スマホの先進性にかけてはピカイチのHTCが繰り出す次の一手
HTC Desire(2010年)
(画像引用:Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/HTC_Desire
あれは2010年、iPhoneに夢中だった私達をAndroidに目覚めさせた端末があった。HTC Desireだ。
高度なカスタマイズが可能なUI、なめらかなアルミ筐体、SNSとの深い連動など、当時のガジェットボーイズはその先進性に胸を踊らせたものだった。
しかしそれも今は昔。いまのHTCは息も絶え絶えである。2013年に1万3000人だった従業員数が現在では5000人。つい先日も1500人のレイオフを発表したばかりだ。深センの新興スマートフォン企業に勝てなかったというのが大きな理由だが、なんとも寂しいことである。
しかし、HTCは挑戦を忘れなかった。
当初は眉唾と思われていたブロックチェーンを取り込んだスマートフォン「EXODUS」プロジェクトの成果が今年のQ3には発表されると断言したのだ。
スマートフォンとブロックチェーン
とはいえ、読者にとっては「スマートフォン」と「ブロックチェーン」がつながらないという方もいるだろう。ブロックチェーンといえば仮想通貨だが、その2つは必ずしもセットではない。ただ、ブロックチェーンの完全なサステナビリティとリアイアビリティが仮想通貨と相性が良かったということに過ぎない。
ここで簡単にブロックチェーンの仕組みを解説しておこう。
まず、データベースはそれ単体では意味を持たない小さな「ブロック」にわけられ、分散して保存される。それらを「チェーン」のように繋ぎ合わせると初めて、データベースの全体像が現れる仕組みなので、復号鍵情報を他者に渡さない限りは情報を覗き見られることはありえない。
さらにデータベースに変更が生じた場合には、データベースそのものを書き換えるのではなく、書き換え時点からチェーンが分岐していくので変更履歴が永遠に残される。これがシステムとしてのリアイアビリティ(信頼性)の拠り所だ。
そして、各ブロックは分散している上にバックアップが取られるので、特定のサーバーにデータを保存していたこれまでのデータベースと違い、ブロックの一部を持つサーバーが仮に落ちたとしてもチェーンは崩壊しない。これによってシステムとしてサステナビリティ(持続性)も保証されている。
これまで政府やメガバンクによって保証されていた「取引履歴の確かさ」をブロックチェーンによる分散型データベースで保証するのが仮想通貨だ。その保証が揺らがないので通貨として信頼性を持ち、世界的に取引されているというわけである。
話が長くなったが、「EXODUS」はそのブロックチェーンの仕組みをスマートフォンに取り込んでいる。
いま我々が利用しているスマートフォンは、その中にデータベースの全体像を持っているためにデバイスが盗まれることがデータの盗難とイコールでつながってしまっているが、EXODUSはデータ保存にブロックチェーンを利用しているためデータの安全性が飛躍的に高まっているのだ。
端末を買って逆に儲かる?