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2019.04.22
2019.04.22

日本でGANsネットワークによる味覚錯覚の実験に成功

記事ライター:Yuta Tsukaoka

昨日の昼食がなんだったか、覚えているだろうか?

私はパストラミサンドとスープ、サラダ、カフェオレだった。
しかし、これからはこう答える時代が来るのかもしれない。

「やきそばを食べながら、ボンゴレビアンコを楽しんだよ」

と。

ARとGANsで「味覚の錯覚」を生み出す技術

突然こんなことを言い出したのには理由がある。
奈良先端科学技術大学院大学や電気通信大学などを中心とした研究グループが、GANsネットワークとAR(Augmented Reality=拡張現実)を組み合わせてリアルタイムで映像を変換する実験に成功したのだ
(ソース:https://shiropen.com/seamless/enchanting-your-noodles

具体的な仕組みは、以下の動画を見るとわかりやすい。

被験者は、ビデオシースルーHMD(全面にカメラがついていて、外部の映像を取り込めるヘッドマウントディスプレイ)をつけ、食事をする。その時、HMDを通じて得られた映像をリアルタイムで別の食品に変換するのだ。

ビデオでは「そうめんを食べながらラーメンを食べる」や「白米を食べながらカレーを食べる」などのデモンストレーションを見ることができる。これで実際に味が変わるのかどうかは ――動画内では「変わった」というリアクションをとってはいるが ―― 実際に被験者とならなければわからないだろう。

しかし、可能性のある技術であることは間違いない。

限られた空間、条件下でQOLを上げる

たとえば、国際宇宙ステーションで活用される場面を考えてみよう。
今や、宇宙食に関する技術は非常に進んでいて、ラーメンやカレー、寿司、牛タンの赤ワイン煮込みなんてものもある。しかし、宇宙に荷物を打ち上げるにはざっくり計算して1kgあたり100万円ほどかかるため、必要以上の物資はなかなか運べない。つまり、食事のレパートリーは増えたものの「ああ、今日はカツ丼が食べたいな…」と思いながらサバ缶をつつくという状況もあるだろう。

そこで、この技術があれば「サバ缶を食べながらカツ丼を味わう」ということが可能になるかもしれないのだ。
もちろん荷物は増えるが、GANsで学習したデータセットの重量はゼロなので、初期投資さえしておけば、さまざまな「味」だけを後から送信することもできる。

介護現場でも役に立つかもしれない。
さまざまな理由で食事に制限のある患者に対し、医療上問題のないものを食べてもらいながら、ARで本人が希望するものを味わってもらう
そういった環境にある人にとって、食事は非常に重要だ。まさに、QoLの向上に役立つだろう。

また、今後は「ベース食」といえるものの開発もあるかもしれない。
味にクセのない麺類、米飯類のベースを食べながら、ARで味覚の錯覚を味わうのだ。そうめんをパスタに錯覚させるよりは確実だし便利そうだ。

VRからAR、そしてMRによる「錯覚」技術の未来

いま、VRは「そこにないものを見せる」というヴァーチャルな体験を提供している。たとえば、GoogleのDayDreamでストリートビューを起動すれば、世界のどこにだって行ける。

今回紹介した技術は、ARを使ってはいるが、実際のところMR、Mixed Realityの技術である。現実に非現実を「混ぜて」新たな現実を作り出す。ポケモンGOで話題になったAR(Augmented Reality)技術の上に成り立っている。

すべてがヴァーチャル(非現実)のVRと比べ、半分は現実であるだけに、ユーザにとってより現実感のある体験が提供できるだろうと期待されている分野だ。
さらにいろいろな分野、場面での活用が進むだろう。

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