アメリカのスマートスピーカー市場は年々加熱しています。
Amazonは同社が販売するスマートスピーカーAmazon Echoについて、具体的な数字は明らかにしていないものの、2018年時点で「複数台所有している」と回答した人が前年の2倍に達したと発表しました。
同年の売り上げ台数は数千万台にのぼっているほか、Amazon Echoに搭載されている人工知能Alexa(アレクサ)を「毎日利用する」と回答したユーザーの数が前年の2倍に成長したことも明らかにしており、スマートスピーカーの広まりを示唆する数字となっています。
スマートスピーカーはより便利に、より身近に
もともと「スマートスピーカー」と言えば、音楽を流す以外の機能もあわせ持ったスピーカーをさす言葉でした。
すなわち、Bluetoothを搭載したものや、専用アプリからコントロールできるスピーカーも「スマートスピーカー」に分類されていたのです。
しかし今やその定義は昔のものとなりつつあります。今日、私たちが「スマートスピーカー」と聞いて思い浮かべるのは、人工知能を搭載しており、インタラクティブに関われるものではないでしょうか。
冒頭に述べたAmazon EchoにはAmazon社が開発するAlexaが搭載されており、Apple社のApple HomePodはSiriで稼働します。また、Google HomeはGoogle アシスタントを通じて機能します。
スマートスピーカーが登場しはじめた2014年ごろには、スマートスピーカーを用いてやることといえば、天気を聞いたり、特定の音楽をリクエストして流したりするのが主でした。
しかし、スマートスピーカーに搭載されている人工知能の発展により、Alexaは2018年だけで1億個以上のジョークを言えるようになった上、Google homeは最大6人の声を識別できるまでになっています。音楽をかける際にも、「90年代の曲をかけて」といったリクエストに対応する、一部の歌詞を歌ってその曲を特定し流すなど、音楽を楽しむ体験の向上にも貢献しています。
続々と登場するスマートスピーカー。特に注目が集まるのは?
同業界では、先に挙げたような大企業のスピーカーのみならず、様々な企業やスタートアップが独自のスマートスピーカーを開発しています。
その中でも現在もっとも注目が集まる企業の一つが、SONOS(ソノス)です。日本では2018年末に上陸したばかりのブランドで、見たことがない方や名前だけしか知らない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
SONOSは2002年にカリフォルニア州サンタバーバラで創業し、2018年8月にNASDAQにIPO(新規上場)しています。音質の高さもさることながら、デバイス自体がWi-fiに接続していることから「Spotify」、「Apple Music」、「Amazon Music」などのストリーミングサービスが楽しめるのも魅力です。
また、Amazonブランドの商品ではないにも関わらず、Alexaを利用して音声で操作することができるのも大きな特徴と言えるでしょう。
さらにSONOSは、Google Assistantにも対応予定であると明かしており、各社がしのぎを削って開発するそれぞれの人工知能を搭載できる初めてのスピーカーとなりそうです。
スマートスピーカーがスマホのように浸透する未来が訪れる?
スマートスピーカー市場の盛り上がりはまだ黎明期にあるのかもしれません。
モルガン・スタンレーは、2022年までにアメリカ国内の70%の家庭がスマートスピーカーを持つだろうと試算しています。
スマートスピーカーができるタスクは日々増えている上、各社の人工知能により稼働する他社のスピーカーも日々開発が進んでいます。
例えば、2019年時点でAlexaが持つスキルは7,000を超えており、4,500以上のブランドが展開する28,000種のデバイスがAlexaとの互換性を持っているとAmazonが発表しています。
スマートフォンが普及し、Wifiを持つ家庭も増加した社会において、「あると便利」だけど、必要不可欠と広く見なされるまでにはまだ至っていないスマートスピーカー。当たり前の日々に入り込み、何気ない日常の背景に溶け込めるかどうか、同市場の今後から目が離せません。