画面付きのAIスピーカー「Echo Spot」
Amazonがこれまで欧米を中心に販売してきた「Echo Spot」を日本国内でも発売、現在は予約受付中となっている。
球体の筐体に円形のディスプレイ、そしてインカメラとスピーカーというシンプルな構成だが、もちろんAmazonのAI「Alexa」が搭載されている。
すでに50以上のEcho Spot専用スキルが公開されていて、たとえばAmazonによるプロモーションビデオでは「デリッシュキッチン」のレシピ動画をキッチンで見ながら料理をする父娘が登場する。
現行の「Echo Dot」や「Echo」ではレシピを音声で読み上げるだけなので、正直に言ってそれを参考に料理をするというのは現実的ではない。かといって聞いて楽しむようなものでもなく、かなり中途半端な存在だ。
それが、画面があれば必要な材料の一覧や、具材の切り方まで具体的に見ることができるのでかなり使い勝手は向上するだろう。
ライバルはスマホ? タブレット?
このニュースが出たとき、世の中の反響はかなりイマイチだった。
スマホやタブレットと比較して、電源ケーブルと宅内ネットワークが前提となっているこのマシンは中途半端に写ったのだろう。実際、先程の「デリッシュキッチン」の例であればスマホでも用が済む。
だからといって、Echo Spotのライバルがスマホやタブレットというのは、かなり「わかってない」意見と言わざるを得ない。
一応、読者に慮ってフォローしてみると、それら意見はAIスピーカーを利用したことのない層から出ているのかな、と思う。というのも、画面のついていないAIスピーカーでさえ、スマホやタブレットよりも便利に感じる場面があるからだ。
たとえば、手が使えないとき、声で操作できるのは大きなアドバンテージである。アマゾンがプロモーションビデオで「料理中の父娘」を起用したのもこのあたりのメリットを伝える目的があったものと思われる。
しかも、ただ手を触れずに起動できるというだけでなく、起動と同時にアンサーを提供してくれるのはAIスピーカーの大きなメリットだ。スマホであれば、まずは本体を起動して目的のアプリを開き、検索クエリの入力などのアプリの操作を経てアンサーを得るが、これがいらない。
私は仕事の秘書としてAIスピーカーを利用するという記事を書いたが、仕事中に手を離さずに直接アンサーを得られるというのは非常に心地いい経験である。
ただ、入力も出力も基本的に音声のみなので、できることは限られてきた。
先ほど書いたように、レシピのようなものは全く向いていないし、飲食店を探すにも向いてない。住所を音声で告げられたところで覚えられないし、覚えるつもりにもなれないからだ。
そのデメリットをカバーしているのが今回のEcho Spotだと考えるならば、これがどれだけ便利なものか気づいてもらえるだろうか。
Echo Spotに期待したいこと
最後に、私が個人的にEcho Spotに期待したいことを書いてみる。
まず、対応する音楽サービスに「Spotify」を追加してほしい。「Google Music」や「Apple Music」が難しいのは仕方ないとしても、「Amazon Music」以外には「TuneIn」しか対応していないというのは、どう考えてもお粗末だ。
Spotifyで自動生成されるプレイリストから気に入ったものがあったとき、Echo Spotのディスプレイで「♡」をタップする、という使い方ができれば最高である。
次に、地図サービスはきちんとしたものを使ってほしい。
食べログなどのグルメ情報をはじめ、位置情報に関連したサービスは音声のみのEchoではほとんど使い物にならなかった。せっかく画面がつくのだから、Googleマップでいいので、きちんとした使い物になる地図とAPI連携してくれることを願う。
最後に、アバターの実装をしてほしい。
日本ではすぐに使えないようだが、Echo Spotはテレビ通話の機能を備えている。オンラインミーティングのときにPC画面を専有されないのは大きなメリットに繋がるので大歓迎の機能ではあるが、こちらがいつでも「写れる」状態でいるとは限らない。
そこで、バーチャルYoutuberに使われる顔認識と3D技術の組み合わせで自分の代わりにアバターが表示されるようなったら便利だろう。
そもそもカメラを使う必要があるか、と疑問に思う読者もいるだろうが、その必要はあるのだ。IT業界でも意外と考えの古い人物は多く、「動く相手と話したい」と考えている人がたくさんいる。そんな考えが駆逐されることに期待するよりは、EchoSpotにアバター機能を期待するほうが現実的である。
いまAmazonで予約すると7/26に到着するようだ。興味のある方は予約してみてはいかがだろうか。
(画像引用:アマゾンジャパン合同会社)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000829.000004612.html