Googleの検索部門および人工知能部門責任者、ジョン・ジャナンドレア氏が4月3日、Appleに移籍することがニューヨークタイムズ紙によって報じられました。
同氏はこの前日にGoogleの役員を辞任したことを報じられており、この動きは驚きをもって迎えられています。
ジャナンドレア氏はAppleで、「機械学習及びAI戦略」部門のリーダーとなり、ティム・クックCEOへ直接報告を行う16人の幹部の1人に加わります。
現在AI業界の強豪といえばGoogle、Facebook、Amazon、Microsoftなどが挙げられ、それぞれ数百人ものの研究者を雇用しています。
AppleはSiriをいち早くリリースし、音声ベースのデジタルアシスタントの初期市場を定義するのには役立ちましたが、その後AI開発においてGoogleやAmazonなどの競合他社に大きく差をつけられています。
Appleは2016年12月まで、たとえそれがGoogleやFacebookにも引けを取らないトップレベルのAI技術の場合でも、自社の研究者が論文を発表することを禁じていました。この規制によってAppleは、Google、Amazon、Microsoft、Facebook、IBMが共同設立した倫理的AI研究コンソーシアムへの参加に大きな時間を要することになりました。
データ収集とユーザーのプライバシーに対するAppleのアプローチは、理想論的な立場からは賞賛されるものの、シリコンバレーで名を馳せる研究者たちからは敬遠されがちです。
ジョナンドレア氏の移籍により、今後Appleはトップレベルの人材をより多く獲得し、アルゴリズムの改善を図ることが可能になると期待されています。また、AppleはスマートスピーカーHomePodを発売した2月から、Siriの性能向上のためAI分野の雇用を急加速させているとも報じられています。
しかし、ディープラーニングソフトウェアのバックボーン技術であるニューラルネットワークでは、大量のデータを用いて訓練する必要があるため、公に利用可能なデータセットにしかアクセスしないAppleは不利になります。
一方、Google、Facebook、Amazonは、世界中の何十億というユーザーによる大規模なデータを徹底的に収集し、分析を行っています。
ただ、Facebookは現在個人情報の取り扱いについて全世界的バッシングを受けており、この問題如何では研究におけるデータ利用の潮目が変わる可能性があります。
またGoogleは、ジャナンドレア氏の後任として、創業期からの古参メンバーであるジェフ・ディーン氏を任命したとのことです。
ディーン氏は、AI分野において過去10年間で最も重要な成果を遂げた研究ユニットであるGoogle Brainの共同設立者で、現在検索チームから独立したAIユニット全体を担当しており、AIの製品への実装方法と長期的な研究に重点を置いています。