韓国の5G技術はどこまで進んでいる?
韓国では2019年4月から5Gが商用サービスとして提供開始されており、「サムスン」と「LGエレクトロニクス」から5G対応のスマホが発売されています。ソウルなど首都圏を中心に5G用の基地局の配備が進みつつあり、韓国のキャリアもユーザーに攻勢をかけようとしています。
しかし、残念ながら5Gのメリットである超高速・大容量を実現しているとは言いにくい状況で、4Gとの切り替えで使うと4Gの方が高速であるケースも多く見受けられます。また、電波も途切れがちで、周波数が高い分障害物を迂回できず長距離に届かない仕組みである5Gのデメリットが出てしまった印象です。
5Gの仕組みでは電波を遠距離まで届けるためにユーザーの近くに基地局を設ける必要があります。しかし、地方には基地局がありませんから、5Gを使えるのは一部のユーザーだけなのも課題です。
韓国では地方にも基地局を増やしつつ、5G電波の質の改善も必要になってくるでしょう。
アメリカの5G技術はどこまで進んでいる?
アメリカではキャリアである「ベライゾン」が2018年10月に専用の家庭用ルーターで5Gを利用できるサービスを開始し、2019年4月からモバイル用の本格的な5Gサービスを提供開始しました。また同じくキャリアの「AT&T」では2018年12月から対応モバイルルーターで5Gが利用できるサービスを試験的に運用しています。
5Gの導入ペースは韓国より早いアメリカですが、電波状況はどうなっているでしょうか。アメリカでは「Amazon Prime Video」の高品質動画をベライゾンの5Gでダウンロードする動画がSNSで投稿されています。
最初の20秒で40%近くもダウンロードできており、Amazon Prime Videoで目安とされている、高品質の動画1時間分のダウンロード量は0.9GBです。
これを計算式に当てはめると、
0.9GB×2×0.4=0.72GB(動画2時間分のダウンロード量の40%のデータ量)
↓
0.72GB=720MB(GBをMBに換算)
↓
720MB/20=36MB(1秒間に5Gでダウンロードできるデータ量)
↓
36MB×8=288Mbit(MBをデータ通信量の単位として使われるMbitに換算)
となり、平均288Mbps(1秒間あたりに288Mbit)の高速で通信できることになります。
これだけでは従来に比べて圧倒的に超高速とは言えないかもしれませんが、同投稿では一時的にデータ通信量が1Gbpsを突破しており、家庭用光回線の理論値を超えています。あくまで5Gルーターの近くでデータ通信するという限定的な環境ですが、アメリカでこれからの5Gの展開に期待が高まります。
韓国・アメリカを含め、世界ではまだ20Gpbsの超高速通信など、5Gの革新的な技術にユーザーが実際に触れる機会はありません。今後数年経過すれば、既存の4Gなどより5Gが圧倒的に優れていると感じられる場面が増えてくるでしょう。5G普及は始まったばかりですから、今後の展開に期待しましょう。
中国は5Gの技術で世界より一歩リードしている
中国では世界より5Gの技術で一歩リードしています。大手企業である「ファーウェイ」を始めとした中国企業が政府の支援を受けながら5G技術の研究・開発などを進めています。
その結果、5Gに関する特許取得数は世界全体の約3分の1とトップになっています。5Gの普及が進み、他企業の5G技術を利用して企業が5Gに関する機器などを開発する場合、そこで発生する特許料の多くは中国企業に流れるとみられ、中国は莫大な収入を得られる可能性があります。
中国が5Gに関して世界的に有利に立つ状況を好ましく思わない欧米諸国は、5G技術研究・開発の中心であるファーウェイの通信機器を自国から締め出すなどして対抗措置を取っています。
また「Google」は、「Android」の最新版や「Gmail」などの各Googleアプリを今後ファーウェイのスマホでは使えないようにする予定で、スマホでの販売にも影響が出始めています。しかし、すでに中国が5Gに関する特許を握っている状況は変わりありません。
5Gにおいて、世界各国は技術的に一歩進んでいる中国の手を借りないといけない状況です。そんな中、ファーウェイの機器締め出しなどをしているようでは5Gの普及にも悪影響が出てしまいます。中国の締め出しではなく、グローバルに協調して5G普及進展に向けて努力する姿勢が世界に求められているのではないでしょうか。