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スマートホーム(スマートハウス)の記事 2019.02.14

だからIoTは面白い。パナソニックで「枯れた」技術が見事に再生していた

記事ライター:Yuta Tsukaoka

PLCという名前に聞き覚えは?

PLCアダプターの製品画像
(画像引用元:Panasonic)
https://panasonic.jp/p3/p-db/BL-PA100KT.html

「PLC」という通信方式の名前を聞いて「あ〜、懐かしいね!」と声が漏れそうになる読者はいるだろうか。iedgeには一定数、そういった読者がいるだろうと確信しているのだが、きっと私と同年代かそれ以上の年季の入ったテックギークたちだろう。

私がその名前を初めて聞いたのは、学生時代 ――もう15年近く前に家電量販店でバイトしていた頃だ。あそこは私にとって夢の様な職場で、毎日入荷される新製品について同僚たちと語り合ったことを懐かしく思い出す。

PLCもそういった「目新しい」製品のひとつだった。

パナソニックが“それ”を発売したのは2006年。当時はまだWi-Fiが遅く、宅内ネットワークを有線で構成している家庭も多かった。そして、Wi-Fiに対応した製品もまだそれほど多くなく、Wi-Fiカード(これも懐かしい言葉だ)をオプションとしてPCに挿すことのほうが多かったと記憶している。

そんな中、パナソニックの発売したPLCアダプター「BL-PA100KT」は、家庭のコンセントを通じてネットワークを構成するというのだから驚かされた。とても革新的に思えたものだ。2階建て以上の家では皆、配線の取り回しにひどく苦労していた時代に、コンセントのある部屋ならどこにでもネットワークを引くことができたのだから。

しかし、その後はWi-Fiの新規格が生まれるごとに速度が上がり、価格も安くなったことで衰退していった。また、PLCに特有のノイズ問題、そしてスマートフォンなどイーサネットポートを持たないネットワーク機器が普及していったことも、その一因だっただろう。

話題を振りまき、一瞬で過ぎ去る。いまでも日常的に見られる「革新的なガジェット」の行く末をそのまま体現した存在として語り継がれている製品である。

 

しかしいま、PLCアダプタの新製品が発売されている

「new」「old」と書かれた表札

ここまで読んで、あの昔懐かしい頃を思い出しているところに悪いのだが、びっくりするニュースがある。なんと、PLCは10年の時を乗り越えて新製品が生まれているのだ。

メーカーはもちろんパナソニック。発売も実は2018年3月なので1年以上前になる。しかし知らなかった読者が多いはずだ。BtoB製品として世に出ているからである。

かつての衰退を招いたノイズ問題は解決し、大型の工場、ビル、ショッピングモールで活躍している。今度、大型デパートに行く機会があればよく見てみるといいだろう。レジ周辺にPLCアダプタが見つかる可能性が高い。

 

なぜいま「PLC」なのか?

IoTのイメージ画像

IEEE802.11 ac/nのような高速Wi-Fi規格が完全に普及しきっているいま、なぜPLCに需要が生まれているのだろうか。その理由のひとつが、IoTの普及である。

さきほど、レジ付近にPLCが見つかるはずだと書いたが、いまのレジはすべて「IoT機器」である。POSデータを本部に送るネットワークを備え、在庫情報と連動する。そういったものを安定運用するのに、Wi-Fiは向かない。

縦に長いビルの構造、そして複雑な売り場構成、なにより多くの人が手に持っているスマートフォン。これらすべてがWi-Fiを利用するには徹底的にアゲインストな状況と言ってしまっていいだろう。

しかし、電源コンセントならフロア中のいたるところに設置されているし、それらを集中管理する配電盤にPLCアダプターを設置すれば一括で管理することもできる。有線なのでWi-Fiのように干渉することもなく安定した運用が可能だ。

活躍の場はデパートだけではない。オフィスビルの入退室管理、自動施錠装置、IC方式のタイムカード、工場に置かれる無数の機械類。これらすべてがインターネットに繋がる時代にはWi-FiよりもPLCが適しているのだ。

この老兵の見事な復活には涙が流れそうにすらなる。

IoTの主戦場は実は家庭ではなくて産業の場であることは、これまでの記事でもいくどとなく触れてきた。その一端を物語るエピソードだ。

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