元来Vivint Smart Homeはセキュリティシステム販売会社だった
アメリカのユタ州プロボに本部を置くVivint Smart Homeの前身となるのは、1999年に設立された「APX Alarm Security Solutions」という企業で、サードパーティー社製のセキュリティシステムを販売したり、設置したりするというのが主な事業内容でした。
その後、2011年頃から現在のスマートホーム(コネクテッドホーム)ソリューションへと事業内容を転換した訳ですが、Amazon、Google、Philips、Nest、Appleなどのようにスマートホーム関連の“ガジェット”を販売するのではなく、“サービス”を提供するというのがVivint Smart Homeの大きな特徴です。
たとえば月額制のサービスに加入することで、Vivint Smart Homeのスタッフが専用アプリを使ってコントロールすることができる「照明」「サーモスタット」「玄関の鍵」などを自宅まで取り付けに来てくれ、操作方法を説明してくれます。
また、利用中にもし何らかの不具合や不都合が生じた場合にも24時間対応してくれるほか、スタッフによる遠隔操作で対応できない場合は現地までスタッフを派遣してくれます。
これは、どういったニーズに応えているのでしょうか?
近年、スマートホーム関連のIoTデバイスは世の中に続々と登場しています。その数はすでに数億台とも言われており、2020年には約70億台にまで達するであろうというのが専門家の見方のようです。
「多すぎる」スマートホーム関連のIoTデバイスの中から、一般の人が「何を」選び「どう」取り入れて行けば良いのか?スマートホーム初心者であれば、その判断は非常に難しいことでしょう。
そこに目をつけたVivint Smart Homeが、一般の人たちに魅力的なスマートホーム関連サービスを提供して、ユーザーをどんどん増やしているのです。
ユーザーとVivint Smart Homeとの平均契約期間が9年近いと言われていることからも、ユーザーの満足度とVivint Smart Homeが提供するサービスの方向性が正しいことが分かります。
Vivint Smart Homeスターターキット
画像引用:https://www.cnet.com/products/vivint-smart-home/review/
スマートホーム市場において、特にセキュリティ分野は年々増加傾向にあり、今後も長く伸びていくと言われています。
そんな中でVivint Smart Homeが提供している「Vivint Smart Homeスターターキット」は、7インチのタッチスクリーンSkyControlパネルのほか、
・ドアセンサー
・窓センサー
・人感センサー
・ガラス破損センサー
・洪水センサー
・凍結センサー
・煙探知器
・一酸化炭素検出器
などの中から6つのセンサーを選択することができるようになっています(必要であれば、さらにいずれかを追加購入することができます)。
家にいるときはSkyControlパネルでそれらのデバイスをコントロールし、外出先からチェックしたいときはスマホやタブレットにVivintアプリをインストールしておくことで、コントロールしたり通知を受けたりすることが可能です。
このVivint Smart Homeスターターキットは550ドル(1ドル110円換算で60,500円程度)、月額40ドル(同4,400円程度)でサービスを開始することができます。
とはいえ、これだけでは類似するサービスもありそうですが、Vivint Smart Homeの大きな特徴の一つとして、多数のサードパーティー社製スマートホーム関連のIoTデバイスと連携しているという点が挙げられます。
代表的なものではNest Learning Thermostat、Amazon Echo、Philips Hue、August Smart Lockなどがあります。
詳しくはVivint Smart Homeの公式サイトで紹介されていますので、そちらをご覧ください。
Best Smart Home Devices
このように、ガジェットをメインに販売するのではなく、統合的なプラットフォームやプロダクトを提供しているのがVivint Smart Homeの最大の特徴です。
AirbnbがVivint Smart Homeと連携を発表。日本でも普及なるか
毎年1月にラスベガスで開催されている見本市CESで2017年、AirbnbがVivint Smart Homeと連携することを発表しました。
これにより、Airbnbのホストは、
・キーレスアクセス
・ホームセキュリティ
・サーモスタット
といった機能を利用できるようになり、ゲストの管理や部屋の管理などを効率的に行えるようになります。
また、例えばVivintが提供するElements Thermostatというデバイスは、室内あるいは施設内の各デバイスと連携することが可能で、ゲストのチェックアウト時間を正確に管理したり、ゲストの外出時はエネルギーの消費を抑えるために室内温度を自動で調整してくれたりなど、利便性のほかエネルギーの節約・費用削減などの効果も期待されています。
近年日本でも急速に広がっている民泊サービスですが、すでに「TATERU」の開発・販売・運営を手がける株式会社インベスターズクラウドなどは賃貸住宅や宿泊施設向けにIoT化したシステムやサービスの提供を開始しています。
日本の多くの民泊施設にVivint Smart Homeのようなシステムが導入される日がやってくるのも、遠い話ではないかもしれません。