2019年6月12日に発売されたGoogle Nest Hubと、同じく6月26日に発売されたAmazon Echo Show 5。
この記事の前編にあたる「【写真で比較】どっち買う? Google Nest Hub と Amazon Echo Show 5」で紹介したとおり、サイズ以外のスペックでは「カメラの有無」と「3.5mm オーディオ出力ポートの有無」くらいしか違いがない両機。
その上、実機で検証してみると、高さ・幅・奥行きそれぞれのサイズも数センチの差しかなく、置き場所を想定してサイズで検討することも難しいという結果だった。
左がEcho Show 5、右がNest Hub(撮影:筆者)
これが、両機を真上から撮影した写真だ。
下に敷いてあるのは1センチ方眼のカッターマット。どうだろう。このサイズ差で置き場所が変わるだろうか? そこまでシビアな検討は、普通しない。
というわけで、ますます分からなくなってくる「どっちを買えばいいのか問題」。
ここでヒントになるのが、基本的に設置後に場所を移動させないということ。
つまり、置き場所によって用途も変わってくるわけで、それぞれの強みが活きる可能性があるわけだ。
リビングに置くなら:Nest Hubがおすすめ
(撮影・筆者)
Nest Hubの備える7インチのディスプレイは、比較的遠くから見ることになるリビングの設置に向いている。
我が家ではテレビの横に置き、ソファから眺められる位置にあるが、家族の写真をスライドショーにしているので食事時など会話のタネになっていい感じだ。
ちなみに、スライドショー機能も気が利いていて、
(筆者作成)
このように、家族(だけでなく友人も)の顔を指定しておけば、その人達が写った写真を自動でスライドショーにしてくれる機能もある。顔認証技術の成果だ。
写真が追加されれば自動でスライドショーも更新されるので、使っているスマホがAndroidなら手放しでおすすめできるし、iPhoneユーザでもバックアップ先をGoogleフォトにしているのなら同様の機能が使える。
ちなみに、顔認証はできないもののEcho Show 5でも指定したアルバムをスライドショーにする機能はある。が、そのためにはAmazon Photosに写真を保存しておく必要がある。
………Amazon Photosをデフォルトの写真管理アプリにしている人って、何%くらいいるのだろう? ほとんどいないんじゃないだろうか。
デスクに置くなら:Echo Show 5がおすすめ
(撮影:筆者)
デスクに置くなら、Echo Show 5がおすすめだ。
冒頭でサイズの違いはあまりないと書いたが、空間の限られたデスクであれば、このサイズ差は活きてくる。
Pixel 3のような、最近の「小型フラッグシップスマホ」とほぼ同様のサイズ感なので、デスクにスマホを横置きしてみてサイズを確かめてみるといい。
一方、Nest HubはKindle Fireのような「小型タブレット」と同様のサイズ感。よほど広いデスクでなければ、常に置いておくにはちょっと邪魔だろう。
寝室に置くなら:どっちでもいい
(撮影:筆者)
我が家では、もともと寝室に置くことを想定して買ったのでEcho Show 5を寝室に設置した。
が、実際のところ「どっちでもいい」という感じだ。
Amazonが製品ページでもアピールしていた「アラーム時刻の15分前から画面が徐々に明るくなって目覚めを助ける」という機能があるのだが、実際使ってみると、まったく気づかないのだ。
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07KD87NCM/
このくらいベッドの近くに置いて、かつ、暗室並に暗い環境であれば実感できるのかも、しれないが…。
というわけで、よほど置き場所にシビアな制限がない限りはどちらを置いても変わらないだろう。
ダイニングに置くなら:もっと大きいものを
ダイニングテーブルに置いて、テレビの代わりにニュース動画を流すような使い方も検証したことがあったが、それにはどちらも小さすぎる。
Echo Show 5の段ボールモックアップと比較(撮影:筆者)
画面の傾きはどちらも同じ25°だが、このサイズでは画面を「覗き込む」ような格好になる必要があるので快適とは言えないだろう。
そういった使い方を想定しているのであれば、Amazonから10インチの「Echo Show」が発売されているのでそちらを買ったほうがいいかも知れない。
画像引用元:https://www.amazon.co.jp//dp/B07934NYFN/
このように、この記事で紹介している2機種とは一線を画すサイズ感で、動画をみるなら賢い選択だろう。
ただし、価格は27,980円。Echo Show 5とNest Hubを合わせたよりも高い。
プライバシーが気になるなら:Nest Hubがおすすめ
Echo Show 5もNest Hubも「あしたの予定を教えて」と聞けば設定したカレンダーを読み上げてくれるが、これを他の家族や同居人に聞かれたくないということもあるだろう。
画像引用元:https://store.google.com/jp/product/google_nest_hub
そんなニーズには、Nest Hubが応えてくれる。
声を複数登録しておくことができ、それぞれの声の主のプライバシーが他の人物に漏れないようにできる「Voice Match」があるからだ。
Echo Show 5にこの機能はない。
家族ならともかく、ルームメイトや同棲中のパートナーがいる場合にはぜひ使いたい機能だ。
また、テクノロジによるプライバシー侵害を気にしている場合でもNest Hubはいい選択肢だ。カメラがないので、少なくとも ――盗み聴きはあっても、覗き被害は防ぐことができる。
ま、いちおう、Echo Show 5にもカメラを物理的に塞ぐ仕組みはあるが。
(撮影:筆者)
総合点ではNest Hubがおすすめ
Google Nest HubとAmazon Echo Show 5。
スペック表や製品ページで比較しているとどちらを買うか決めにくいこの2つだが、この記事が少しは参考になっただろうか。
最後に、両方持っている私の個人的な感想を書かせてもらうと、総合点ではNest Hubがおすすめだ。
Echo Show 5にできてNest Hubにできないことと言えば「有線のスピーカーを繋ぐ」ことと「起きる前に画面が明るくなる」ことくらいで、前者はBluetoothレシーバで補えるし、後者は今のところ効果をまったく実感できないからだ。
また、スマートスピーカーとしての性能で見ても、さほど差は感じられないもののNest Hubに搭載されたGoogle Assistantの方が賢いという印象である。
確かに価格差は5,000円以上あるが、どうせ買うならNest Hubのほうが満足度が高いだろう。