「IoT」という言葉が一般に知れ渡るようになり、多くの製品が発売されている。私など、仕事としてそれらと触れている都合上、もはや一般的に使われているものと思い込んでしまう場合があるが、実はそうではないだろう。
「自宅のIoT化」と聞いて、多くの人がまず思いつくのはAIスピーカー。Amazon EchoやGoogle Homeをセール時に買ってみたという人も多いと思う。しかし、その後使わなくなってしまったという人も少なくないだろう。もったいない話だ。
そこで、今回は仕事としてIoTガジェットを買っているうちに自宅がほぼ「IoTホーム」となってしまった筆者の経験と実際の利用シーンをもとに、IoTホームを目指す上での注意点やぶつかりやすい課題などを紹介していこうと思う。
ちなみに、私の家は賃貸である。ここで紹介しているものはすべて、賃貸で利用しても壁紙その他の設備を傷つけない(はずだ)。
まずは「何を自動化したいのか」を考えよう
一番重要で、最初に決めなくてはいけないのがこれだ。
いま、IoTガジェットはやまのように発売されている。スマート電球やスマートプラグは、もはや序の口。カーテンやロールスクリーンを自動開閉するガジェットもあるし、スマートIRリモコンを使えばリモコン操作可能な家電はすべてIoT化できる。アメリカではスマートマットレスなんてのも販売されているらしい。
では全部。と言えるほど金銭に余裕があるのなら、もちろんそれでもいい。
しかし、まずは対象を絞っておき、その後少しずつ買い足していくといいだろう。日進月歩で技術は進んでいるし、それに伴って価格も安くなっていっているからだ。
今回のシリーズ記事では、比較的容易に導入できる「スマート電球」「スマートプラグ」「スマートIRリモコン」そして「AIスピーカー」を中心にしていこうと思う。
つぎに「自動化しないところ」を決めておこう
シリーズの最初となるこの記事では、まずIoTホームを目指す上での準備段階で確認すべきこと、決めておくべきことを解説しよう。
その初歩となるのが、「自動化するところ」と「自動化しないところ」を事前に決めておくことだ。
たとえば、以下は私の自宅だが、見てみると分かるようにトイレとバスルームにはなんら自動化手段を導入していない。
理由は2つだ。
1.バスルームに導入できる防水型のIoTガジェットはあまりない
2.トイレにスマート電球を導入するメリットがほぼない
まず「1」について、これはシンプルに、言葉のとおりである。たとえば風呂であればスマート電球の導入を考えることもできるが、それを動作させる人感センサーに防水型のものがないのが理由だ。
物理ボタンがあるタイプのスマート電球を導入し、ボタンは脱衣所(洗面所)側に設置してもいいのだが、バスルームを照明で演出する趣味がないのでそれも検討から外した。
続いて「2」について。こちらは他の部屋と同じように人感センサーを取り付けることができるのだが、その動作時間が問題となる。
人感センサーは「最後に動きがあってから◯分間、照明を点けておく」というタイマーによって動作するのだが、その「動き」は意外と大きいものが求められる。
トイレであれば、出入りのときと、ペーパーを使っている間しか動きを検知してくれないだろう。
そのタイマー時間を伸ばせばいいと考えるかもしれないが、私の導入したIKEAのTRÅDFRI(トロードフリ)シリーズは「1分」か「5分」しか選ぶことができず、さすがに誰もいないトイレに5分も明かりを点けておくのは気が引けてやめた、という次第である。
と、このように生活スタイルをもとに考えることが重要だ。
たとえば、キッチンとベッドが近いワンルームに住んでいるとしよう。その環境でキッチンの明かりを自動化すると、深夜にトイレへ行ったときキッチンを通りかかれば明かりが自動で点いてしまう。パートナーを起こしてしまうかもしれない。
まとめ:まずは「何を自動化したいか」そして「どこを自動化しないか」
自宅のIoT化を考える上で、最初に考えるべきことをこの記事ではお伝えした。復習すると、世の中に無数にあるIoTガジェットを見た上で「何を自動化したいのか」を決めること。次に、自宅の間取りと生活スタイルを踏まえて「どこを自動化しないのか」を決めることだ。
では、次の記事からは実際に渡しが導入したIoTガジェットを紹介していく。まずは「スマート電球」からだ。