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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2018.08.23
2019.12.04

トヨタが「レベル4」の自動運転実験開始 自動運転の基礎技術とレベルについて再確認しよう

記事ライター:Yuta Tsukaoka

トヨタが2020年の東京五輪に向けて自動運転の実証実験を開始

7月23日、トヨタ自動車は東京五輪に向けて東京の臨海部で自動運転車の実証実験を開始すると発表した。

注目は、その実証実験が「レベル4」であるということであるが、このレベルがどのように分けられているのか、まずは解説が必要だろう。

 

レベル0からレベル5まで分けられている自動運転技術

自動運転車が道を走っている様子

自動運転のレベルは、アメリカの技術者団体SAEインターナショナルが定めた「SAE J3016」という規格に準拠している。日本で言えば「JIS」のような標準化団体のひとつである。

細かい条件はあるが、レベル0からレベル5まで以下の基準が設けられている。

  • レベル0:自動化なし
  • レベル1:自動ブレーキなどの運転支援
  • レベル2:クルーズコントロールなどの部分自動運転
  • レベル3:道路条件などが対応している場合の条件付き自動運転
  • レベル4:走行条件によってドライバー不要の高度自動運転
  • レベル5:あらゆる条件での完全自動運転

いま普通に日本の街を走っているのはレベル0、または自動ブレーキが搭載されたレベル1がメインである。国産車でも日産セレナなど一部ではレベル2の自動運転が実現しており、これはドライバーが操作しなくても前後のクルマや道路の白線などの情報をもとにクルマが運転を支援してくれる。

ただし、あくまで「運転支援」の域を出ておらず通常の運転と同様の緊張感は要求される。

車道を走るAudi
(画像引用:Audi Japan)
https://www.audi.co.jp/jp/web/ja.html

私達がイメージする「自動運転」になるのはレベル3からだ。ここからはシステムが運転を掌握し、勝手にクルマが走るので緊急時以外はドライバーが必要ない。

アウディは新型のA8でこれを実現しており、街中やハイウェイなど道路条件が整っているところで天候や交通量も適切であれば完全な自動運転が実現している。


(video:Audi Japan アウディ ジャパン /YouTube)

そして、今回トヨタが実証実験をする「レベル4」では、ドライバーが不要の完全自立運転となる。ただし、レベル3と同様、道路や環境の条件が整っていることが前提だ。

つまり、オリンピックであれば会場から会場へのスタッフや観客、または機材などの移送でコースが決まっている場合には実現可能と言えるだろう。

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完全自動運転を進める理由

 

なぜ、世界で完全自動運転を目指しているのか?

無人の運転席

いま、世界では「レベル5」の完全自動運転を目指した開発が進められている。Uberはドライバー不要のタクシーを目指しているし、TESLAも精力的に実証実験を繰り返している。

また、FacebookGoogleも開発競争に参加している。これがどういう意味か、わかるだろうか?

UberやTESLAであればその本業に直接関わるので理解しやすいだろう。一方で、FacebookやGoogleの開発意図は理解し難いかもしれない。

しかし、実際のところ大手ITにとって自動運転は重要な課題なのだ。

それは「可処分時間の創出」である。

日本の都市圏では公共交通機関での移動が多いので実感しにくいが、クルマ社会のアメリカでは運転中の時間を「可処分時間」とできればビジネスが拡がる可能性が十分にある。

つまり、ハンドルを握っている時間をそのまま、スマホを握る時間に変えていくということだ。それが実現すれば、一人あたりで1日に数時間、全世界では数百万時間の可処分時間が生まれることになる。さまざまな便利で楽しいサービスを開発する一方で、可処分時間を増やす試みをすることは彼らにとってビジネス拡大に欠かせない一手なのである。

運転席でスマートフォンを操作する男性の手

そこへ、2020年に実現する「5G通信」が組み合わされれば、運転中の時間を映画を見る時間にも変えられるし、テレビ電話を通じた家族との時間にも変えられる。そこにビジネスチャンスがある。

トヨタの「レベル4」の自動運転実証実験も、このレベル5に向けた前哨戦と捉えるべきだろう。世界で完全自動運転が実現したとき、日本が遅れをとらないよう、オリンピックを利用した大規模実証実験でデータを収集するに違いない。

生活を便利にする自動運転技術。この実現を見据えたビジネス開発を今から考えておくことが長い未来を見据えた戦略としては当然、必要になるだろう。

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