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だからIoTは面白い。パナソニックで「枯れた」技術が見事に再生していた

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PLCという名前に聞き覚えは?


(画像引用元:Panasonic)
https://panasonic.jp/p3/p-db/BL-PA100KT.html

「PLC」という通信方式の名前を聞いて「あ〜、懐かしいね!」と声が漏れそうになる読者はいるだろうか。iedgeには一定数、そういった読者がいるだろうと確信しているのだが、きっと私と同年代かそれ以上の年季の入ったテックギークたちだろう。

私がその名前を初めて聞いたのは、学生時代 ――もう15年近く前に家電量販店でバイトしていた頃だ。あそこは私にとって夢の様な職場で、毎日入荷される新製品について同僚たちと語り合ったことを懐かしく思い出す。

PLCもそういった「目新しい」製品のひとつだった。

パナソニックが“それ”を発売したのは2006年。当時はまだWi-Fiが遅く、宅内ネットワークを有線で構成している家庭も多かった。そして、Wi-Fiに対応した製品もまだそれほど多くなく、Wi-Fiカード(これも懐かしい言葉だ)をオプションとしてPCに挿すことのほうが多かったと記憶している。

そんな中、パナソニックの発売したPLCアダプター「BL-PA100KT」は、家庭のコンセントを通じてネットワークを構成するというのだから驚かされた。とても革新的に思えたものだ。2階建て以上の家では皆、配線の取り回しにひどく苦労していた時代に、コンセントのある部屋ならどこにでもネットワークを引くことができたのだから。

しかし、その後はWi-Fiの新規格が生まれるごとに速度が上がり、価格も安くなったことで衰退していった。また、PLCに特有のノイズ問題、そしてスマートフォンなどイーサネットポートを持たないネットワーク機器が普及していったことも、その一因だっただろう。

話題を振りまき、一瞬で過ぎ去る。いまでも日常的に見られる「革新的なガジェット」の行く末をそのまま体現した存在として語り継がれている製品である。

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PLCは10年の時を乗り越えた

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