スマートホームの導入で想定される2つのリスク
IoTの浸透によって、家庭内のネットワークに繋がるデバイスが多様化し、ネットワークの構成も複雑になってきています。私たちの暮らしにスマートホームが導入されることによって、メリットだけでなく、いくつかのリスクも想定する必要があります。
1-1 サイバーリスク
まずインターネットを活用することによって考えなければいけないリスクのひとつが、サイバーリスクです。身の回りに存在するさまざまな住宅機器をネットワークによって外部と繋げられるということは、ハッキングなどのサイバー攻撃を受ける可能性があります。
外部の人間によってハッキングされてしまった場合、自宅の空調設備をいじられたり、水道栓を勝手に止められたりするだけに止まりません。ネットワークにはさまざまな情報が隠されているため、家族の個人情報が盗まれてしまうかもしれません。
1-2 スマートホームが故障するリスク
次に製品の安全性に関するリスクです。当然、どの製品であっても、正常な動作を永続的にする保証はありません。いつどのタイミングで故障してしまうのかは、想定できないことであり、誤作動を起こす可能性も十分に考えられます。
またリコール対象となった製品などによって、火災などが発生するリスクも懸念するべき点です。気軽に遠隔操作が可能になってはいるものの、安全が完全に保障されているわけではありません。
スマートホームの責任は誰が負うべきか?
上記で示した2つのリスクを考えても、スマートホームに保険は必要不可欠です。しかしながら、その責任は誰が負うべきなのでしょうか。2017年時点において、製造元に対して機能やセキュリティを統一させる基準は設けられていません。
そこで考えられる責任者は、スマートホームを利用しているユーザー自身です。自宅に導入できるデバイスを自由に選択でき、それらを利用するorしないは本人次第ということになります。当然、リコール問題などは別ですが、ユーザー側は自らの責任のもと、さまざまなリスクを回避する必要があります。
欧米諸国における保険会社の取り組み
先述した通り、スマートホームなどのIoT技術は欧米諸国が日本よりも先んじて広く導入を果たしています。そして現地の保険会社では、そのことにいち早く着目し、スマートホームを活用した保険商品の販売などを行っています。以下で実際の例を見ていきましょう。
【Fireman’s Fund社】
アメリカのFireman’s Fund社では住宅保険にスマートホームを使用したリスクマネジメントを適用しています。居住空間に起こりうるリスクを防止・軽減するため、住宅のオートメ―ション化を顧客に対してアドバイスするなどの対応をしています。
【Allstate社】
同じく、アメリカのAllstate社では、スマートホームのモニタリング機器を提供する企業との提携を行い、それを導入した顧客には25%の保険料割引を行っています。他にも、タッチパッドや窓・ドアのセンサー、配管設備の水漏れセンサーまで無料提供しています。
【Allianz 社】
日本でも損害保険会社として広く知られているドイツのAllianz社では、スマートホームサービスを提供する企業との提携を行い、センサーとスマートフォンを連携させたホームモニタリングシステムなどを消費者に対して提供しています。
まとめ
どのような製品であっても、最低限のリスクは考えられます。それらを回避するためにはさまざまな手法が考えられますが、それを保険でカバーすることも可能です。現状ではスマートホームに関する保険はまだまだ定まっていないものの、急速に普及が進んでいる現代だからこそ、ユーザー側があらゆるリスクを想定する必要があります。