ホームセンターで広く知られるカインズが、IoT技術を活用した無人店舗「CAINZ Mobile Store」の実証実験を開始すると発表しました。
このCAINZ Mobile Storeはレジがないタイプの無人店舗で、正確でスムーズな会計の実現と、今後の課題を探ることが目的です。
また、CAINZ Mobile Storeには最先端のテクノロジーが使用されているため、これからの展開に各方面からの期待が寄せられています。
ホームセンター業界1位のカインズ
ホームセンターカインズは、1978年にオープンした栃木県の1号店から始まり、今では全国に200店舗以上を展開しているホームセンターです。
カインズでは、他のホームセンターでも扱っている木材や各種工具、生活用品などに加え、新鮮な野菜やペットの販売も手がけています。
さらに、オリジナル商品の開発やカインズ独自の仕入れルート、物流システムの導入により、低価格で商品を顧客に届けるホームセンターです。
これらの特徴を持つホームセンターカインズは、競争が激しいホームセンター業界でもトップクラスの売上を誇っています。
IoTとは「モノのインターネット」
従来、家電や車、住宅など身の回りにあるさまざまなモノはインターネットに接続されていませんでした。
ところが、近年の技術革新によりそれらのモノがインターネットに接続可能となり、相互に情報交換する仕組みが構築されました。
その仕組みが「IoT(アイオーティー)」と呼ばれる、モノのインターネットです。
例えば、家電量販店でよく見かけるようになったスマートフォンで操作できる電子レンジや、スマートスピーカーなどがIoT技術を使用しています。
現在、IoTはAIやビッグデータなどに並ぶ重要キーワードとして多くの業界から注目される技術のひとつです。
カインズが運営する無人店舗「CAINZ Mobile Store」
記事冒頭でも記載したように、先日、ホームセンターカインズがIoTを活用した無人店舗の運営を開始すると発表しました。
その無人店舗「CAINZ Mobile Store」について解説します。
①「CAINZ Mobile Store」は9月1日から実証実験開始
ホームセンターカインズは、レジがないタイプの無人店舗「CAINZ Mobile Store」の実証実験を2022年9月1日から開始します。
店舗は、カインズ本社1階ロビーに設置された1店舗のみです。
当面の間は利用者を従業員に限定した運営とし、実証実験期間の結果で今後の展開を検討する予定です。
②「CAINZ Mobile Store」で使用される技術
「CAINZ Mobile Store」に使用される技術は、アメリカのAiFi 社が提供しています。
このAiFi 社と手を組む日本企業は、カインズが初めてです。
店舗に使用される技術の基礎は、AIシステムと最先端のアルゴリズムで構築されています。
これらのテクノロジーにより、無人の店舗でも顧客の入退店が分かるほか、顧客が手に取った商品や棚に戻された商品のチェックなどができます。
③「CAINZ Mobile Store」を利用する流れ
CAINZ Mobile Storeは、レジが設置されていない無人店舗です。
利用するためには専用アプリをダウンロードしなければなりません。
まず、入店する際はダウンロードした専用アプリのQRコードを、入口のゲートにかざします。
つぎに、通常の買い物と同じように、購入する商品を手に取ります。
この際、店内のAIカメラが顧客の動きを分析し、手に取った商品を認識する仕組みです。
さいごに、出口を通って店舗を出ると同時に決済が完了します。
日本国内にある4つの無人店舗
ホームセンターカインズのCAINZ Mobile Storeのほかにも、日本国内には無人で運営されている店舗や施設があります。
その内の4つを無人店舗の実例としてご紹介します。
①ビックカメラ|タブレット端末での遠隔接客
これまでの家電量販店には、各商品の区画ごとに専門知識を持った従業員が配置されていました。
ビックカメラは、各商品の販売区画にタブレットやモニターを配置し、それらの端末越しに遠隔で接客するシステムを導入しています。
店舗従業員の人員不足解消のほか、メーカーがスタッフを派遣する必要もなくなると注目されている取り組みです。
②TOUCH TO GO|高輪ゲートウェイ駅のAI無人決済コンビニ
2020年3月23日に無人決済コンビニの「TOUCH TO GO」が高輪ゲートウェイ駅にオープンしました。
TOUCH TO GOは、店内に設置されたカメラや商品棚の重量センサーなどから得た情報を基に、顧客が手に取った商品をAIが認識します。
そして、顧客が決済エリアに設置してあるタッチパネルを操作するだけで購入が完了するシステムです。
③CREVIAマンション|マンション管理の無人化
無人化の波はコンビニや小売店などの販売業以外にも活用され始めています。
伊藤忠都市開発が提供する「CREVIAマンション」では、マンションの管理業務を無人化しました。
このCREVIAマンションでは管理人が常駐せず、代わりにタッチパネル付きの液晶が設置されています。
住人は、掲示の確認や管理人への連絡などを画面操作により簡単に行えます。
④SECURE AI STORE LAB|ベンチャー企業による無人店舗
ベンチャー企業のセキュアが2020年7月に、無人店舗「SECURE AI STORE LAB」を新宿にある住友新宿ビルにオープンしました。
このSECURE AI STORE LABでは、AIによる顔認証システムにより顧客の入退店が管理されています。
決済時も顔認証により商品が識別され、モニターに表示される仕組みです。
まとめ
ホームセンターカインズがIoTを駆使して運営する無人店舗「CAINZ Mobile Store」の特徴は以下の通りです。
- 店舗はカインズ本社1階ロビーに設置
- 当面は利用者を従業員のみに限定
- 今後の展開は実験結果から検討
- 利用するためには専用のアプリが必要
- 入店時にアプリのQRコードをかざすだけで退店と同時に決済も完了
実証実験の結果次第では、日本の買い物事情が大きく様変わりするでしょう。
今後の動向に期待が高まります。