Googleの混沌がひとつ整理された
Googleの特徴のひとつに、サービスが混沌のなかで未整理のまま放置されているという点がある。
たとえば、コミュニケーションツールだけでも「ハングアウト」「Allo」「Duo」があるし、SNSは「Waze」「Google+」、メールツールは「Gmail」とその進化版として登場した(そしてGmailが進化して機能の差がなくなってしまった)「Inbox」がある。
機能が重複したサービスをそのまま生かしているのは、それぞれのサービスから生まれる新たな発明を次のサービスに活かすためだろうと多くの人が予想しているが、なかなかその恩恵にはあずかれない。
そんな中、ニュース系のサービスとしてこれまで存在していた「Google ニュース」と「ニュースと天気」そして「ニューススタンド」が統合され「Googleニュース」となった。(それぞれのアプリは今のところ存続しているが、機能としてはGoogleニュースが完全に継承し、進化させている)
AIがニュースを「まとめ」てくれる
このGoogleニュースの特徴的な機能のひとつが、AIによるニュースの「まとめ」だ。
「すべての記事を表示」をタップすると、同じニュースをソース別に表示してくれる。
これが、AIによるまとめである。
ユーザーの好みや重要度に従ってGoogleのAIが集めてきたニュースから、同じ話題を扱っているものを自動で判別してまとめてくれている。
テクノロジーであれば「Engadget」や「Gizmodo」「IT media」などが同じニュースを扱うことは珍しくないが、切り口が違ったり取材ソースが違ったりと記事の中身は異なることが多い。
たとえばこれが政治や経済のニュースであれば、ニュースソース(おもに新聞系ウェブメディア)によって取り上げ方がまったく異なることに気がつくだろう。
AIによる「より良い世界」の第一歩
私達がウェブでニュースを見るようになってから久しい。
新聞やテレビニュースといったマス媒体だけでなく、ウェブ専業のニュースサイトもずいぶんと増えてきて、ニュースを「選ぶ自由」が私達には与えられている。
しかし一方で、賢明な読者は気づいているだろうが、私達は「ニュースを選ばされている」という側面も忘れてはならない。
自分にとって重要度の高いソース、興味のあるソースだけでなく、SNSやニュースアグリゲーションツールによって「あなたをターゲティングしている」ソースのニュースも読まされているのだ。
ニュースの「切り口」がそれぞれの発行主に一任されていることは間違いないが、受け取り側としてはニュースの捉え方を強制されている可能性を考えなくてはいけないだろう。
その危険性を考える上で今回のGoogleニュースのリニューアルは重要だ。
同じニュースで複数のソースを横断する見方を提供してくれるサービスは多くないし、AI技術で世界の先端を行くGoogleがそれを提供している意味は大きい。
AIによって私達にもたらされた自由の一片がここにはある。
にわかには信じられないが、2+2を4と言える世界をGoogleが作ろうとしているのかもしれない。