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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2019.08.16
2019.12.18

ブラウザ経由であらゆるIoTデバイスを操作できる「WebThings」が実現する未来とは?

記事ライター:Yuta Tsukaoka

Mozillaが推進しているIoTガジェット(デバイス)を制御・管理するためのオープンプラットフォーム「WebThings」を知っているだろうか?
まだ開発・研究段階の技術で一般には使えないので馴染みは薄いと思うが、実はこれ、私達をとりまくIoTガジェットとの付き合い方を根本から変えてくれるかも知れない大きな取り組みなのである。

この記事では、現時点で分かっている情報と、そこから垣間見える未来について解説しよう。

すべてのIoTデバイスをブラウザで管理

WebThingsが目指しているのは「あらゆるIoTデバイスの一括管理」だ。
私もたびたび、メーカーや製品ごとに管理アプリが存在している煩わしさを書いてきたが、それを解決しようという試みである。

上に掲載したのが、そのUIプロトタイプだ。
四角い箱が家、円で示されたのがIoTデバイスで、ブラウザ上からカーソルを使って各機器のオン・オフなどが行える。

今は家中のIoTデバイスを一括管理する仕組みは、事実上スマートスピーカーの管理アプリの中にしかない。
そして、もちろんSiriやAlexa、Google Assistantに対応したデバイスでないと管理することができなかったが、WebThingsはその垣根を取り払い、全てをブラウザ上で管理できるようにしようとしている

センサーとデバイスの連動も

また、WebThingsではIFTTTで実現しているような「条件付きの自動操作」にも対応する。

たとえば、今は「8時になったら広間の照明をつける」「気温が◯℃以上になったらクーラーをつける」というような自動操作の設定は、IoTデバイスの管理アプリから行うか、IFTTTを使うかという二択しかない。
そして、IFTTTを使う場合には、それに対応したデバイスを使う必要があったが、ここでもその垣根が取り払われようとしているわけだ。

プロトタイプUIでは、「条件」と「動作」を紐(Strings)で繋ぐことで設定できるのが見て取れる。

ブラウザ上にスマートアシスタントも

また、WebThingsではスマートアシスタントも用意されるようだ。
かつてブラウザの覇権を握ろうとしたFirefoxを知っている読者なら懐かしい気持ちになりそうなキツネのキャラクターだ。

これもブラウザ上で動作するようで、デバイスを選ばず ――PCでもタブレットでもスマートフォンでも、そしてテレビや冷蔵庫の組み込みディスプレイ上でも使えるようになるだろう。

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WebThingsがもたらす影響

WebThingsが私達にもたらす未来とは?

これまでスマートスピーカーやIoTデバイスの付属アプリ、そしてIFTTTのようなウェブサービスを複雑に組み合わせて実現していた仕組みがブラウザ上で実現できるようになるWebThings。

これが実現したら、私たちとIoTデバイスを取り巻く状況はどう変わるのだろうか?

実現困難/不可能だった条件付けでの自動化が可能に

まず、統一された操作パネルが登場することで、これまで困難だった組み合わせでの条件付けが可能になる
たとえば我が家にはIKEA製の人感センサーがあるが、これはIFTTTに対応していないので他のIoTデバイスを動かすためのトリガーとしては使えなかった。
それが、WebThings上で全てのIoTデバイスを管理できるようになれば、脱衣所の照明を点灯するために設置したIKEAの人感センサーで、同じく脱衣所にあるファンを動かすようなことが可能になるはずだ。

賃貸住宅向けのIoTデバイス管理が簡単に

ホームIoTの分野で言えば、BtoCのIoTデバイス管理が簡単になるメリットは大きい

人口減少による「物件余り」の状況で何とか入居者を見つけるための方法として、いま「IoTホーム」は注目のワードだが、いざ人が住んでみて「電気がつかない」「鍵が閉まらない」となったとき、対応できるスタッフがいなくて二の足を踏んでいる業者やオーナーは多いだろう。

WebThingsで一括管理できるのであれば、そのサポート人件費を大きく削減できる可能性がある。

あらゆるデバイスにホームコントローラーを埋め込める

そして最後に、もっとも大きな変化がこれだろう。
いま、ホームコントロールできるデバイスは、スマートスピーカー(ディスプレイ)、スマートフォンに限られるが、ブラウザで動作できるのであればかなり多くの機器にこれを埋め込むことが可能になるはずだ。

たとえば冷蔵庫。ここ1,2年でディスプレイが搭載された「スマート冷蔵庫」がいくつか登場しているが、このディスプレイ(を動かしているコンピュータ)にもブラウザが入っている。
そこでWebThingsを動かすことができれば、冷蔵庫がホームコントローラーになる

また、「ブラウザが動いてWi-Fiに接続できればいい」という程度の条件であれば、コンピュータは非常に安価になるので、これまで考えられなかった様々なものがホームコントローラーになるだろう。
テレビリモコン程度のサイズの機器でも家中のものを操作するのは可能だと思う。また、ベッドフレームに小さなコンピュータを埋め込んで、ヘッドボードにホームコントローラーを付けても便利かもしれない。

IoTデバイスの標準化に向けて

私がiedgeのさまざまな記事で表現を変えながらも何度も訴えてきたように、いまのIoTは様々な規格・アプリ・製品が混在しすぎていて管理があまりに複雑だ。

それらを統一された規格の中に取り込むことができるのがWebThings。
この方向にはIoTの明るい未来を夢想することができる。

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