットだ。
結論:スマート目覚まし時計として非常に優秀
というわけで、結論としては「スマートディスプレイの使い勝手を期待するとがっかりするが、目覚まし時計としては非常に優秀」だ。
この製品は、厳密にはスマートディスプレイではなく「スマートスピーカー付き目覚まし時計」というのが正しいところだろう。
Lenovoが製品名に「Smart Clock」と付けたことに強い納得感がある。
一方、競合として意識しているであろうAmazonの「Echo Show 5」は、「目覚まし時計に最適化したスマートディスプレイ」だ。
金額的には数百円しか違わない両機だが、私個人としてはLenovo Smart Clockのほうがオススメできる。
私たちが目覚まし時計と接するのは、就寝前と起床後だけで、合わせても10分程度。
その時間に必要となる機能だけを過不足無く詰め込み、あとは切り捨てることで新しい目覚まし時計の姿を見せてくれた。
実際、我が家ではそれまで寝室に置いていたEcho Show 5は引退し、Lenovo Smart Clockが活躍中である。