「IFA」は世界最大規模の見本市
そもそもIFAとは?という方のために、まずは簡単に解説したいと思います。
IFAは「国際コンシューマー・エレクトロニクス展」のことで、毎年9月にドイツはベルリンの“メッセベルリン”などを中心に開催される家電、オーディオ、コンピューターなどの見本市です。
その歴史は非常に古く、第1回が開催されたのが1924年とのことで、実に90年以上の歴史がある由緒ある家電見本市と言えます。
ドイツはもちろん世界中から2000社近くの企業が参加し、開発した新製品やテクノロジーを発表したり、展示したりしています。来場者も20万人を超えるほどで、CESと並んで世界最大規模の見本市とされています。
CESとは?
「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」のことで、アメリカはネバダ州のラスベガスで年に1回開かれる家電やオーディオなどの見本市です。家庭用ゲーム機をはじめ、毎年様々な新製品が発表され、商品化されています。
なお、CESは2018年1月に「CES ASIA」と銘打って中国・上海での開催が決まっています。
IFAやCESに興味がある方はぜひ、こちらの公式サイトをチェックしてみてください。
さて、閉幕したてのそのIFA2017において、ドイツの大手テクノロジー企業、Boschは画期的なX-Spectというセンサーを発表しています。
具体的にどのようなものなのか、さっそく見ていきましょう。
Boschが発表したセンサー「X-Spect」とは?
X-Spectの見た目は家電のリモコンよりもひと回り小さく、小型のハンディスキャナーやボイスレコーダーのようなデザインになっています。
普通のリモコンで言えば赤外線センサーが搭載されている辺りに特殊なセンサーが搭載されていて、例えば服にセンサーを当てると読み取ったデータをクラウドに送信して解析し、その結果がX-Spectに返送されてくるという仕組みです。
そのセンサーの測定可能範囲は0.05mm~など非常に細微で、服に当てると生地の種類も分かるほか、服に付着した汚れがチョコレートの汚れなのか?醤油の汚れなのか?口紅の汚れなのか?といったことも簡単に調べることができます。
実際にIFA2017の中でも汚れを識別するというデモンストレーションが行われ、センサーがデータをクラウドに送信して返送されてくるまでたった2秒程度だったと言いますから、どれだけ高性能であるかが分かります。
X-Spectはどんな場面で使われることになる?
例えば、服に付着した汚れの種類が分かることで、その汚れを落とすのに最適な洗浄方法を洗濯できるようになり、目に見えない汚れも検出してくれるため、放置して汚れがひどくなってしまう前に対処できる可能性が高くなります。
そのほかにも、犯罪者が残した遺留物から、何かしらの手がかりを検出することができる可能性もあります。
そして、X-Spectの特徴は汚れを読み取るだけではありません。
読み取った情報を洗濯機に送信することができますので、生地や汚れに合わせて水温、洗い方、すすぎ回数、洗濯槽の回転速度などを自動で最適化することも可能になります。
IFA2017ではこのように、主に服の汚れや生地の種類を読み取るというデモンストレーションでしたが、実はもっと高度な実用化の案も出ています。
例えば、冷蔵庫にセンサーを内蔵することで食材の鮮度チェッカーとして機能させたり、料理などの食品を直接読み取ることにより、レンジやオーブンで何度の温度で、何分加熱するかなどを自動で設定したりすることも可能になるのではと考えられています。
X-Spectの商品化は先であるものの、色々と応用できそうな優れもの
今回のIFA2017では、BoschはX-Spectを「商品として」というよりも「こういったセンサーがある」というコンセプト的な意味合いで発表したと言われていますので、具体的な商品化などはまだ決まっていないようです。
しかし、このセンサーがあることで、Boschは本業である家電やパーツなどに組み込んで全く新しい製品として発表する可能性もありますし、他社がこのX-Spectを搭載した全く新しいコラボ製品を発表してくれるかもしれません。
いずれにせよまだ先の話になってしまいますが、このようなセンサーが開発・実用化されつつあるということは事実です。
アイデア次第で色々な場面で応用がききそうなX-Spectが、いったいどんな製品となって私たちの前に登場してくれるのか、今から楽しみです。