読者の皆さんに質問がある。
いま、自宅でWi-Fiに接続されている機器はどのくらいあるだろうか?
スマートフォンやPCはもちろん、AIスピーカー、スマートTV、Apple TVやChromecastのようなストリーミングデバイス、PS4やSwitchなどのゲーム機、そしてホームIoTガジェット…。
私の家ではざっと数えてみると35の機器がWi-Fi接続で稼働していた。
これだけの数のWi-Fi機器が自宅に入り込むとは、5年前でもまだ考えることができなかったはずだ。
なにしろ、ホームIoTというコンセプト自体がまだ浸透していなかった。私の家にある35のWi-Fi接続機器のうち、10以上がここ1年以内に増えているのも、ホームIoTガジェットを積極的に導入していった結果である。
Wi-Fiには接続数に制限がある
ここで気をつけてほしいのが、Wi-Fiルータには同時接続数に制限があるという点だ。
1万円前後で普通に販売されているミドルレンジのWi-Fiルータであればおおよそ10〜20ほど、持ち運べるモバイルWi-Fiルータなら3〜5程度が標準だろう。一度、自宅のWi-Fiルータの説明書を確認してみるといい。
ちなみに、私が家で使っているNETGEARのメッシュWi-Fiルータ「orbi」はステーション1つにつき30台まで。2台のステーションで運用しているので60台までは接続できる計算である。
当面は大丈夫だし、もし制限を超えてもステーションを増設すればいいだけなので気が楽だ。ホームIoTを進める上でメッシュネットワークを薦めたい理由のひとつである。
期待の星は「Wi-Fi 6」
ところで、今年のCESでは「Wi-Fi6」が話題だった。と言っても、ほとんどの読者にとっては耳馴染みのない名称だろう。
これは昨年の10月に策定された規格で、またの名を「IEEE 802.11 ax」という。
いま私たちが普通に使っているWi-Fiの規格は「IEEE 802.11 ac」か「IEEE 802.11 n」のどちらかで、それらの後継規格となる。「ac」と「ax」が紛らわしいため、「Wi-Fi 6」という規格名で登場したというわけだ。(ちなみに「ac」は「Wi-Fi 5」、「n」は「Wi-Fi 4」と新しい名前を与えられた)
進化するWi-Fi規格 |
規格名 |
IEEE 802.11 ax |
IEEE 802.11 ac |
IEEE 802.11 n |
通称 |
Wi-Fi 6 |
Wi-Fi 5 |
Wi-Fi 4 |
策定された時期 |
2019年中 |
2013年12月 |
2009年9月 |
周波数帯 |
5GHz/2.4GHz |
5GHz |
5GHz/2.4GHz |
規格上の最高速度 |
9.6Gb/s |
6.4Gb/s |
0.4Gb/s |
Wi-Fiの新規格はいつだって大きな話題になるものだが、この「Wi-Fi 6」には特に話題になるべき理由があった。それは、安定した同時多接続を実現しているということだ。
これまで、Wi-Fiの新規格はつねに旧規格より「速い」ことが一番のウリ文句だったが、Wi-Fi 6については「安定した多接続」も含まれるということになる。
勘のいい読者なら、これがホームIoTと相性抜群であることはすぐに分かるだろう。
いつから使える?
これまでのWi-Fiよりも速く、しかも安定した多接続を実現しているとなれば、私のようなガジェット好きにはたまらなく魅力的なわけだが、それだけに「いつ利用できるのか」は大きな問題である。
答えは、2019年中。意外とすぐだ。
しかし、もちろんWi-Fiルータだけが対応していても意味がない。そこに接続される機器(ガジェット)たちもWi-Fi 6に対応していないことにはその恩恵に預かることはできないからだ。
ここからは予測になるが、今年の後半から中国の新進スマホメーカー(Huawei、Xiaomi、OPPO、vivoなど)を中心にハイエンド機に対応機種が出始め、来年前半でホームIoT機器にもひろく普及すると思われる。
ちなみに、私が家で使っているNETGEARのメッシュWi-Fiルータ「orbi」は、今年のCESですでにWi-Fi 6に正式対応する次世代機を発表済みだ。
別の記事でも書いている通り、工場や商業施設などでの商用ネットワークにWi-Fiは向かないが、一般家庭では大きな恩恵があるだろう。来年を楽しみに待ちたい。