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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2019.10.09
2019.10.09

Amazon発表会の隠れたサプライズはこれでした。Amazon版LPWA「Sidewalk」って?

記事ライター:Yuta Tsukaoka

今年のAmazon新製品発表会はサプライズに溢れてました。

昨年話題をかっさらった電子レンジから一歩進んだ「Amazon Smart Oven」はもちろん、メガネ型のアレクサ搭載端末「Echo Frames」に、指輪型の「Echo Loop」には驚いた人も多いことでしょう。

しかし!

実は今回のAmazon発表会でいちばんのサプライズはこれらではないんです。

とっっても地味な内容ですし発表会での扱いもガジェットの新製品と比べると小さなものでしたが、世の中へのインパクトではもっと大きなものがありました。

AmazonメイドのLPWA規格「Sidewalk」

※画像はイメージです

それが、Amazonが開発したLPWA規格である「Sidewalk」です。

LPWAは「Low Power Wide Area」の略で、携帯電話回線並みの長距離通信が可能で、かつ、Bluetooth並みかそれ以下の消費電力で動作する通信規格のこと。

有名どころだと、フランス企業が開発した「SigFox」や、ソニーが開発した「エルトレス」などがあります。

LPWAはその特性上、通信可能なデータ量がものすごく小さいので、いわゆる携帯電話回線のようには使えません。貨物のトラッキングや、忘れ物防止タグなんかによく使われています。

そんなLPWAの新しい規格をAmazonが発表したのです。

まずはドッグトラッカーから

Amazonはこの新しいLPWA規格について詳細な仕様はまだ公表していませんが、大きなヒントを出してくれています。

それが、Sidewalkと一緒に発表した「ドッグトラッカー」です。

Sidewalkを採用した最初の製品として北米で来年の発売を予定しているこれは、飼い犬につけるガジェットで、一定の範囲外に犬が出ると飼い主にアラートを出してくれるというもの。

ここかわかるのは2つ。

1つめが、位置情報を取得できる通信規格であること。2つめは、LPWAとしては珍しく個人向け製品を中心に展開するであろうということです。

LPWAは、非常に限られた帯域幅で小さなデータ(一度の通信で数十バイト程度が一般的)を扱い、しかも消費電力を抑えるために通信の回数も制限していることがほとんどです。

なので、必然的ににコンパクトな仕様になることが多いLPWA規格の常識に当てはめれば、AmazonのSidewalkは位置情報の取得をメインの機能に据えているとみていいでしょう。

次に、そのほとんどが業務用に使われているLPWA規格には珍しく、第一弾製品が個人向け製品であることから、Amazonは個人ユーザー向けにSidewalkを導入した製品やサービスをリリースしていくつもりであることが伺えます。

この二つを合わせて考えると、今後の新製品がなんとなく、みえてくるような気がしませんか?

異例中の異例といえる発表の真意は?

画像はイメージです

この発表は、ふたつの意味で「異例中の異例」でした。

1つめは、すでに解説したとおりLPWA規格が「一般向け」の製品を掲げて発表されたこと、もう1つは、通信会社ではないAmazonがそれを発表したことです。

つまり、AmazonはSidewalkを使った一般向けのサービスや商品を、自社のビジネスの範囲内で使おうとしています

このことと合わせて考えるべきAmazonの動きは、商品配達の「ラストワンマイル」を埋めるテクノロジー開発を盛んに行っていることと、今や世界最大規模のクラウドサービスであるAWSの存在でしょう。

「ラストワンマイル」の効率化を推進するために

ラストワンマイル、つまり「商品が消費者の手元に届く直前」の部分をAmazonはより効率化しようとしています。
日本国内では、最近発表された「アマゾン ハブ ロッカー」が記憶に新しいですね。Amazon専用の宅配ボックスのようなもので、再配達の手間を減らそうとしています。

また、ドローンによる配達「Prime Air」も発表済みです。

そのくらい、物流における「ラストワンマイル」の効率化は業界全体の過大なのですが、そこへAmazonがSidewalkのテクノロジーを応用することは間違いないと思われます。

たとえば「置き配」した荷物の盗難防止、Prime Airのドローンや今後リリースされるであろう配達ロボットの規定外の動きを検知するために使えそうです。

AWSによるプロダクト開発

クラウドサーバーとして世界最大規模になったAWS(Amazon Web Service)と組み合わせて使えるとなれば、さらに応用の幅は広がります。

たとえば、Sidewalkの通信プロトコルをAWSでも扱えるようにすれば、認定パートナーなど一部のデベロッパーから始めていき、多くのSidewalkを利用したプロダクトが開発されることは間違いありません。

保安上の理由からLPWAの多くはその開発企業が認定パートナーのみにプロトコルを開放する閉じた仕様であることがほとんどなので、AmazonがAWS上でそれを扱えるようにすれば一気に広まるでしょう。

忘れ物トラッカーを製造するメーカーが増えることは間違いなく、さらにさまざまなプロダクトが開発されるはずです。

つまり、私たちの未来へのインパクトで言えば、Alexa搭載のメガネや指輪なんておもちゃ同然。Sidewalkこそが今回の発表会でもっとも注目すべき「目玉」だったわけです。

 

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