小型スマートディスプレイ市場を席巻するべく1万円を切る価格で約1ヶ月前に登場したEcho Show 5 。
その2週間後には年に一度のプライムデーセールもあり、なんと5,000円引きとなった。
この「小型スマートディスプレイ市場」には今、GoogleのNest Hub 、そしてLenovoのSmart Clock がいる。
前者はもともとの価格が15,000円ほどするし、後者はEcho Show 5よりも数百円安いが直販の販売網ではAmazon・Googleに決して敵わないので、価格面ではこれからもEcho Show 5の一強状態が続くだろう。
では、実際の使い勝手はどうなのか。
我が家に到着してから1ヶ月の本機をレビューしてみよう。
早々に寝室からは「引退」
Echo Show 5は、もともと寝室に置かれることが前提となった作りだ。
サイズも大型の目覚まし時計くらい、そして起床時間前に画面が明るくなり自然な起床を促す機能 もついている。
我が家でも、到着当初からしばらくは寝室に置いていたが、Lenovo Smart Clockが到着すると同時に「引退」 となった。
というのも、目玉機能のひとつ「起床時間前に画面が明るくなる」に、まったく効果を感じなかったからだ。
5.5インチのディスプレイが多少明るくなったところで、眠りにはなんの影響もない 。よく言えば支障がないし、悪く言えば「自然な起床」にはまったく寄与しない。
よほど枕の近くに置くか、暗室並に暗い部屋で寝ているかでないと意味がないだろう。
また、「目覚まし時計」として見れば、Lenovo Smart Clockのほうがはるかに良くできている。
機能が限定されていてシンプルな構造なのもいいし、何よりデバイスの天面を「叩いて」アラームを止められる のがいい。
Lenovo Smart Clockのレビューは別の記事 にしているので、ぜひそちらを読んでほしい。
寝室に置くなら、こっちだ。
全体として中途半端な印象
スマートスピーカーにはない、スマートディスプレイ独自のメリットはいくつかある。
1.情報がディスプレイに表示され、聴覚だけでなく視覚でも補える
2.音声だけでなくタッチ操作も可能
3.時計など常に情報が表示され、そこにあるだけで暮らしの質が上がる
これらはどのスマートディスプレイを使っていても得られるメリットだが、Echo Show 5の場合「プラスアルファ」を今のところ感じられない。
たとえば、Nest Hubでは「音声での指令が文字になって画面に表示される」 という小さいが重要なプラスアルファがある。また、Lenovo Smart Clockは時計表示に特化していて、時計が非常に見やすい。
一方のEcho Show 5は「ただ画面のついたスマートスピーカー」という印象で、それだけならともかく、様々な情報が入れ代わり立ち代わり表示されるため「時計」としても使いにくいのが欠点だ。
寝室から引退してダイニングテーブルに移ったEcho Show 5
「いま何時かな?」と画面に目をやっても、このようにニュースを表示 していたり、「こんなふうに話しかけてみてください」とAlexaの使い方が表示されていたりする。
もちろん設定で時計表示だけにすることもできるが「開けてそのまま」の状態で使い勝手が良いと感じることができなければ、多くの人にとっては意味がないだろう。
また、Amazonの端末なので「Amazon Prime Video」 を見ることもできる。
タッチ操作で呼び出すか、声で「アドベンチャー・タイムを見せて」など、番組名を指定することも可能だ。
が、動画を見るには正直、画面が小さすぎる。 あまり大きなメリットになるとは個人的には思えなかった。
ただし、これらはNest Hubなど他製品も使っているからこその感想なので、Echo Show 5だけを使っていれば気が付かないか、こんなものかと我慢できるかもしれない。
しかし、価格とAmazonブランドで広まるだろう
ここまで読んでいただければ分かるように、個人的にはGoogle Assistantが搭載された「Nest Hub」か「Smart Clock」の方が優れた製品だと思っている。
が、1万円を切る価格とAmazonブランドの影響力を考えれば、今後もっとも売れる小型スマートディスプレイになることは間違いないだろう。
日々の暮らしに必須の「白物家電」とは違い、スマートディスプレイは暮らしへの「プラスワン」だ 。
その上、この製品が生活をどう豊かにしてくれるのか、多くの消費者は気づいていない。
実際には、常に情報が表示されているオンラインのディスプレイが家の中にあると、会話のきっかけ作りや朝の忙しい時間には便利だが、それに気づいてもらうまでには時間が必要だろう。
となると、まずは価格とプロモーションで強引にでも広める必要がある。
その点、世界最大級の直販メーカーでもあるAmazonは強い 。Googleにも直販サイトはあるが、そこを訪れるのは私達のようなテックギークか、指名買いの顧客だけだ。
Amazonなら、もともとこのジャンルの製品に興味を抱かない顧客にも製品をアピールできるし、何より直販なので値引きもしやすい。実際、冒頭に書いたようにプライムデーでは半額になっていた。
製品そのものの魅力よりも、価格や販売網といった外的要因によってこの製品は売れていくと思う 。
最後に:ディスプレイを活用したスキル開発に期待
ここまで、まぁまぁ「酷評」と言ってもいい内容を書いてきてしまったが、Echoシリーズには「スキル」という強み がある。
まだ画面付きモデルに対応したスキルは多くないのだが、これが充実してくればEcho Show 5の使い勝手も改善するだろう。
たとえば「ヤマト運輸」のスキルでは、クロネコIDと連携させることで受取日時の変更などを画面から指定できる。家族での共用端末という側面があるEcho Show 5でこれができるのは、非常に便利だ。
結論としては「まだまだ中途半端な使い勝手ながらも今後に期待」 といったところだろう。