米Googleは、911のオペレーターが緊急電話の発信場所を特定するために、位置情報の提供を試験的に行っています。
試験はテキサス州、テネシー州、フロリダ州を含む数か所の州で2カ月間にわたり行われ、数万件の緊急電話が対象となりました。
ウォールストリート・ジャーナルの報道によると、Googleのテストは、911のオペレーションを担当するWest Corp、RapidSOSと共同で実施されました。
現在911のシステムでは、通信事業者から位置情報の提供を受けていますが、必ずしも正確ではありません。
RapidSOSによると、Googleの位置情報を活用することで、30秒以内に約80%の電話から正確な位置情報を取得でき、発信者所在地の誤差半径を522フィート(159メートル)から121フィート(37メートル)まで縮小しました。また、Googleからのデータは通信事業者のそれよりも早く到着しました。
911の応答時間が1分短縮されると、約10,000人の命を救うことができると言われています。迅速に正確な位置情報を取得できれば、発信者が英語を十分に話せない場合でも、適切な対応ができる可能性があります。また、発信者が緊急事態で慌てて、上手く現在地を説明できない場合も、オペレーターが位置情報を確認することでスムーズなやり取りが可能になります。
この試験に参加したテネシー州ラウドン郡の911責任者、ジェニファー・エステス氏は非英語圏の通報者の例を引き合いに「Google位置情報の導入は大きな成果をもたらしました。 Googleの技術がなければ、英語を満足に話せない彼女に今どこにいるのか説明してもらわなければならないところでした。それには大変な時間がかかってしまったことでしょう」 と振り返りました。
Googleの位置情報技術は、欧州を中心に世界14カ国で活用されており、Googleは2018年中にこの技術を米国で広く展開しようとしています。
Googleが緊急電話に位置情報技術の活用を試みたのは今回が初めてではありません。2017年、Androidの電話アプリを改良し、緊急時に911に電話をかけたときに自動的にユーザーのおおまかな場所が表示されるようにしました。それは小さな進歩かもしれませんが、救える命を確実に救うための大きな安全対策です。