AIはデータを食べて成長する
いま、世界中でAI活用が進んでいる。猫も杓子も「AIを搭載しました」「AIでより便利に」の大合唱 ーー細かいことはよくわからないがすごい、という印象を植え付けようと必死になっているように見える。
iedge読者には今さら言うまでもないことがだが、AIとは要するにデータの解析・処理を行うコンピュータプログラムである。その解析と処理のアルゴリズムがそれぞれ適所最適化され、たとえばチェスや将棋は人間よりも強くなったし、Netflixは次に見るべき作品を教えてくれるようになった。
そのようなアルゴリズムの組み立ては優秀なエンジニアがいれば実現できるが、大前提として解析すべき「データ」があってのことである。料理をいくら覚えても、食材がなければ何も作れないということに近い。
チェスや将棋は伝統的に残されてきた棋譜がいくらでも存在するし、Netflixは1億人を超えるユーザーの視聴データが毎日、数百万数千万と流れ込んでくる。
AIが驚きや便利さを提供してくれる裏には常にこのようなデータ群があり、それを活かすアルゴリズムがあるのだ。
次世代経済の覇権を握るのはデータ資本を持つプレイヤー
経済は常に成長 ーーすなわち、少ない元手で多く稼ぐ方向へと動いている。そのため、与信管理や顧客データ管理といった単純作業はAIに取って代わられると言われているし、ウェブサービスの多くはAIの導入によってサービスの利便性を向上させてユーザーを集め、利益を上げている。
すでに経済成長にとって欠かせない重要なパーツとなったAIは、繰り返しになるが良質で大量のデータを必要とする。つまり、データを持っているプレイヤーにこそ、勝利を収める資格があるのだ。
では、そのような ーー経営資源として有効なデータはどこから生まれるのだろう?もし私がそれを知っていたら、絶対に記事になどせず一人で大儲けしているだろうが、残念ながら知らない。しかし、そのヒントとなりそうな例え話を聞いたことがある。曰く、
データとは原油のようなもの。なぜなら、
・不純物が多すぎる
・精製しないと価値がない
・用途に応じて使い道が幅広い
・探せばいろいろな場所から出てくる
・出てくる量や質はまちまち
うまい例えだ。
そう、データはどこにでもある。一見なにもない荒野から、地下に埋まった油田を探し出し、吸い上げて精製する技術があれば誰でも良質のデータを手に入れるチャンスはあるのだ。
データの持つ重要性にいち早く気が付き、ビジネスに活用して莫大な利益を上げている成功者たちがいる。
それが、GAFA ーGoogle, Apple, Facebook, Amazonをはじめとした巨大テクノロジコングロマリットたちだ。
彼らは、無料で使いやすいサービスや誰しもを魅了するガジェットでユーザーを掴んで離さず、データの湧き出る「油田」を占領している。
彼らに勝ちうるデータの油田を見つけることは可能なのだろうか? AI時代の経済はやはり、テクノロジコングロマリットが握ってしまうのだろうか。
データ保護の動き