今年のCESで、5Gや自動運転車と並んで専門家の間で話題になったのが「Wi-Fi 6」だ。私もその報を受け、3月にWi-Fi 6の概要を伝える記事を書いた。
その中でも触れたが、これはホームIoTが普及するきっかけの切り札となる技術である。そこで、今回はその技術的な特徴をわかりやすく噛み砕きながら、なぜWi-Fi 6でホームIoTが普及するのかを解説しよう。
これまでのWi-Fiと何が違うのか?
まず気になるのはここだろう。
一言であらわすなら「これまでのWi-Fi規格のいいとこどり」である。いま、家庭やオフィスで使われているWi-Fiはその多くが「IEEE 802.11 n」だろう。または、数年以内にWi-Fiルータを買い替えているのであれば「IEEE 802.11 ac」という規格が使われているかもしれない。
覚えにくいと思うので、この記事の中では「IEEE 802.11 n」を「Wi-Fi 4」、「IEEE 802.11 ac」を「Wi-Fi 5」と呼ぶことにしよう。それぞれ、Wi-Fi 6の登場に合わせて付けられた「あだ名」のようなものだと思ってもらって構わない。数字はそれぞれの規格の登場順だ。
さて。ここでWi-Fi 4と5、それぞれの長所と短所をまとめてみよう。
Wi-Fi 4の長所と短所
長所:2.4GHz帯と5GHz帯の電波を使用しているため、遠くに届きやすい。
短所:速度が遅い。2.4GHz帯で接続中は電子レンジなどの干渉を受けて不安定になることもある。
Wi-Fi 5の長所と短所
長所:速度が速い。5GHz帯の電波のみ使用しているため、干渉に強い。
短所:遠くに届きにくく、広い空間や入り組んだ空間では途中に中継ポイントを設ける必要がある。
と、このように一長一短である。
その大きな理由が「電波の帯域」だ。Wi-Fi 4で使える「2.4GHz帯」はその特性として、遠くまで届き、かつ、障害物を越えていくことができる。一方、Wi-Fi 5で使える「5GHz帯」は速さはあるものの、遠くまでは届かず障害物を越えるのも苦手だ。
また、電波の特性以外にもそれぞれの規格が登場した時代によって「速度の上限」に違いがある。もちろん、あとに登場したWi-Fi 5の方が技術的に進歩しているので速い。同じ5GHz帯を利用した場合であっても、その速度には約16倍の開きがある。
Wi-Fi 6の特徴とは?