NFCカードリーダの導入でSuicaやPASMOが鍵の代わりに
Akerunは、オフィスのドアの鍵のつまみ(サムターン)部分に粘着テープで取り付けるデバイスです。
専用のアプリを使うことで解錠、施錠が行えるようになり、API連携による入退室管理も行えます。これを使えば、タイムカードや出退勤記録への面倒な入力なしに、誰がいつ出勤し、退勤したかが簡単に管理できるのです。
新たに発表されたAkerun Proは、これにNFCカードリーダを付けた製品です。専用アプリの他、手持ちのSuicaやPASMOを登録しておくことで鍵の代わりに使えるようになりました。
NFC対応であれば、社員証の利用も可能です。スマートロックのNFC対応はこれが初で、これによってスマートロックデバイスの使い勝手は大きく広がったといえます。
また、従来のAkerunと比較して、解錠・施錠の速度は15倍にアップ。読み込み時のストレスを感じることなく、スムーズな入退室が可能になりました。
クラウド上で勤怠状況を正確に把握
Akerun Proのもう一つの特徴が、Web上の管理システム「Akerun Manager」を使った入退室管理です。
2017年6月に個人情報保護法の改正が施行され、個人情報を取り扱う全事業所の入退室管理が義務化されました。さらに、働き方改革などの活性化で、正確な労働時間を管理したいというニーズが増えています。
それに応えるのがAkerun Proの入退室管理システムです。Akerun Proを使えば、オフィスへの入室、退室だけでなく、Akerun Proを導入しているコワーキングスペースなどへの入退室も記録できます。
これまでは、自宅以外での作業に関しては出勤管理システムなどへの入力が必要で、自己申告に頼るしかありませんでした。しかし、Akerun Proを使えば、そんな手間をかけることなく、正確な労働時間を把握できるようになるのです。
また、従来の電気錠は、導入コストが50万円近くかかり、さらに専用のカードキーなどを社員それぞれに配布する必要がありました。
一方、Akerun Proは初期費用なし、月額9500円と導入の壁が低く、また、専用アプリやSuica、PASMOを登録することで、鍵の発行や配布の費用や手間も削減。使い方も、粘着テープで鍵部分に貼りつけるだけと、工事の必要もありません。
中小企業など、費用面で電気錠の導入が実現できなかった企業にとっては、待ちに待った製品だといえるでしょう。
進化を続ける「スマートロックロボット」
フォトシンスは、Akerun Proは単なるスマートロックデバイスではなく、「スマートロックロボット」だと強調しています。
従来のスマートロックでは、鍵の開閉や入退室管理が主な機能でしたが、Akerun ProはAPI連携によってその他のさまざまなサービスを利用できる可能性を秘めています。
たとえば、その日の初めての出社を検知してオフィスの電気を点ける、あるいは、その日最後の退社を検知して電気を消すといったこともできるようになります。
また、オフィスを出るときにスピーカーからその日の天気予報を流す、誕生日の社員が出社したときにお祝いの言葉をかける、緊急地震速報を受けて自動解錠するといったことも、今後実現していく方針だといいます。
単なる鍵としてだけではなく、人の生活をサポートするロボットとして、さまざまな場面で役立ってくれるのです。
Akerun Proは、Akerun Pro本体、NFCカードリーダ(内側と外側の2台)、ドアセンサーがセットになっており、Bluetoothで連携します。
すべてバッテリー駆動で、電源は、Akerun Pro本体が「CR123A」を8本、NFCカードリーダで4本使用。ドアセンサーはコイン電池を使用します。いずれも1日数百回の使用で約1年間稼働するとのことで、Akerunの約2倍の稼働時間となっています。
また、ACアダプタによる外部給電にも対応しています。ACアダプタを使っている場合でも、停電時は自動的にバッテリー駆動に切り替わるため、思いがけず扉が開かなくなるということもありません。
電池の残量が少なくなると、アプリやメールによって使用者に通知してくれます。交換用の電池の料金も月額プランに含まれるので、余計な費用もかかりません。
Akerun Proはレンタル専用の製品ですが、家庭で利用したいといった人に向けてAkerunの販売も継続されます。こちらは本体価格38,880円となっています。
勤怠管理やセキュリティには厳しい時代。余計な手間や費用をかけることなく、スマートロックシステムを導入できるAkerun Proは、これからの時代のスタンダードを作っていくかもしれません。