2018年9月18日、Facebook上に男女差別的な求人広告が掲載されているとする訴えを、米国自由人権協会(ACLU)が起こしました。
米国雇用機会均等委員会に提出されたこの訴状によると、差別禁止法に違反した10社の求人広告がFacebook上に掲載されているといいます。
訴訟を起こした米国自由人権協会は、Facebookが男性のみを対象とした広告の配信を許可することで、女性やバイナリー(男女でもない)の人々を差別していると主張しています。
この訴訟は、ペンシルベニア州、オハイヨ州、イリノイ州に住む3人の女性を救済することを目的としており、彼女らは、正当な資格を有しているのにも関わらず、伝統的な男性職の求人広告がFacebook上に表示されなかったと述べています。
また、同協会の弁護士であるGalen Sherwin氏によると、2017年から2018年にかけて、営業職や技術職、エンジニア職などの求人広告が、男性のみをターゲットとして配信されていたといいます。
求人広告を性別によって制限することは、1964年に成立した公民権法によって禁止されています。それにも関わらず、「男性以外の人々が日常的に雇用機会を奪われてきた」と同協会は述べます。
告訴された内容の一つであるノースカロライナ州グリーンズボロの求人広告には、「ペンシルベニア近辺在住の25歳から35歳の男性」という表記があり、このような求人情報はFacebook上で特定の操作を行った人にのみ配信されていたそうです。
しかし、今回の一件について、Facebook側は同社のプラットフォーム上で「差別がおこなわれる余地はない」とする考えを発表しています。また、2018年4月に米国住宅都市開発省(HUD)によって告発された住宅差別問題を受けて、さらなるシステム強化を実施してきたとも主張しています。
このような意見に対して同協会は、Facebookは長い間、雇用主や人材派遣会社から性別差別が可能なプラットフォームとして知られており、「意図的に女性差別的な広告の配信を継続してきた」とする反論を展開しています。
なお、Facebookには、広告主が既存客と似た人々を絞り込むことを可能にする「類似するオーディエンス」というツールキットが搭載されており、これが求人広告に応用されることで、企業側が性別によって、ターゲットを篩にかけることができてしまうと米国自由人権協会は危惧しています。