「スマートシティ」という言葉はあまり耳馴染みがないですよね。スマートシティとはその名の通り、街全体をスマート化することで、エネルギー消費の効率化やITによる先進的な生活スタイルを確立しようとするものです。
今回はスマートシティの役割や国内外の自治体の導入事例などを中心に詳しく紹介していきます。
スマートシティとは? IoTで豊かになる街
スマートシティとは、テクノロジーの力によって電力消費量を効率化し、便利な暮らしを実現することを目的に作られた街のことをいいます。
スマートシティの「スマート」とはスマートフォンに使われている単語と同じで、「賢い」という意味を表します。エネルギー消費の無駄を排除し、人間にとっても暮らしやすい街をつくるためにはスマートシティの考え方が必要不可欠。そのためには、IoTやAIといった技術が要となります。
これまでITといえば、特定のデバイスやサービスについて革新的な製品が生まれたり、業務に活かして生産性を向上させることが主な目的とされてきました。しかし、このスマートシティという考え方は特定のデバイスやシステムといった枠組みにとらわれず、街全体をスマート化するという壮大な考え方によって提唱されたものです。
スマートシティの考えが生まれた背景には、増加し続ける世界の人口があります。現在世界の人口は約70億人。しかし、数十年後には世界の人口は100億人にも迫る勢いを見せており、より高効率な社会の仕組みをつくることが重要です。
スマートシティの仕組みと技術
スマートシティを実現するためには、さまざまなテクノロジーを組み合わせた仕組みが必要不可欠です。
なかでもスマートシティの大きな目的である電力消費の最適化のために「スマートグリッド」は欠かせない仕組みのひとつ。これに加えて、街全体をネットワークで繋ぐ技術も重要となります。
スマートグリッドの仕組み
そもそもスマートグリッドとは、街全体の電力使用量を把握し、適切な量の発電を可能にして無駄を排除することが最大の目的です。
これを可能にするためには、まずは街ごとの電力使用量をリアルタイムに計測できるシステムが必要となります。もちろん、通常の電力メーターにはこのような仕組みはなく、各家庭を一軒一軒回って使用量を確認しなくてはなりません。
そこで重要となるデバイスが「スマートメーター」とよばれるものです。スマートメーターとは電力使用量をネットワークで伝送できる機能を備えたデバイスで、地域を管轄する電力会社に使用量の情報をリアルタイムで送ることができます。これによって電力会社は該当エリアの電力使用量を予測し、適切な量の電力のみを発電することが可能になります。
これまで電力会社は、ピーク時の電力使用量を基準に発電量を決めていました。しかし、スマートメーターが普及することで電力使用量がリアルタイムで確認でき、よりフレキシブルな予測が立てられるようになります。発電の無駄がなくなることによって、CO2排出量の削減や電気代の単価も減らすことが可能になります。
ネットワークの仕組み
スマートメーターによって計測された電力使用量のリアルタイムデータは随時電力会社に送られることになりますが、ここで重要となるのがネットワークです。一口にネットワークといってもさまざまなタイプの接続方式があります。
スマートメーターに接続するネットワークは、安定的な接続が可能な光回線を使用するケースが多いです。スマートメーターの位置状況によっては回線の取り回しが難しいケースもあり、そのような場合は携帯電話用ネットワークの使用もあり得ます。
国内のスマートシティ事例