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スマートホーム(スマートハウス)の記事 2019.01.15

2019年に「ホームIoT」がキャズムを越えるために必要なこと(後編)

記事ライター:Yuta Tsukaoka
alyssa.play

前編ではユーザーの利用シーンから、後編ではサポート体制から

ノートPCで作業中の男性

この記事は、同タイトルの前編の続きである。

前編では、AIディスプレイの普及と無電源センサーがホームIoT普及のキーになると解説したが、後編ではユーザーの利用シーンから離れてビジネス的にどう成功させるかという話にフォーカスしたい。
 

ホームIoTビジネスは儲かるのか

スマートフォンで家を管理する様子

先日、東京ビッグサイトで開催された「AI・スマート住宅EXPO」に行ってきた。消費者向けではなく住宅メーカーや不動産デベロッパーを対象としたイベントなので、出展しているIoT関連企業もアパートやマンションの価値向上を謳っているところが多かった。

ここで重要な問題がある。ホームIoTビジネスが儲かるのかどうか、だ。いかに私たちが使いやすいホームIoTのあり方を考えたところで、ビジネス的に成功しなければ普及するはずもない。

この点について、匿名を条件に、あるIoTガジェットの販売代理店から話を聞くことができた。

この販売代理店(以下、A社)は、Amazonなどを通じた個人向けのIoTガジェット販売以外にも、集合住宅向けに月額1,000円程度でIoTガジェットのレンタルサービスを展開している。これは冒頭でも書いたように、不動産価値向上のためのサービスである一方、ホームIoTの利便性を感じてもらうための啓蒙的な活動でもあるという。

ビジネスの仕組みとしては、A社が国内で独占販売権を持つホームIoTガジェットシリーズ(各種センサースマートリモコンスマートプラグといった一連の製品)とAIスピーカーをセットでリースすることで1戸につき月額1,000円程度を継続課金してもらうという、シンプルなものだ。

しかし、一式をリースするとなると3年以上の契約継続でないと利益が出ない。また、機器トラブルによる修理、交換対応、電話サポートなど周辺サービスでの出費もあり、収益化するは「正直に言うと、難しいところ」だそうだ。だからこそ、ビジネスゴールとして「ホームIoTの啓蒙」というファジーな目標を設定し、事業化しているのだろう。

担当者は「弊社のIoTガジェットが導入された住宅に数年住む、または友人宅として訪れたときに便利さを感じていただいて、その後にご自身で購入いただけると嬉しい」と話した。

 

ホームIoTサポートに活路があるか?

電球を交換している女性の手元

ホームIoTに使われるガジェット類は、見慣れた家電製品の見た目をしつつもそのバックグラウンドにはシステムが動いている。

スマート照明ひとつをとっても、電球の中にはライティングデバイス(LEDなど)以外に、Zigbeeの通信ユニットがあり、スイッチ制御チップも入っている。なので、これまでの電球と同じように「ぱちっ」とスイッチを入れれば点くというものでもない。

そのため「スマート電球が点かなくなった」というとき、トラブルシューティングが複雑だ。これまでの電球であれば、まずは電球を変えてみて、それでもダメなら電気回路の故障を考えればよかった。

しかし、スマート電球が点かない場合に考えられる原因はざっと以下の9点もある。

  1. AIスピーカー側にスマート電球が登録されていない
  2. AIスピーカーのアップデートなどで一時的にスマート電球を認識しなくなっている、または設定が初期化されている
  3. AIスピーカーにトラブルがありネットワークに接続できていない
  4. Zigbeeゲートウェイにスマート電球が登録されていない
  5. Zigbeeゲートウェイのアップデートなどで一時的にスマート電球を認識しなくなっている、または設定が初期化されている
  6. Zigbeeゲートウェイにトラブルがありネットワークに接続できていない
  7. 宅内LAN全体に障害がありAIスピーカーとZigbeeゲートウェイがネットワークに接続できていない
  8. スマート電球のZigbeeユニットかスイッチユニットに障害があり信号を受け取っていない
  9. スマート電球のLEDが寿命を迎えている

これらを適切な順序で確認し、最短で原因にたどり着くのは至難の業だ。しかも、これはスマート電球に限った話ではなく、あらゆるホームIoTガジェットに言えることだし、センサーによって動作させているならさらにトラブルシューティングが複雑化する。

その点を考えると、ホームIoTガジェットの提供元を1社に限り、専門のスタッフによるサポートを受けられる体制には需要があるだろう。

結局、利便性が理解されていないのが問題

話し合っている二人の男性

しかし、サポート体制があるなら使ってみたいというのは楽観である。多くの人は、サポート体制を必要とするような電球に興味などない。

つまり「自動で照明が点く」という以上の利便性の提供が必要だ。その点は先ほどの話を聞くことのできたエキスポの出展各社も理解していて、多くの販売代理店、デベロッパーは独自の付加価値を提供していた。

たとえば、「ロケーションフロア」のトッパンは体組成計機能を組み込んだIoT建材を開発している。また、一定期間、ホームIoTガジェットがオンにならなければ離れて暮らす家族に通知を送るというような「見守り」の方向性も多い。

つまり、ホームIoTが普及期に入るためには、私たちのようなテックギークが大好きな「自動化」を全面に押し出すのではなく、「健康」「見守り」のような時流にあったキーワードを押し出す必要があるのだ。

 

まとめ:2019年がホームIoT元年になるために

スマートホームのイメージ画像

前後編に渡って長文を書いてきたが、私の結論はいかにまとめられる。

まず、ホームIoTには自動化以外の利便性提供が必須で、操作を簡単にするためのAIディスプレイをセットで導入してもらう。

また、できる限りホームオートメーションに近づけるため各種センサーを活用したホームIoTのあり方を広め、同時に無電源センサーの可能性を考える。

さらに、スマート電球を始めとした各種ホームIoTガジェットをセットで提供しながらサポート体制を整えたサービスが必要。

ホームIoTの素晴らしさを知っている私としては、ぜひとも今年こそ世の中に普及してほしいと願ってやまない。

<このライターの記事をもっと読む>
3万円でホームIoTをはじめる!おすすめガジェット5選(前編)
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