IoTでできること
IoTでできることとは、いったい何でしょうか?IoTとはInternet of Things、日本ではモノのインターネットなどと訳されます。
あらゆるモノがインターネットに接続されて相互通信することで、地球規模の広大なネットワークの中で膨大な量のデータのやり取りが可能になり、私たちの生活に利便性や快適性を与えてくれたり、新たなビジネスを創出したりしてくれます。
“あらゆるモノ”とは文字通り“ある限りのモノ”のことで、わかりやすいところで言えば、スマホやPCに始まり、
・エアコン
・冷蔵庫
・テレビ
・洗濯機
などの家電から、
・自動車
・ドローン
・介護ロボット
など産業用の大型設備、さらには、
・食材に貼られているバーコードを活用するケース
・おもちゃ自体あるいは乾電池などを活用するケース
・植物を育てるプランターなどを活用するケース
など「こんなモノまで?」と思ってしまう“モノ”も広義でのIoT化が進んでいます。
IoTを構成する要素
まずIoT化されたそれぞれのデバイスなどに搭載されている、温度・湿度・照度・人感などの各種センサーがさまざまなデータを取得したり、カメラ・マイクなどが映像・静止画・音声データなどを取得したりします。
次に、それらのデータを、インターネットを通じてクラウド上に蓄積していきます。
蓄積されたデータはAIなどによって解析され、デバイスが最適制御されることでユーザーにパーソナライズされたレスポンスを行ったり、サービスを提供したりしてくれます。
大まかな流れですが、このように、
・データの収集
・データの蓄積
・データの解析
・最適制御
という流れでIoTは構成されていると言えるでしょう。
さて、こうした流れでIoTでは、何ができるようになるのでしょうか。ここでは一般的な住宅における例、つまり個人レベルで享受できるIoTのできることの例をいくつか挙げてみます。
・室内環境が可視化され、常に快適な生活空間を創り出してくれる
PM2.5の濃度が高くなれば空気清浄機を稼働させる、湿度や温度が高ければ冷風が流れ27℃に保つなどして、常に快適な生活空間を与えてくれるようになります。
・人物や動物などモノの動きを把握し、それに伴って録画などをしてくれる
不在時に不審な動きがあったら録画を開始してスマホに通知したり、警告音を鳴らして退散させたり、留守中の子供や高齢者を遠くから見守ることができたり、といったことが可能になります。
・最適なタイミングで植物に水を与えられる
先ほど少し触れましたが、プランターなどをIoT化することで植物の生育状態、土壌状態、水分量、光量などから植物ごとに最適なタイミングで適量の水を与えたり、光を与えたりすることができるようになります。
・健康状態を把握することができる
IoT化されたウェアラブルデバイスを身につけることで、睡眠時間、心拍数、ストレス状態、1日の活動量、消費カロリーなどを把握することができ、それに応じて必要な栄養素や摂取カロリーを計算したり、睡眠の質を改善させたりできるようになります。
このようにIoTでできることは挙げたらキリがありませんが、個人レベルで言えば、現在、株式会社NTTドコモ、and factory株式会社が共同で進めている横浜市の「未来の家プロジェクト」などはまさにそうです。
各メーカーのIoTデバイスやセンサーを設置した住宅に住むことで、あらゆる生活データを収集・解析して健康的で快適な生活空間を実現することを目指すと同時に、メーカーが異なるデバイス同士が問題なく連携するためのプラットフォーム開発などにも役立てようというものです。
企業レベルでIoTを導入することによってできること
すでに各企業は取り組みを始めていますが、たとえば工場などでIoTを取り入れると、IoTでできることはどうなるでしょうか。
工場内で消費されている電力、ガス、水、水蒸気、エアーなどのエネルギーのデータを取得および可視化することで、いつ・どの製造ラインで・何のエネルギーが・どれだけ消費しているかが把握でき、またデータをクラウドに蓄積し解析していくことで、具体的なエネルギー削減対策が練りやすくなります。
あるいは、自動車業界もすでにさまざまなIoT技術が導入されていますが、位置情報、交通情報、天気予報などのデータを取得することで、最適なルートや運転方法を案内してくれるのはもちろん、車のどこかに異常が発生した時も通知してくれることでいち早く把握することができ、事故や故障を未然に防ぐことに寄与してくれます。
また、農業ではドローンを用いた効率的な農薬散布、害獣の追い払い、農作物の生育状況の把握や最適な水やりなどによって、従事者の高齢化および人手不足の常態化という農業の課題を解決し、効率化と品質の安定化が可能になります。
AR(拡張現実)とIoTを活用する取り組みも進んでいます。たとえば紙ベースで研修を行っていた場合と比べてARを用いて研修を行った方が効率的なうえ、実際にシミュレーションをしながら対応を習得することができます。
ARを用いれば現実の風景にコンピューター上にある画像などのデータを重ね合わせることができますので、自動車事故や電車事故などを想定したトレーニングではなかなか難しい“実際の事故”を想定して体感しながら技術を習得することができるというわけです。
“IoTでできること”は果てしない
今回はIoTでできることを考えてきました。
“どんなモノ”でもIoT化することができる時代になってきましたので、ごく一例ではありましたが個人レベルから企業レベルまで実に色々なことがIoTではできるということを感じていただけたのではないでしょうか。
IoTが今後も順調に拡大していくためにはセキュリティ、通信規格、電力供給、データ解析、その他技術的な課題などもまだまだ山積で、これらの課題は一つ一つクリアしていくしかありませんが、それを差し引いても、
「あんなことがしたい」
「こんなことができたら」
それらすべてが現実となる期待を抱けるほど、“果てしない可能性”を秘めているのです。