近年、電動キックボードの人気が高まりつつあります。
手軽に乗れる上に、電気で稼働するため経済的なことが人気の主な理由です。
一方で、電動キックボードの構造と機能の安全性はこれまで問題視されてきました。
実際に、電動キックボードの事故は今も後を絶ちません。
このような状況で、車やバイクを製造・販売するホンダが電動キックボード「ストリーモ」を発表しました。
現在、ホンダの「ストリーモ」は、従来の電動キックボードに付き物だった安全性の問題を覆したと話題です。
今回は、ホンダの電動キックボード「ストリーモ」の解説と、電動キックボードに関する道路交通法を解説します。
ホンダのベンチャー企業が電動キックボードを開発
自動車やバイクの製造・販売の大手「ホンダ」が、2022年6月に電動キックボード「ストリーモ」を発表しました。
開発元は、ホンダの社内起業制度である「新事業創出プログラムIGNITION」から生まれた「株式会社ストリーモ」です。
代表の森 庸太郎氏は、ホンダの自立する二輪技術「ライディングアシスト」やダカールラリーに参戦する二輪車の開発などに携わってきた人物です。
ストリーモは、従来の電動キックボードが抱える安全面での問題を克服する為に、森氏の自宅ガレージから開発が始まりました。
従来の電動キックボードの特徴は「エコ」と「利便性」
ストリーモを解説する前に、従来の電動キックボードの特徴を解説します。
電動キックボードの持つ特徴は、主に「エコ」と「利便性」の2つです。
電動キックボードはガソリンを使うエンジンではなく、モーターで稼働するため排気ガスを出さず、燃料費も電気のためガソリンよりも安く済みます。
そして、本体自体が軽く、折りたたんでコンパクトにできる機種が多いため、持ち運びや収納の面での利便性が高いことが特徴です。
また、気軽に運転ができることに加え、しっかりとした操作感もあるため、運転自体が楽しいことも特徴のひとつです。
ホンダの電動キックボード「ストリーモ」の特徴2つ
この章では、ストリーモの特徴を解説します。
2022年6月に発表されたプロトタイプのスペックは以下の通りです。
- 全長/1090mm 全幅/480mm 全高/1180mm
- 車重/約20kg
- 最高速度/25km/h
- 走行モード 6km/h・15km/h・25km/h
- 走行距離(1充電あたり)/30km
- 充電時間/最大約3.5時間
①3輪で安定性が抜群
従来のキックボードの多くは2輪ですが、ストリーモは前方1輪、後方2輪の計3輪を備えています。
そして、安定性をより高めるために採用した独自の技術が、「バランスアシストシステム」です。
バランスアシストシステムは、停車時の車体を安定して自立させる上、通常ではバランスを崩しやすい低速走行時から、自転車程度の速度まで安定した走行を可能にしています。
さらに、悪路や傾斜角にも影響されにくく、走行中から停止状態へ移行するまでの挙動も安定しているため、あらゆる場面で転倒リスクが軽減されています。
②分担荷重で前のめり転倒を防止
電動キックボードは、ハンドルが切りすぎてしまい、前輪に急ブレーキをかけた状態となり前方に転倒するケースが多く、非常に危険です。
これは従来の電動キックボードは、前輪に大きく荷重がかかる構造をしていたことが原因と考えられています。
ストリーモは分担荷重にも配慮されているため、人が乗った状態でも前輪にかかる荷重が低くなる設計です。
そのため、ハンドルが大きく切れ込みにくく、また多少ハンドルが切れ込んだとしても、前述のバランスアシストシステムにより転倒しづらく作られています。
電動キックボードに乗る上で知っておきたい道路交通法2つ
2022年4月20日に道路交通法改正案が可決され、その改正案には電動キックボードに関する項目も含まれています。
この章では、電動キックボードに関する道路交通法を現行の規定と、改正後の規定に分けて解説します。
①現在の道路交通法では原動機付自転車扱い
現在の道路交通法において、電動キックボードは原動機付自転車として扱われています。
そのため、基本的なルールは原動機付自転車と同じです。
例えば、公道を走行する際にはヘルメットの着用義務やナンバープレートの装着義務がある上、運転免許証を所持している必要があります。
また、走行できるのは原則として車道のみで、歩道の走行はできません。
これら以外に構造や装置などにも基準が設けられており、遵守しなかった場合は原動機付自転車同様、罰金や懲役のペナルティが発生します。
②法改正後は新しい区分「特定小型原付」に
2022年4月に、道路交通法改正案が衆議院で可決されました。
改正案の内容には電動キックボードに関する項目も含まれています。
ただし、ここで紹介する改正案はまだ施行されていません。
施行されるのは今から、おおよそ1〜2年ほど先のこととして把握しておきましょう。
この改正案では、電動キックボードは新設される「特定小型原動機付自転車」(特定小型原付)に分類されます。
特定小型原付と判断される定義は以下の通りです。
- 電気で動く
- 全長190cm、全幅60cm以内
- 必要な保安部品の装着
- 最高速度20km/h以下の制限あり
そして、運転免許は不要となり、ヘルメットの着用も任意に変更されます。
また、改正後は車道のほか、自転車レーンと条件付きで歩道の走行も可能です。
まとめ
ストリーモの販売価格は税込26万円で、2022年中には販売開始される予定です。
ただし、一般ユーザー向けの販売は現在、オンラインでの抽選販売に限っています。
一次先行抽選は終了しましたが、二次抽選を実施する可能性も十分あります。
ストリーモに興味のある方は、公式ホームページをチェックしておきましょう。
株式会社ストリーモ公式HP:https://striemo.com/?from=newslink_text