ショッピングモールに買い物しに行ったときに、ロボットから「いらっしゃいませ」などと声をかけられたことはありませんか?最近はITがどんどん進歩し、ロボットが従業員としてお店で働いている姿も見られるようになりました。こういった人間のサポートが独立でできるロボットは「スマートロボット」と呼ばれます。
スマートロボットでは高精度のAIとインターネット上から取得したデータを処理して組み合わせることで、消費者に対して柔軟な対応が可能になります。将来はお店のスタッフと遜色ない動きをするスマートロボットも現れるかもしれません。
今回はスマートロボットの概要や種類、メリットや活用事例など、幅広くご紹介していきます。
▼この記事でわかる!
- スマートロボットの意味やできること
- スマートロボットの身近な活用事例
- スマートロボットを体感できる製品
スマートロボットとは
スマートロボットとはITを駆使したロボットのことで、「賢い」という意味も込められています。「AI(人工知能)」と「クラウドサービス」を組み合わせることで、高精度で柔軟な処理が可能なロボットです。
これまでのロボットと言えば、人間にプログラミングされた通りの動きのみを行い、製造業などで従業員の作業を補助するようなイメージが一般的でした。しかしITの発達で、従来の枠にとらわれないロボットが登場しました。それがスマートロボットです。
スマートロボットが一般的に注目されるようになったのは、「ソフトバンク」が開発した「ペッパー(Pepper)」が 2014年6月世間にお披露目されたころからです。ペッパーは最新のAIを搭載しており、人の顔や声などの状態から感情を認識する「感情認識機能」が備わっている画期的なスマートロボットです。
ペッパーは感情認識機能などを元に自我を持ち、しぐさや行動などで表現できるとあって、ずいぶん人間的な性質のあるスマートロボットといってよいでしょう。また内部に搭載されているソフトウェアはユーザーの方でカスタマイズ可能で、柔軟に機能を追加できるのも魅力的です。
その特性から、ペッパーは飲食店やショッピングモールなど接客業を中心に導入企業が広まりつつあります。
スマートロボットの種類
スマートロボットには、次のような種類があります。
会話専用タイプ
会話専用タイプは、ユーザーと会話をすることに重点を置いたタイプで、小型のスマートロボットが多いです。代表的な会話専用タイプのスマートロボットは「ソータ(Sota)」です。
ソータは2015年7月にロボットなどの開発、研究などを行う「ヴイストン株式会社」から発売されました。例えば学校の教育でプログラミング学習のサポートを行ったり、商業施設の道案内を行ったりと、主に会話をメインに人間のサポートができるようになっています。
接客タイプ
接客タイプは、会話の他にも手を使ってさまざまなことができるスマートロボットです。ペッパーもこのタイプです。
接客タイプでは会話を元に顧客の接客を行うだけでなく、マニピュレーター(人間の手に当たる部分)の指が1本1本独立しているので、身振り手振りなどを交えてさらに細かく感情表現したり、指差ししたりと手を使った作業も可能です。ただし物を持つようには作られていないので、運搬用途には使えません。
ペッパーは特に有名で、近くの飲食店やショッピングセンターなどで見かけた方も多いのではないでしょうか。
スマホ型タイプ
スマートロボットでもユニークなのがスマホ型タイプです。このタイプはスマホの機能を持ったスマートロボットで、シャープのロボホンが有名です。
ロボホンは「Android」搭載のスマホでもあり、二足歩行型のスマートロボットでもあります。会話機能で楽しくおしゃべりできるだけでなく、二足歩行の利点を活かしてダンスなども踊れます。当然通常のスマホのように電話をかけたり、受けたりすることもできて面白いスマートロボットです。
スマートロボットのできること
スマートロボットは、次のようなことができます。
相手に合わせた会話を行う
スマートロボットは、高精度のAIでクラウド上から取得したデータを処理して出力できます。ですから、例えば「明日の天気は何?」「今日のおすすめ料理は何?」など、相手の会話に合わせた回答などが可能です。
さらにペッパーでは感情認識技術も駆使して、相手の感情まで加味した感情表現を行うことも可能です。
人間と連動して運動する
二足歩行など、人に近い形をしているスマートロボットでは、人間と連動して運動もできます。例えばロボホンのようにダンスを踊ったり、ユーザーの側に移動したりと、自立して行動できます。
スマホと連動した処理を行う
スマートロボットは、スマホと連動した処理もできます。例えばスマートロボットをアプリケーションで遠隔操作して好きな動きをさせたり、入力した文字をしゃべらせたりと、スマートロボット単体よりさらにたくさんの処理ができるようになります。
スマートロボットが生活に与える影響(メリット)
スマートロボットによって、私たちにはどんな影響があるのでしょうか。
既に紹介したようにペッパーを中心にスマートロボットは日常に浸透しつつあります。そしてスマートロボットは無限大の使い道があるので、さまざまな分野で活用が進んでいます。
スマートロボットが日常に浸透することで、私たちは気兼ねなく話せる新しい会話相手を持つことになります。こちらの感情を読み取って日常生活の細かいサポートまでしてくれるようになるかもしれません。
さらに子どもの教育をスマートロボットがサポートする、スマートロボットが接客に対応したりと、至るところでスマートロボットの恩恵を感じるようになるでしょう。
スマートロボットの活用事例
ここからは、各分野ごとにスマートロボットの活用事例を3つご紹介します。
教育分野
教育分野ではプログラミング学習でプログラミングして機能を追加したりと、来るプログラミング教育義務化に合わせたスマートロボット導入が進みつつあります。
また言語教育でもスマートロボットを利用しようという動きがあります。スマートロボットには英語の会話や翻訳機能が備わっているモデルもあり、その機能を活用して子どもたちに英語を学習してもらう狙いです。
福祉分野
福祉分野では介護でスマートロボットが使われる動きが広がっています。高齢者と会話をしたりいっしょに運動したりと、介護をサポートするスマートロボットも登場しており、今後福祉分野ではスマートロボットの活用が進んでいくでしょう。
小売業界
すでにお伝えした通り、小売業界でもスマートロボット導入が進んでいます。ショッピングモールに来店した顧客の案内をしたりなど、スタッフの一員として顧客のサポートが可能です。
スマートロボット開発に取り組む企業
では、スマートロボット開発に取り組み企業を3つご紹介していきます。
ソフトバンク・ロボティクス
「ソフトバンク・ロボティクス」はソフトバンクグループの1つで、ペッパーを開発しました。
ペッパー発表によりスマートロボット業界自体に注目が集まるきっかけを作ったソフトバンク・ロボティクスですが、現在はペッパーだけでなく、AI清掃ロボット「ウィズ(Whiz)」など他のロボットも開発しています。今後も次々と業界を驚かせるようなスマートロボットを開発していくでしょう。
トヨタ
自動運転技術でリード的な役割を担っている「トヨタ」では、「キロボミニ(KIROBO mini)」を開発しています。
キロボミニではスマホアプリなどと連動してユーザーの顔の表情をペッパーのように読み取ったりすることも可能です。そしてユーザーとの会話内容をクラウド上に保存して学習。会話パターンが増えて雑談を盛り上げたりできます。
さらにバスケットボールのできる人型ロボット「キュー(CUE)」なども開発しており、今後の動向に注目です。
ホンダ
「アシモ」などロボット業界では代表的な自動車メーカーである「ホンダ」。ホンダでは人間のように足や腕がないシンプルなスマートロボット「パスボット(P.A.T.H. Bot)」を開発しています。
パスボットは目の前の障害物を自動検知して避ける機能を搭載しています。その精度は極めて高く、移動しながら人間のようにスムーズに障害物を避ける動画も公開されています。詳しい使い道は未定ですが、ホンダはパスボットを始めとしたさまざまなロボットを開発中であり、今後も目が離せません。
スマートロボットが体感できる製品
今までのご紹介でいろいろなスマートロボットを見てきましたが、身近でスマートロボットを体感できる製品は果たしてあるのでしょうか。
先ほどご紹介したロボホンなどは一般向けに販売されましたし、プライベートでもスマートロボットを導入できる土壌は大きくなりつつあります。また子どものおもちゃとしてではありますが、アマゾンなど各ネットショッピングサイトでも1万円程度で購入できるスマートロボットもあります。
スマートロボットが気になる方は、こういった導入しやすい製品を購入して、スマートロボットを実際に試してみてはいかがでしょうか。
スマートロボットの今後について
今回はスマートロボットの概要やできること、活用事例などさまざまなことをご紹介してきました。
かつてはロボットが人間を本格的にサポートするなど夢のような話でしたが、今やペッパーを始めとして、ビジネスでもプライベートでもスマートロボットに触れる機会が広がっています。
今後は増々たくさんのスマートロボットが登場するでしょう。そしてITの進歩とともにより人間に近い動きをするスマートロボットも出てくるでしょうから、私たちも最新情報を見逃さないようにしておきたいですね。