身の回りのあらゆるものがインターネットへ接続し、データ通信を行う「IoT(モノのインターネット化)」が、段々日常生活に浸透し始めてきました。スマートウォッチに代表されるウェアラブル機器など、さまざまなIoT機器が私たちの生活を便利にしています。
そしてIoTに今やなくてはならないのが、センサネットワークです。センサネットワークはセンサー及び、センサーで取得したデータを処理して通信するチップなどで構成された機器(ノード)が無線でつながっています。センサネットワークは、IoTにさまざまなメリットをもたらします。
今回はIoTになくてはならないセンサネットワークとは何か、そしてその仕組みや構造、IoTにもたらすメリットなど、幅広く解説していきます。
- センサネットワークの意味や仕組み
- IoTにおけるセンサネットワークの役割
- センサネットワークの活用事例
センサネットワークとは
センサネットワークは、前述の通りセンサー及び関連のチップなどで構成されたノードを複数相互接続し、張り巡らせたネットワークのことです。無線で構築するのが前提のため「ワイヤレスセンサネットワーク」とも呼ばれます。
ITというのは軍事目的で開発されたものが民生に転用されるケースも多く(「GPS」も当初は敵の位置把握などを、軍事衛星を通して行うシステムでした)、センサネットワークもその1つです。センサネットワークは当初、戦闘地域を精密に監視するなどの目的で開発が進められていました。
しかし民生でもそのメリットを活かしてさまざまなサービスを提供できるため、軍事目的以外の用途でも広く応用が効きます。センサネットワークは農業、交通、災害対策など、利用場所を選びません。今後IoTとともに、センサネットワークもどんどん普及していくでしょう。
センサネットワークの仕組みと構造
センサネットワークには、次のような技術が利用されています。
各種センサー
センサネットワークという名前の通り、センサネットワークの要となるのは搭載する各種センサーです。一口にセンサーといっても複数のセンサーがあります。
・加速度センサー・・・対象の加速度合の検知(カメラやウェアラブル機器など)
・ジャイロセンサー・・・対象の回転などの検知(カメラなど)
・温度や湿度センサー・・・対象の温度や湿度などの検知(エアコンなど)
上記のように、用途に応じて最適なセンサーを組み込みます。
無線通信技術
センサーを搭載したノード同士を接続するには、無線通信技術が必要です。無線通信技術も1つだけでなく、Bluetooth、Wi-Fi、NFC、Zigbeeなど、特性の異なるさまざまな技術があります。
例えばBluetoothだと電力の限られているウェアラブル端末でも省電力でデータ通信ができますが、その分大量のデータ送受信には不向きです。またWi-FiはBluetoothよりも大量のデータを送受信できますが、省電力性では劣るのでバッテリーを消費してしまいます。ですからセンサネットワークの内容や環境などに応じて、適切な無線技術通信を採用するのが基本です。
上記のセンサーや無線通信技術などが決定したら、次はネットワーク構築に入ります。センサネットワークは、ノードの組み合わせ方によって次のようなタイプ(トポロジー)に分かれています。
・ツリー型ネットワーク
・メッシュ型ネットワーク
・リニア型ネットワーク
スター型ネットワーク
家庭内ネットワークでもおなじみのトポロジーです。「ゲートウェイ(ネットワーク同士をつなぐ、ルーターのような機器)」が中心となり、各機器に接続されているときの形が星のように見えることから、この名前がつけられました。
末端の機器に故障や不具合が発生したときにも、ゲートウェイが無事であれば影響が出ないメリットがあります。ただしその反面、ゲートウェイに異常が出れば接続している各機器の通信にも影響が出てしまうデメリットもあります。
ツリー型ネットワーク
企業のネットワーク構築でよく見られるトポロジーです。根本のゲートウェイに枝分かれするように下位のゲートウェイが接続し、さらに枝分かれして次の機器が接続、を繰り返すことから、ツリー(木)の名がつきました。
スター型のように末端の機器に接続エラーなどが出ても、ネットワーク全体に影響は出ません。ただしこちらも根元のゲートウェイに障害耐性を依存しており、構築するのに時間がかかります。
リニア型ネットワーク
リニア型ネットワークは、センサーやゲートウェイがすべて一列につながっているトポロジーです。一列に接続することで、データ送信距離を伸ばせるメリットがあります。
半面経路途中の機器が故障してしまうと、全機器の通信が止まってしまうデメリットもあります。
メッシュ型ネットワーク
IoT時代の現在、認知度がどんどん上がっているトポロジーです。ノードはゲートウェイに接続するだけでなく、ノード同士でも直接接続します。その際のインターネットの形が網目のように見えることから、メッシュ型ネットワークと呼ばれます。
例えば末端の機器がデータを他機器に送信したいとき、従来のトポロジーだと通信経路が1つしかないので、経路中の機器が1つでも故障していた場合データ通信が不可能になります。しかしメッシュ型ネットワークでは経路Aが使えない場合他機器を通じて経路Bや経路Cなど複数の通信経路を選べるため、ネットワーク中機器にエラーが起こっても、確実にデータ通信できる可能性が高まります。
全機器がお互いに接続しているフルメッシュを構築するのはコストがかかるので、必要な部分だけをメッシュにしているメッシュ型ネットワークも存在します。
センサネットワークとIoTの関係