Appleは2021年秋に「iOS15」をリリースしました。そして、iOS15と共にリリースされた新サービスが「iCloud+」です。
従来のiCloudストレージから何が変わったのか、変更点や新機能を紹介します。
新有料サービス「iCloud+」とは
Appleは以前から自社クラウドサービスの「iCloud」を公開しています。
iCloudには3段階の有償プランがあり、月額料金に応じて利用できるストレージ容量が増える仕組みでした。
しかし、iOS15と共に公開された「iCloud+」によって、さまざまな新機能を盛り込んだ複合的なサービスに進化しました。
料金は以前と変わらず、使用できる容量も据え置きです。
そのため、以前からiCloudの有償プランを利用していたユーザーは、自動的にiCloud+にアップグレードされています。
以下の項目で新機能を紹介します。
魅力たっぷりの新機能を紹介
iPhoneのみならず、Appleの製品がより便利になる機能ばかりです。
下記で、ひとつずつ紹介します。
iCloud プライベートリレー
「VPN」というネットワークサービスによく似た機能です。
VPNとは、利用者の情報を秘匿するためのネットワークサービスです。
普段インターネットを利用する際には、アクセスしたいサーバに自身の情報(IPアドレス)を開示し、情報をやり取りします。
アクセスしたサーバには利用者の情報が保存されますが、不正アクセスによって利用者の情報を奪われる危険性があります。また、フリーWiFiを使っている場合は通信内容を「盗み見」されることも。
こうした事態を避けるためのネットワークが「VPN」です。秘匿、暗号化されたネット回線を使い、一度専用のサーバを経由して目的のページにアクセスすることで、情報漏えいを防ぐことができます。
ただし、VPNはサーバを経由する際にどうしても「ログ」が残ります。利用者の情報と、どこにアクセスしたのかという情報です。
高価なVPNサービスはログが保存されないことをウリにしているものの、仕様上どうしてもログが残ってしまいます。
「iCloud プライベートリレー」は、ログの問題を解決しました。
非常に安価で安全なネットワーク回線を利用できるプライベートリレーは「VPNキラー」と呼ばれるほどに優秀なサービスです。情報漏えいの対策を行う際に、とても心強い味方になります。
ただし、利用者の情報が秘匿されるからといって、誹謗中傷行為を行ってはなりません。日本国内で、誹謗中傷に対して厳罰化する気運が高まっているからです。
警察からの要請であれば、Appleとその提携先も情報を開示します。VPNよりも手間はかかるものの、犯罪捜査であれば利用者は特定されます。
メールを非公開
一般に「捨てアド」と呼ばれるものに近い機能です。
例えば、ショッピングサイトに会員登録をするとき。登録時に使用したメールアドレスに、メールマガジンや特売情報などが大量に届く場合があります。メールマガジンの解除方法も複雑であることが多く、煩わしく思う方も多いのではないでしょうか。
「メールを非公開」では、新しいメールアドレスを生成することができます。
アドレスそのものはランダム生成で、自分で設定することはできません。しかし、とても簡単に生成することが可能で、消去もできます。
生成したメールアドレスに対して送信されたメールは、iCloudに登録したメールアドレスに転送されます。そして、Apple標準のメールアプリで一元管理することが可能です。
カスタムメールドメイン
すでに自由に扱うことのできるドメインを所有しているユーザー向けの機能です。
ドメインさえあれば、自由にメールアドレスを作成し、一元管理できます。
ドメインを所持していなければ使えない機能ですが、サイトの運営を行っているユーザーにとってはとても魅力的な機能です。
興味のある方は、Appleのページを参考に導入してみてください。
HomeKit セキュアビデオのサポート
Appleが展開する「HomeKit セキュアビデオ」を、簡単に管理できる機能です。
HomeKitとは、Appleによる「スマートホーム」のための機能、規格です。Homekitに対応した製品は、iPhoneのホームアプリから簡単に管理できます。このHomeKitに対応した防犯カメラが、HomeKit セキュアビデオです。
iCloud+に登録することで、セキュアビデオ対応カメラの映像を過去10日分までさかのぼって視聴することが可能です。
セキュアビデオの映像は暗号化され、自分と共有したい相手以外は視聴できません。
登録できるカメラの数は料金プランによって違います。一番安価なプランでは1台のみ、一番高価なプランでは無制限です。
セキュアビデオを使う場合は、使用する台数に応じてiCloud+のプランを決定することになります。
プランごとの違い
iCloud+には3段階の料金プランが用意されています。一部の機能は料金プランに応じて制限がかかります。
以下の表に各料金プランの特徴をまとめました。
月額料金 | 130円 | 400円 | 1,300円 |
ストレージ容量 | 50GB | 200GB | 2TB |
iCloud プライベートリレー
(ベータ版) |
どのプランでも利用可能 | ||
メールを非公開 | |||
カスタムメールドメイン | |||
HomeKit セキュアビデオのサポート | 最大1台 | 最大5台 | 無制限 |
最大5人の家族間で共有可能 |
どのプランにも共通していることですが、iCloud+の機能は最大5人の家族間で共有できます。
次の項目で、プランごとの違いを詳しく解説します。
ストレージ容量
料金プランによって大きく変動します。
月額130円の最安プランでも50GBと、十分な容量を備えています。月額1300円のプランにアップグレードすると、2TBもの容量を自由に扱うことが可能です。
料金は10倍ですが、容量は40倍です。多くの容量を必要とする場合は、高いプランにしたほうがよりおトクにサービスを利用できます。
HomeKit セキュアビデオのサポート台数
料金に応じて、1台・5台・無制限と3段階のサポートが用意されています。
ストレージ容量同様、必要とする台数によってプランを選択してください。
「iCloud+」へのアップグレード方法を解説
新しくなったiCloud+は、とても簡単に導入することができます。
今回は例として、iOS15を搭載したiPhoneでアップグレード方法を解説します。Appleの解説サイトもあわせてご確認ください。
まず、ホーム画面にある「設定」をタッチします。
次に、上部に表示される「Apple ID、iCloud、メディアと購入」と書かれた場所をタッチしてください。
続いて表示される画面から「iCloud」を選びます。
次は「ストレージを管理」です。
さらに「ストレージプランを変更」を選択してください。
iCloud+について、情報が表示されます。
「iCloud+にアップグレード」をタッチすることで、登録画面に移行します。
使用しているiPhoneによって異なりますが、Touch IDもしくはFace IDの認証が必要です。
IDを認証すると「サブスクリプションの確認」というメールが届きます。
以上の手順を行うことで、iCloud+のサービスを利用できます。
また、同様の方法でより上位のプランにアップグレードすることも可能です。
「iCloud+に追加料金なしでアップグレードされました」というメールが届いたら
iCloudユーザーに届いたメールです。
一見スパムメールのようにも映るメールですが、きちんとAppleから送信されたメールです。
以前からiCloudの有償プランを利用していたユーザーは、新しく「iCloud+」がスタートした際、自動的にiCloud+にアップグレードされました。アップグレードの際に送られた通知メールが「iCloud+に追加料金なしでアップグレードされました」というものです。
不具合や警告のような連絡ではないため「iCloud+に追加料金なしでアップグレードされました」というメールが届いても、これまでどおりiCloudを利用できます。もちろん、iCloud+の新たな機能を使うこともできます。
まとめ
新しい「iCloud+」は、以前のiCloudサービスから料金が据え置きにもかかわらず、多くの新機能を使うことができます。
特に、ランダムなメールアドレスを生成できる「メールを非公開」は、便利に感じるユーザーも多いでしょう。
iPhoneユーザーのみならず、Apple製品を利用する方にはとても魅力的な新サービスです。安価で導入できるため、ぜひ利用してみてください。