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視聴傾向ではなくTwitterから解析した「嗜好データ」で映画をおすすめする「TSUTAYA AI」の戦略とは

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Netflixに対抗か? より幅広いデータから映画をおすすめ

最後にレンタルDVDを借りたのはいつだろう。私に限って言えば、もはや思い出せないほど昔だ。今、財布にはTポイントカードの指定席さえない。読者の中にも、そういう人は多いのではないだろうか?

私は、Netflixを始めとしてhulu、Amazon Primeにも加入しているので「映画が見たい」と思ったとき、その欲求が自宅テレビで満たされないということがほとんどない。

サブスクリプションサービスに数千本、加えてAmazonビデオやGoogle Playでレンタル・購入可能な作品も含めれば、さほど映画通ではない私の欲求はほとんど網羅してしまうのだ。私のような環境にある人はおそらく珍しくもなく、世の中にあふれるほどいるだろう。

そんな中で苦境に立たされているのが、TSUTAYAである。そのTSUTAYAが今、ちょっと変わり種のプロモーションを打っている。それが、AIによる映画レコメンドサービスの「TSUTAYA AI」である。

AIによる映像作品レコメンドについては、Netflixが採用してきた評価制度の変遷とともに記事にしたことがある。

毎日数百万、数千万と集まるユーザーの視聴データをバックグラウンドに、それぞれのユーザーに対して「マッチ度」という数値でおすすめ作品を紹介してくれる仕組みなのだが、TSUTAYA AIは明確にそこへ対抗しているように見える。

というのも、TSUTAYA AIは視聴データではなく(そんなもの持っていないのだから当然だ)、Twitterのつぶやきから「趣味嗜好データ」を解析して作品をレコメンドしてくれるのである。

運営元のカルチュア・コンビニエンス・クラブのリリースには以下のような文章がある。

若者言葉や、顔文字・絵文字も含めた72万種類の単語(広辞苑は約24万単語を収録)を認識することができるほか、機械学習によってそれぞれの単語が持つ「意味」を、単語と文章の持つ意味合いの両方から正しく認識することができます。

どれほど「正しく認識」しているのかはブラックボックスの中だが、試みとしては非常に面白い。

Netflixが利用している視聴データは、あくまでも自社サービス内における視聴履歴によって生成されるものなのでサービスに加入したばかりの人には機能しない。サービス利用前であればもちろんのことである。この盲点を上手く突いたプロモーションと言えるだろう。

ちなみに、私にレコメンドされた20作品のうち、執筆時点でサブスクリプションで観られるものが6本、有料でオンライン視聴できるものが3本あった。半分以上はTSUTAYAのサービスを利用しなければ観ることができないという念の入れようである。

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趣味嗜好の解析はビッグビジネス

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