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2020.11.12
2020.11.12

ワイヤレスイヤホンやヘッドホンだけでなく補聴器にも?Bluetooth LE Audioで世界が変わるかも

記事ライター:ハウザー

最近ではかなり認知度が上がったワイヤレスイヤホンやヘッドホン。それを支えているのがBluetoothオーディオです。しかしながら、現在のBluetoothオーディオは規格が古く、さまざまな問題があります。そこで新たに制定されたBluetooth LE Audioはゼロベースで作り上げられた意欲的な規格。世界を変えていく力があるかもしれません。

この記事のコンテンツ:

  • 様々な規格が乱立する現在のBluetooth
  • 新たに制定されたBluetooth LE Audio
  • 2021年春からBluetooth LE Audio対応機器が登場予定

様々な規格が乱立する現在のBluetooth

ブルートゥース, 接続, ワイヤレス, デバイス, 技術, スマート フォン, デジタル, ディスプレイ

Bluetoothイヤホンを使ったことがある方なら、SBCやapt-X、AACといったコーデックの名前を聞いたことがあるかもしれません。これは、スマホやパソコンのオーディオを圧縮してイヤホンやヘッドホンに伝送するための規格です。

実は、現在のBluetoothで公式に決まっている(=実装が義務付けられている)のはSBCコーデックのみ。しかしながら、SBCは音質が悪く、遅延が大きいという問題があります。

このため、各社が独自に実装しているのがAACやapt-Xといった規格です。これらは確かに音質や遅延の観点でメリットが大きいのですが、Bluetooth公式規格ではないため、必ずしもすべての製品で使えるとは限りません。消費者が自分で対応/非対応を見分ける必要があります。独自規格なのでライセンス料の問題もあります。

また、送信側と受信側が1対1でなければならないなど、Bluetoothにはさまざまな制約があり、現在のBluetoothオーディオは消費者にとっても開発者にとっても不満の多い規格です。

新たに制定されたBluetooth LE Audio

スマート フォン, 手, 維持, 送信, 受信, 波, 技術, ブルートゥース, Wlan, レセプション

そこでBluetooth SIGが新たに制定したのがBluetooth LE Audio。どのような特徴があるのか詳しくみてみましょう。

新コーデック「LC3」を実装

まず、コーデックとして新たにLC3という規格を実装したところが特徴です。

LC3はSBCに比べて約2倍の圧縮効率があります。このため、これまでと同じ使い方をする分には、ワイヤレス通信の必要帯域を下げ、消費電力をおさえることが可能です。

さらに、LC3は幅広いビットレートに対応し、ハイレゾクラスの音源にも対応可能。高効率の圧縮で低消費電力にしたりつながりやすくしたりするのか、高いビットレートで高音質を実現するのか、開発者や使用者が用途に合わせて選ぶことができるのです。

重要なのは、LC3がライセンスフリーで提供されるという点。現在高音質あるいは低遅延をうたっているコーデックは、使用するのにライセンス料がかかる場合がありますが。LC3なら誰でも自由に使うことが可能です。Bluetooth LE Audioで実装が義務付けられているということもあり、かなり使いやすいコーデックであるといえます。

マルチストリーム接続が可能

現在のBluetoothオーディオは送信側と受信側が1対1でなくてはなりません(シングルストリーム接続)。このため、左右独立の完全ワイヤレスイヤホンでは一般に、片方のイヤホンがスマホから音楽を受信し、その片チャンネルをもう一方のイヤホンに転送する形をとっています。この方法には、消費電力の点でもレイテンシの点でも不利であり、左右どちらかが切れやすいという問題が存在。独自にBluetoothの独立したチャンネルで左右のイヤホンに音楽を転送しているものもありますが、これは互換性の問題があります。

これに対してBluetooth LE Audioでは独立チャンネルによる同時接続が可能に。これは、送信側1に対してイヤホン2だけでなく、複数の送信側に対して1つのイヤホンもサポートします。たとえば、オーディオ機器とスマホを同時に1つのイヤホンに接続しておき、それらの音声をミックスすることも可能。何か新たなガジェットが生まれそうな予感がしますね。

1つの音声をブロードキャストすることが可能

また、Bluetooth LE Audioでは1つの音声をブロードキャストすることが可能です。

現在のBluetoothオーディオでは、ペアリングされた機器同士でないと、送信側から受信側に音声を届けることはできません。

これに対して、Bluetooth LE AudioではLE Audio Sharingという規格を実装。1つのオーディオストリームを複数のレシーバが受信することができます。たとえば、1つのテレビの音声を、家族や友人がそれぞれのイヤホンやヘッドホンで聞く場合や、コンサートやイベントで音声をイヤホンで楽しむということも可能に。同時通訳などでも役立ちそうです。

補聴器への応用も

このLE Audio Sharingは補聴器への応用も考慮されています。

現在の補聴器は、耳に届いた音を大きくして聴きやすくすることしかできません。しかしながら、LE Audio Sharingなら、テレビ、ラジオ、オーディオ機器、スマホなど、音を発する機器の音を直接大きくして届けることが可能。また、発話者がマイクを持つことで、その声だけを大きくすることも可能でしょう。

また、前述の複数の音声をミックスする機能を使えば、重要な音を大きく、それ以外を小さくすることもできます。

補聴器のありかた自体が変わりそうですね。

2021年春からBluetooth LE Audio対応機器が登場予定

ヘッドフォン, Soundpeats, ブルートゥース

このようにさまざまな新機能が搭載されたBluetooth LE Audioですが、対応機器は2021年春ごろから登場予定です。

Bluetooth公式規格ということもあり、対応製品はどんどん出てくることでしょう。これからはBluetooth LE Audioに対応しているかどうかでスマホやワイヤレスイヤホン、ヘッドホンを選ぶ時代になりそうですね。

また、補聴器への応用など、これまでになかったような無線オーディオ機器が出てきそうです。世界が変わりそうで、こちらも楽しみですね。スマートホームへの応用もあるかもしれませんね。

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