ついに家が「目」を持った
CEATECへ取材に行ってきた。目的は、このメディア「iedge」の運用元であるアクセルラボのブースである。
アクセルラボが出展したのは主に2つ。ホームIoTガジェットの「alyssa.play」とスマートホームシステム「CASPAR」だ。
前者は、人感センサー・クリッカー・環境センサー・ドア窓センサー・IRコントローラー・ゲートウェイ・ネットワークカメラから構成されるスマートホームキットで、2019年1月30日までにMakuake(マクアケ)で支援することで手に入れることができる。
こちらについても別の記事にしようと思っているが、今回お伝えしたいのは「CASPAR」についてだ。
私はこれまで、ホームIoTは目(カメラ)と組み合わせて運用されるべきだと主張し、その方法について考えてきた。
今のAIスピーカーは事実上、「耳(マイク)」からしか入力ができないので、呼びかけた人物がどこにいるのか分からず、的はずれな ――たとえばリビングのソファから「テレビを点けて」と呼びかけたのに「どのテレビを点けますか?」と返事をするようなことが起こっている。
その点、CASPARは「スーパーセンサー」と呼ばれる壁面埋込み型のパネルの中にカメラを備えている。
中央上がカメラだ。CASPARはこのスーパーセンサーを家の各所に配置することで、住人が「どこにいて・何をしているのか」を観察しながら“自動で”最適な動作をする。
つまり、AIスピーカーから一歩先を行って、家自体が「目」を始めとした各種センサーを持つことでこちらから能動的な働きかけが不要になっているのだ。
CASPARはAIスピーカーではなく「ホームオートメーションシステム」
ここで誤解のないようにはっきり書いておくが、CASPARは ――「ねぇキャスパー」と呼びかけることはできるものの、AIスピーカーと呼ぶのはふさわしくない。言ってみれば、ホームオートメーションシステムである。
CEATECで行われたデモでは、住人が朝起きて「キャスパー、おはよう」と声をかけるところから、ソファに腰掛けて雑誌を読み始めるまでが演じられた。
このとき「おはよう」の言葉とともにカーテンが開けられ、ベッドルームのライトが点灯、ソファに移動するとまたそこのライトが点灯しテレビも点く、という自動化の例を見ることができたが、これだけであれば、今あるAIスピーカーと人感センサーの組み合わせで実現可能だ。
しかし、CASPARは「ただ」カーテンを開けているのでも、「ただ」ライトを点灯しているのでもない。
たとえばカーテンで言えば、使い始めは自動で全開になるが「カーテンを半分閉めて」という指示を繰り返すことで ――デモの中では4日間で、その好みを覚えて5日目からは「おはよう」という言葉とともに「カーテンを半分だけ開ける」ようになると説明された。
また、ソファに座って雑誌を読み始めると点灯するライトも、人感センサーで自動点灯しているのではなく、CASPARのカメラが住人の動作を読み取り「本を読んでいる」と判断したからこそ点いているのだそうだ。
目を持つだけでなく、「気を利かせる」ことを覚えた次世代のホームIoTの姿がそこにはあった。これぞまさに、ホームオートメーションだ。
家に目(カメラ)があるのは不気味?