自宅を自動化が行き届いたスマートホームに変えたいと考えるとき、様々なIoTデバイスを買い揃えて、鍵や照明、壁内の配線システムに至るまですべてを置き換えていくことは確かに可能ですが、多くの人々にとって現実的ではありません。
そこで多くの企業が開発しているのが、すでに持っているものをIoT化するデバイスです。新しいデバイスを増やすよりも安価で導入でき、使い慣れた製品を手放す必要がないことから人気を集めています。スマートプラグや落し物防止タグ、サムターンに貼り付けるタイプのスマートロックなどがその実例でしょうか。
米国カリフォルニア州のスタートアップ企業Lockyが開発し、現在クラウドファンディングサイト「Kickstarter」でキャンペーン中のスマートキーケース「Locky」もまた、既存の持ち物をIoT化するデバイスです。
鍵のIoT化といえば、これまで玄関にかかっている「鍵」をスマートロックに置き換えたり、上から取り付けたりするのが一般的で、玄関を開けるための「鍵」がIoT化されることはほとんどありませんでした。むしろ、これまでのスマートロックは従来の物理的な「鍵」を排除する方向性で開発されており、Lockyはスマートロックの新解釈と言えるでしょう。
Lockyは一見すると基本的にスピン式のハードキーケースです。Bluetoothでスマートフォンと接続し、施錠や開錠の記録、鍵をかけ忘れや取り忘れを防止することができます。
スマートフォン用のLockyアプリでは、鍵の使用履歴に基づき、玄関のドアがロックされているかどうかを確認可能です。また、鍵とスマートフォンのペアリングが失われた時は、通知が発信されます。Lockyはスピーカーも搭載しているため、場所が分からなくなった時でも音を鳴らして見つけやすくすることも可能です。
ドアに小さなBluetoothバンドルを取り付けることで、同じ鍵で複数のドアを開ける場合もそれぞれのドアごとに記録の管理が可能で、マスターキーの管理に対応しています。
欠点を上げるとするならば、Lockyの機能は非常に限定的だということです。たとえば、万が一職場に着いてから玄関が開いていることに気が付いても、開いていることが分かるだけで、できることは何もありません。
結局のところLockyのことは、既存の鍵にちょっとしたスマート機能を追加できるツールくらいに捉えておくのがいいでしょう。
LockyはKickstarterでクラウドファンディングキャンペーンを実施しており、キャンペーン開始後わずか2時間で目標額1万ドルを達成、記事執筆時点で3万2000ドルを超えています。価格は1個当たり55ドルで、Bluetoothバンドル3個とのセットは84ドルです。
出資者には2019年2月に商品が発送されるとのことですが、Lockyはこれが初めてのキャンペーンで、過去の実績はありません。クラウドファンディングでは出荷遅延の恐れが常にあることを認識した上で利用していきましょう。