サーモスタットとは?
サーモスタットは温度変化を検知してスイッチやバルブなどを調整し、設置箇所の温度を所定の温度に自動調節する装置のことを言います。
例えば車のエンジンの水温が上がりすぎないようにラジエーターのバルブに取り付けられていたり、コタツの温度やトースターの温度などが異常に高くなってしまった場合に絶縁状態にして、それ以上の加熱を抑えてくれたりするものです。
アメリカではこのサーモスタットが空調設備と連携して自動調節を行っている住宅が多く、今回ご紹介するNest Learning Thermostatはそのサーモスタットをより高性能に、より賢く改良したデバイスであると言えます。
空調に対する考え方が違う日本とアメリカ
日本では「一日中エアコンをつけっ放しにする」という家庭はほとんどありません。それはその必要性がないということもありますが、節電や電気代の節約といった考え方も大きく、夏でも冬でも外出時にはオフにすることがほとんどです。
一方、アメリカでは「一日中エアコンをつけっ放しにする」という習慣が根強いのが特徴です。常に快適な空間を整えておくことはもちろん、オン・オフを繰り返すよりも電気代がかからなかったり、実は環境面にも優しかったりという考え方があるようです。
「それなら日本には適さないのでは?」と感じる方もいるかもしれませんが、その判断はNest Learning Thermostatの実力を知ってからでも遅くはありません。
早速、どんな機能が搭載されているのか見てみましょう。
Nest Learning Thermostatの機能
簡単に言うと「連携が可能な家電を制御」できるのがNest Learning Thermostatの主な機能ということになります。
具体例をいくつかご紹介します。
例えば毎朝7時に起床するとします。特に冬場などは起きてから暖房のスイッチを入れて部屋が温まるまでしばらくベッドにもぐり込んで待つ、という人も多いのではないでしょうか?
あるいはそのまま二度寝してしまい、大事な用事に遅れてしまった!などという経験がある人もいるかもしれません。
そんな時、Nest Learning Thermostatのタイマー設定をしておけば、朝7時の起床時にはすでに最適な温度になっていて、すぐに動き出すことができます。
また、真夏の猛暑日、外出中にふと家で留守番している子供やペットのことが気になり「熱中症にならないかな」と心配になってしまうことがあります。
そんな時、Nest Learning Thermostatに搭載されている温度センサーをアプリでチェックしてエアコンを遠隔操作でオンにする、ということもできます。
さらに、特筆すべきはNest Learning Thermostat にはAI(人工知能)が搭載されているということです。
これによって使えば使うほど居住者の傾向を把握してくれるようになり、例えば外気温が○度の時は、室温は○度が好み、起床や帰宅は○時くらいだからそれに合わせて最適な空間を創っておく、といったことを学習して実行してくれるのです。
さらに、温度センサーのみならず湿度センサー、光センサーなども搭載されていますので、リビングの照明がついたらオン、消えたらオフ、湿度が○パーセントでエアコン○度にオン、といったことも可能です。
つまり、使い続けていれば、いずれ操作をしなくても自動で居住者にとって最適な空間を創り出すために働いてくれるということになります。
またAuto Awayと呼ばれる機能では、エアコンがオンになっているにも関わらず長時間不在であることを検知すると自動でオフにしてくれます。
ただ、室温の下限を決めておくこともできますので、Auto Away機能によってエアコンがオフになっても、所定の温度を下回ったら再度エアコンがオンになって27度に保つといったことは可能です。
日本では特に、夏場の高齢者や子供の熱中症が増えています。
室内にいても起こりうる危険性があり、また本人が気づかないうちに熱中症になってしまうケースも少なくありません。
Nest Learning Thermostatに搭載された温度センサー、湿度センサー、そして人工知能によって常に最適な室内環境を保つことができれば、このようなリスクを大幅に減らすことができるのではないでしょうか。
使ってみると本当に便利!日本で普及する日は近いかも?
今回はNest Learning Thermostatについて解説してきましたが、ここでは紹介し切れない機能もあるうえに、Nest Labs社の他のデバイスと連携させることでより便利に使える機能もあります。
Nest Labs社はGoogle傘下ということもあり、現在Googleから発売されているスマートスピーカー「Google HOME」を介して「Ok Google,~」で音声コマンドを送ることも可能です。
現在第3世代まで発売されていて、価格は35,000円前後と比較的高額なイメージがありますが、これだけの機能を兼ね備えたデバイスですから、快適性や利便性、そして健康面への貢献などを考えると逆に安いと感じるかもしれません。
日本で使用するには規格の問題やサポート体制などいくつかクリアしなければならない課題もありますが、もしそれらがクリアになり、価格がもう少し下がれば、日本でも一気に普及する可能性は大いにあるデバイスではないでしょうか。
*参考までにAmazon.co.jpでの販売ページをご紹介します。