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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2019.06.19
2019.12.19

マンションは「永住」する時代に AIマンションが果たす役割とは?

記事ライター:Yuta Tsukaoka

 

国土交通省が5年に1度実施している「マンション総合調査」の最新版が2019年4月26日に発表された

全国4,200の管理組合と8,400名の区分所有者(分譲マンションの所有者)に対するアンケートによって構成されるこの調査報告書で、今年はそれぞれ1,688管理組合、3,211名から有効回答を得ている。

この中で、特筆すべき項目があった。それが「永住するつもりかどうか」という居住者向けの質問である。

過半数を大きく上回る62.8%の住民が「永住するつもり」と回答しているのだ。この背景には居住者の高齢化という理由も見え隠れする。

その中で、AIマンションが果たせる役割について考えてみよう。

AIマンションとは?

まずは、AIマンションについて解説したい。

いま私たちが普通に使う「スマートホーム」といえば、普通の住宅にあと付けでスマートスピーカーやスマート家電を取り付けることを想像するだろう。

AIマンションはさらに1歩進んでいて、住宅のいたるところにカメラやセンサーが設置され、住人の位置や行動を予測しつつ適切な援助をするというコンセプトの住宅である。

たとえば、アクセルラボが提供している「CASPAR」がそうだ。自宅内にスタンドアロンのステーションが設置され、センサー情報を分析することで住人を援助する機能を備えている。

一例を挙げると、定期的に飲まなければならない薬のある住人に対し「そろそろ薬の時間ですよ」と知らせるといったようなことだ。そして、ここで重要なのが「すでに飲んでいる場合にはお知らせをしない」ということもできるということ

住人の位置と動作を視覚情報だけでなく音声(生活音)などの情報も組み合わせて判断するので、すでに薬を飲んでいるとわかっている場合には黙っていることもできる。

また、AIマンションは学習機能も備える。たとえば、起床時間にカーテンを自動で開けたとき、住人が「半分だけ閉めて」と頼むことが数日続くようなら「朝はカーテンを半分だけ開ける」と好みを覚えていく。

高精度の行動把握と学習機能。この2つで住人をサポートするのがAIマンションである。

マンションに「永住する」ひとびと

では、冒頭で紹介した「マンション総合調査」に話を戻そう。

まずは次のグラフを見てほしい。マンションの区分所有者(分譲所有者)に「永住するつもりか」と尋ねた結果である。

「平成30年度マンション総合調査結果」より

平成11年度の調査ではじめて「住み替えるつもり」を上回り、そこから「永住するつもり」の割合は増え続けている。昨年度の調査では実に62.8%の住人が永住を希望しているという結果だ。

その理由はさまざまだが、次のグラフをあわせて見ると、高齢化がひとつの理由だろうと予測できる。

平成11年度の調査と比較すると、世帯主に占める60歳・70歳代の割合が大きく増加する一方、50歳代以下の住人が減り、約半数が60歳・70歳代となっているのがわかるだろう。

「平成30年度マンション総合調査結果」より

高齢になり、戸建てや新築マンションへの住み替えよりも今のマンションに住み続けることを選択する人が増えているのだ。

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終の住処にAIマンションを

マンション永住時代にAIマンションができること

ここで別の調査データを見てみよう。リクルートが行った「住宅購入・建築検討者調査」の2017年度版だ。

このグラフからわかるように、全体では注文住宅を検討する人が増え続けており、新築分譲マンションの購入を検討している人の数は過去最低となっている。

『住宅購入・建築検討者』調査(2017年度)より
https://www.recruit-sumai.co.jp/press/2018/05/jyutakukentosya2017.html

しかし、これを年代別に見直してみよう。すると、50代・60代では全体平均と比べて「マンション派」が比較的多い。先程の「マンション総合調査」に照らせば、これから永住するであろう年齢層にあたる。

『住宅購入・建築検討者』調査(2017年度)より
https://www.recruit-sumai.co.jp/press/2018/05/jyutakukentosya2017.html
※ 省略線と背景色は筆者による追記

老後を迎えるにあたっての「終の住処」にマンションを選ぶのであれば、AIマンションはいい選択肢といえる。

急に倒れてしまった、というような緊急事態に離れて暮らす家族や親戚に自動で連絡をするとか、火にかけっぱなしで危険なヤカンを住人よりも先に検知するといったエマージェンシーを「家が」気づいてくれるからだ。

もちろん、ロボット掃除機をかけるとか、朝カーテンを開けるといった些細なことを代わりにやってもらえる便利さもあるだろう。

生きている限りは避けられない、パートナーとの別れがあって一人暮らしになってしまっても、自分の緊急事態に気づいてくれる人 ――いや、家があるのは安心なのではないだろうか?

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