全く新しい炎の検知システムを搭載
従来の火災報知機やスプリンクラーなどの消火装置はほとんどのものが熱感知式のものでした。火災が発生しても設定温度に達するまでは反応せず、その間に炎が広がってしまうこともありました。
その点、ケスロボは熱ではなく、赤外線カメラの画像検出技術と紫外線検出技術を組み合わせて炎を感知するシステムです。室内の温度が高温に達する前に炎を感知するので、従来の熱感知式の消火装置よりも素早く初期消火活動を行うことが可能です。
まず、火種を発見すると、ケスロボに搭載されているカメラが炎に視点を向け、炎の様子を監視します。
炎の大きさが設定された基準を超え、ケスロボが危険だと判断すると消火剤を噴射するという消火システムです。炎の大きさはあらかじめ自由に設定できる仕組みなので、部屋の使用環境に合わせて細かい設定ができる点も優秀です。
一定時間内の閾値で炎の危険性を判断するため、調理の際に使用するガスコンロの火や、キャンドルの炎などには反応しません。
ケスロボのココが凄い!
従来の消化器は人の手が必要でした。一般的に設置されているものは大きさもかなり大きく、使用の際にはある程度の力が必要になることから、小柄な女性や高齢者の方には使用しにくいという一面もありました。
また、普段使用しないため、使用方法がわからず火災の際に使用できなかったという例もあったようです。その上、火災は通常体験することのない突発的な事故でもあるため、動揺してしまって正しく使用できない、噴射できても消火するまでには至らないという状態も少なくないといいます。
ケスロボは炎の検知から消火剤の噴射まで、全て人の手は借りずに自動で行います。炎を発見し消火を行う場合には、モーターの力で安全ピンを抜き、炎に狙いを定めてピンポイントに消火剤を発射します。
また、ケスロボは消火作業を行うだけでなく、現場の様子を撮影し、あらかじめ登録された連絡先にショートメールと電話で火災現場の状況を連絡します。
火災は緊急性、危険性が高いので、ショートメールのみでは気付かれない可能性もあることから、緊急通知を兼ねて電話での連絡を取り入れています。ネット環境のない場所にいても通知が届くので安心ですね。
今回販売されるケスロボ初号機には搭載されていませんが、将来的には自動でバージョンアップできるようになるとともに、ミニPCを搭載し、火災検知から消火までの様子を録画できるようになるということです。今後の進化していくケスロボにも期待できそうですね。
今後増えていくとみられる高齢者の一人暮らしや無人管理の店舗などに
今後、日本では高齢化社会が進み、高齢者の一人暮らしも増えていくと見られています。在宅介護や高齢者が介護をする、いわゆる“老々介護”も増加していくでしょう。
火災による死者は65歳以上の高齢者が多いといいます。身体能力や判断力の衰えから、火災の発見そのものの遅れや逃げ遅れなどが影響していると考えられています。
近年のマンションなどは気密性が高く、火災が発生してもかなり室内に炎が広がった状態になるまで隣人が気付かないことも多いと言います。こうしたことから考えても、火災発生直後の初期消火がいかに重要なのかが窺えます。
ケスロボは24時間365日火災を監視し、火種を発見すると自動で消火を行うため、特に高齢者の住まいでは心強いですね。家族はもちろん、家族が離れて暮らしている場合は近所の方を登録しておくことで地域での見守りも可能になり、地域単位での防火対策にも有効です。
また、閉店後に無人になる店舗や無人化された工場などの設置も視野に入れているとのこと。24時間警備員を入れるとなるとかなりの高額な人件費が発生しますが、ケスロボなら初期費用のみで24時間火災を監視してくれるので、コストパフォーマンス的にも優れているといえるのではないでしょうか。
異業種との連携にも力を入れており、特殊な消火用ガスボンベを搭載したり、水道管と連結したりするカスタマイズも可能で、工場の業種によっては消火剤の種類を変えるなど、細かな顧客ニーズにも対応できます。
現在、一般的な消火設備であるスプリンクラーより早い段階での初期消火が可能であり、無人でも自動で消火してくれる上、登録先には緊急連絡をしてくれるケスロボ。まずは販売から開始ですが、今後はリースやレンタル契約も視野に入れていくとのことです。
よりお手軽な値段で使用できるとなれば、一般家庭にも浸透しやすくなりますね。これからの時代の新しい消火システムとして、ケスロボはかなり期待できそうな存在です。