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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2017.11.24
2019.12.18

「スマートホームで介護」これこそがまさに真のスマートホーム

省エネなどの経済性や環境保護への貢献、快適な生活空間に便利なサービス。IoTの進歩によって登場したあらゆるスマートデバイスは、私たちに夢のような日常を提供してくれます。今回は少し違った「介護」の視点からスマートホームを考えてみたいと思います。

記事ライター:iedge編集部

日本は世界一の長寿国、そして超高齢化社会

日本は世界でも類を見ないほどの超高齢化時代を迎えています。

厚生労働省や総務省などの調査によれば、2016年時点で65歳以上の高齢者数は3,461万人となり(人口に占める割合は27.3%)、およそ4人に1人は高齢者ということになります。

さらにこの数は2025年で3,657万人、2042年には3,878万人と予測されていて、人口が減少するにも関わらず、高齢者数は増えていくという時代に突入しています。

また、2014年に世界保健機関(WHO)が発表した統計結果では、日本人女性の平均寿命は87歳で世界最長、男性でも80歳で第8位を記録しています。

高い医療技術や介護サービスが充実していることの裏付けとも言えますが、今後高齢者の増加や人口の減少に伴って、それらのサービスが十分に行き渡らなくなる可能性や、人材・施設不足に対する懸念は以前から指摘されている通りです。

そこで国は、スマートホーム向けのIoTデバイスを通じてそれらの課題を克服し、さらに新たなビジネスの創出にも繋げられないかという実証実験、いわゆる「スマートホームにおけるデータ活用環境整備推進事業」に取り組んでいます。

 

「スマートホームと介護」について

IoT技術の進歩によって、スマートホーム向けの様々なIoTデバイスが開発され、販売されています。

私たちの生活を便利で快適なものにしてくれるデバイス群ですが、それらスマートホームデバイスが介護や医療に活用できるようになると、どのようなことが現実になるのでしょうか。

例えばウェアラブル端末を身につけることで「心拍数」「呼吸」「血圧」「運動量」など様々なデータをリアルタイムで収集することができます。

また、センサーやセキュリティカメラを駆使すれば「転倒動作」「長時間不在」「被写体の体温」などを検出することもできます。

さらに、現在横浜市などが実証実験を始めているIoTスマートホームでは、食事をスマホで撮影するだけで「カロリー」「栄養素」などを解析してくれるサービスも含まれています。

そのほか、サーモスタットを設置すれば、室内の「温度」や「湿度」が分かりますので、熱中症の危険が高くなる前に、自動でエアコンが入るように設定することも可能です。

これらの様々なデータを一元的に収集・蓄積・解析できれば、離れていても居住者の健康状態が分かるようになり、そのデータを介護施設や医療機関と共有することで、

・異変があれば駆けつける
・端末を通して声をかける

など、実質的な「24時間見守り」が可能になるのです。

または、もし設置しているハブなどがAIを搭載しているものであれば、自ら介護施設や医療機関に通報したり、緊急時に救急車を呼ぶといったりしたことも可能になるでしょう。

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「在宅医療」サービスは始まっている

 

すでにAIやIoTを活用した「在宅医療」サービスが始まっている

株式会社オプティムは、佐賀県鹿島市の織田病院において「在宅医療あんしんパック」という、スマートホームと介護を掛け合わせたサービスの実証実験を始めています。

自宅に「AIカメラ」を設置し、取得した情報をAIが解析し、転んでしまったり、長時間動きがなかったりなどの異変を検知すると、病院や家族に連絡するというものです。

なお、家族の許可が得られて初めて、病院側はその映像を見て様子が確認できるということですので、プライバシーにも配慮されているサービスです。

さらには、必要に応じて、病院側から患者の自宅にあるタブレットに遠隔操作して声かけする機能や、ウェアラブル端末に搭載されたナースコールが押されると病院に通知され、タブレットを強制的に起動して様子を伺うというサービスも含まれます。

これらを応用することで、スマートホーム技術は介護にも十分役立てることができるようになるでしょう。

 

トヨタ自動車も介護用スマートホームロボットの開発に力を入れている

トヨタ自動車は高齢者の生活をサポートしたり、介護にも活用したりすることができる家庭用ロボット「HSR(ヒューマン・サポート・ロボット)」を開発し、2019年にも量産体制に入ると発表しています。

HSRはタブレットや音声で操作することができるため、自分では動けない要介護者、あるいは動くのが不自由な高齢者の代わりに、家事や掃除、食事に入浴といった様々な場面でサポートをしてくれることでしょう。

HSRと様々なIoTデバイスが連携すれば、まるで人が付きっきりで介護してくれているかのような、クオリティの高いスマートホーム介護サービスを受けられるようになるのではないでしょうか。

 

介護できる家こそが真のスマートホーム

国はもちろん、幅広い分野の多くの企業が、介護や医療に向けたスマートホーム関連デバイスやサービスを開発していることがお分かりいただけたかと思います。

スマートホームというと、「利便性」や「快適性」といった面が大きく取り沙汰されがちですが、今回ご紹介したような「介護」あるいは「医療」といった面での貢献が大きいことも忘れてはいけません。

そこに暮らす人の幸せを追求しながら、同時にQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を実現する、それこそが真のスマートホームではないでしょうか。

現在行われている様々なスマートホームによる介護の実証実験の結果や、各企業のデバイスやサービスの開発に期待しましょう。

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