「NFT」をご存じでしょうか。数億の価値を持つNFTの取引が、たびたびニュースになっています。しかし、そもそもNFTがどういったものなのか分からない方も多いでしょう。
今回の記事では、NFTについて分かりやすく解説します。
NFTの概要
NFTとは、Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略称です。仮想通貨に用いる技術を使い、データの製作者や持ち主を証明するデータです。
一般的にNFTは、アート作品やトレーディングカードといったデジタルデータに付与されます。デジタルデータの持ち主を証明するための「鑑定書」のような役割です。
NFTは、急激に普及しつつあります。
2021年3月11日に「Everydays: The First 5,000 Days」と題されたデジタルイラストのNFTが6,930万ドル(約75億円)で落札され、多くの注目を集めました。
また、同年3月23日にはTwitter創業者が投稿した世界初ツイートのNFTが、約290万ドル(約3億1,500万円)で落札されました。
NFTの優れている点は唯一性です。複製も改ざんも不可能な技術を使ったデータであるため、データの所有者を世界で唯一の存在であると証明できます。
NFTの仕組み
デジタルデータは容易に複製や改ざんが可能です。しかし、NFTは複製も改ざんもできない技術を用いています。
この章では、NFTを運用するための技術について解説します。
背景に存在する「ブロックチェーン技術」
過去の取引記録を一本の鎖のように繋げて暗号化し、全ての記録を保持するための技術が「ブロックチェーン技術」です。ひとつの記録を改ざんするためには他の記録も全て改ざんする必要があるため、改ざんが困難な安全性の高い技術です。
また、ブロックチェーン化された取引記録は「分散型台帳」によって管理されます。
分散型台帳とは、ひとつのデータを多くの参加者が同時に所持するシステムです。誰かがデータを改ざんしても、他の参加者のデータと照らし合わせることで容易に判別できます。
仮想通貨の一種である「イーサリアム」は、ブロックチェーン技術を用いて運用されています。
NFTはイーサリアム上で取引されるため、非常に信頼性の高いデータです。
NFTと暗号資産の相違点
NFTと暗号資産(仮想通貨)は、同様の技術を利用しています。
しかし、NFTと暗号資産には明確な違いがあります。
暗号資産は代替性トークン(Fungible Token)です。自身が持っているデータを他者のデータと交換できる、取引可能な資産とされています。現実の通貨と同じように、代替可能なデータです。
NFTは非代替性トークン(Non-Fungible Token)です。自身が持っているNFTは他者のデータとは違う、世界に唯一の資産とされています。現実の芸術品と同じように、代替不可能なデータです。
なぜNFTが注目を集めているのか
NFTの優れている点を紹介します。
唯一無二の価値を持つ
NFTを付与することで、データの所有者を証明することが可能です。
所有者は世界にただ1人であり、ブロックチェーン技術によって改ざんも複製もできません。
デジタルデータに対する持つ唯一無二の価値を証明できるため、デジタル資産として注目を集めています。
誰でも購入できる
インターネット上に口座を用意するだけで、誰でもNFTを売買できます。
取引の気軽さも、NFTが普及した理由のひとつです。
さまざまな情報を付与できる
NFTにより、所有権や製作者を証明できます。
また、二次流通(再販売)の際に、製作者にマージンが付与されるようにも設定できます。
NFTはデータであるため、その他にもさまざまな情報を付与することが可能です。これから、より多くの活用方法が見いだされる分野です。
NFTの注意点
NFTは非常に新しい分野であるため、多くの注意点があります。ひとつずつ紹介します。
法律が未整備
既にインターネット上に発表されている他人の作品を盗用し、オリジナルのNFTとして販売する行為が後を絶ちません。
著作権や購入者の権利が法的にどのように解釈されるのかは未だに曖昧なままです。トラブルが起こった際の対処方法も確立されていません。
「ガス代」が必要
仮想通貨であるイーサリアムを取引する際の手数料が「ガス代」です。
ガス代は取引が活発になるほど高騰します。仮想通貨の取引に加え、NFTの取引も加熱しているため、ガス代は高騰する一方です。
出典:Etherscan「Ethereum Average Gas Price Chart」
環境問題
仮想通貨やNFTに関するデータはブロックチェーン技術により暗号化されています。暗号化されたデータの認証や、取引するためには莫大な計算(データマイニング)が必要です。
昨今、データマイニングによる環境への影響が懸念されています。
データマイニングについて
データマイニングには、パソコンやサーバといった電子機器を使います。そして、電子機器には電力が必要です。そのため、データマイニングは電気料金の安い地域で行われます。
電気料金が安価である中国では、盛んにデータマイニングが行われていました。そして、データマイニングに必要な発電のために、大量に石炭が採掘されました。
石炭による火力発電は、大量の二酸化炭素を発生します。環境への影響を危惧した中国政府は、国内のデータマイニング業者に対して取引を制限する圧力がかけられました。
データマイニングによる環境問題は、既に無視できない規模になっています。
まとめ
NFTは2021年から流行を始めた新しいコンテンツです。非常に多くの注目を集める一方で、法整備や価値が不安定である側面もあります。
NFTを利用する際には、データの真贋やガス代といった情報を集めてから臨むとよいでしょう。
リノベーションは新しく価値を追加する場合に使います。