パソコンでカーソルを操作するデバイスは、マウスだけではありません。トラックボールというデバイスがあります。多くの人が使っているわけではありませんが、根強いファンがいます。人によっては、トラックボールが手放せない、というほどです。
どうしてトラックボールは、それほど根強いファンがいるのでしょうか。トラックボールについて、基本からわかりやすく解説します。根強いファンがいるのが、おわかりいただけるはずです。
トラックボールとはどんなデバイス?
トラックボールとは、パソコンのカーソルを動かすための入力デバイスのことです。
同じ役割を持つ入力デバイスとしてはマウスが一般的ですが、マウスは本体を動かしてカーソルを操作します。対してトラックボールは本体にボールがついており、そのボールを動かしてカーソルを操作するのが特徴です。マウスのように、トラックボール本体を動かすことはありません。
役割が同じトラックボールとマウスですが、その操作性は大きく異なります。
トラックボールの種類
トラックボールはボールの位置や操作方法で、大きく4種類に分類されます。
- 手のひら操作タイプ
- 人差し指操作タイプ
- 親指操作タイプ
- 空中操作タイプ
それぞれの特徴を簡単に解説します。
手のひら操作タイプ
本体の中心にボールが配置されており、手のひらを使って操作するタイプのトラックボールです。通常のマウスと形状が大きく異なるため、慣れるまで時間がかかります。
手のひら全体でボールを操作できるため、カーソルを大きく移動しやすいのがメリットです。また、左右を問わないため、左利きの人でも使えます。
ほかのタイプのトラックボールはほとんどが右利き向けなので、左利きの人は手のひら操作タイプがおすすめです。
人差し指操作タイプ
ボールが本体前方の中央に配置されており、人差し指や中指で操作するタイプのトラックボールです。ほかのタイプよりも細かい操作をしやすいのがメリットで、慣れたらカーソルを自由にコントロールできます。
ボタンの数が多くてカスタマイズ性が高いため、機能性を重視する人におすすめです。
人差し指操作タイプも、通常のマウスとは形状や操作性が大きく異なります。使う場合は、ある程度の慣れが必要です。
親指操作タイプ
本体の横にボールがあり、親指で操作するタイプのトラックボールです。一般的なマウスと形状が似ており、ボタンもマウスとほぼ同じように配置されています。
トラックボールを使ったことがない人が、最初に使うのにおすすめです。ただし、基本的に親指1本で操作するため、負担が親指に集中する点には注意してください。
空中操作タイプ
手で握って持ちあげたまま操作するタイプのトラックボールです。トラックボールのなかでも特殊な形状で、通常のマウスとは使い勝手がまったく異なります。
どちらかというと、ゲームのコントローラーや家電のリモコンに近い形です。軽量で持ち運びやすく、寝転んだままでも使えます。空中で操作するため、プレゼン中の画面操作にもピッタリです。
ほかのタイプに比べるとクセが強く、使いこなすのに時間がかかります。
トラックボールのメリット、デメリット
ここからはトラックボールのメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
トラックボールを使うメリットは、以下のとおりです。
- 省スペースでも設置できる
- マウスパッドが不要
- 画面の端から端へ素早く移動できる
- 腕や手が疲れにくい
省スペースでも設置できる
トラックボールは、省スペースでも設置できるのがメリットです。
一般的なマウスの場合、本体を動かしてカーソルを操作します。マウス本体分だけでなく、それを動かす範囲分だけスペースが必要です。
トラックボールはボールを動かしてカーソルを操作するため、本体は動かしません。本体を置く場所があればよいので、机が狭い場合も問題なく使えます。
マウスパッドが不要
トラックボールはマウスパッドも不要です。マウスパッドはマウスの動作をよくするために使いますが、サイズが大きく場所を取ります。それに、定期的に清掃も必要です。
マウスパッドは必須ではないものの、机の材質によってはマウスパッドがないとマウスがうまく動かないことがあります。
トラックボールは本体を動かさないため、マウスパッドが不要です。ボールが回りさえすればよいので、机の材質によって動きが悪くなる心配もありません。
画面の端から端へ素早く移動できる
画面の端から端へ素早く移動できるのも、トラックボールの強みです。
マウスで画面の端から端へ移動する場合、本体を大きく動かす必要があります。机が狭い場合は、マウスを動かす→もとの位置に戻す→マウスを動かす、という動作が何度も必要です。
トラックボールなら、ボールを強く回転させるだけでカーソルを大きく移動させられます。大きなディスプレイを使っている場合は、トラックボールだとカーソルの移動がスムーズです。
腕や手が疲れにくい
トラックボールは、通常のマウスより腕や手が疲れにくいのも魅力です。
マウスを操作するときは手首や腕を何度も動かすため、疲労が溜まりやすくなります。一方、トラックボールは本体を一切動かさず、指でボールを回すだけです。手首や腕はほとんど動かしません。
最小限の動きでカーソルを操作できるため、通常のマウスより疲労感が軽減されます。
デメリット
トラックボールにはさまざまなメリットがある一方、次のようなデメリットもあります。
- 慣れるまで操作が難しい
- 通常のマウスより細かい操作がしにくい
- ボール部分が汚れやすい
- 大きくて重いので持ち運びに向かない
慣れるまで操作が難しい
トラックボール最大のデメリットは、慣れるまで操作が難しいことです。
本体を動かすマウスに対し、トラックボールは本体を動かさず指でボールを転がします。操作性がまったく違うため、マウスに慣れている人だとかなり使いにくく感じるでしょう。
「仕事などで急に新しいマウスが必要になった」という状況でいきなりトラックボールを使うのはおすすめしません。時間的に余裕があるときに、じっくり慣れていきましょう。
初めて使う場合は、親指操作タイプのトラックボールがおすすめです。形が通常のマウスに似ているため、ほかのタイプより早く慣れます。
通常のマウスより細かい操作がしにくい
マウスに比べると、トラックボールは細かい操作をしにくいのもデメリットです。ボールを転がすという操作方法のため、カーソルの位置を微調整する、素早くカーソルを合わせるといった操作がマウスより難しくなります。
イラスト制作や、細かい操作が必要なゲームプレイには向いていません。トラックボールでこれらの作業がまったくできないわけではありませんが、基本的には通常のマウスを使ったほうが快適です。
ボール部分が汚れやすい
トラックボールはボール部分が汚れやすいのもデメリットです。
ボールを転がしているとボール部分にほこりや汚れが貯まりやすく、それが原因でボールの動きが悪くなります。ボールの動きは作業効率に直結するため、トラックボールを使う場合はこまめなメンテナンスが必要です。
メンテナンス頻度は使い方にもよりますが、少なくとも1週間に1回は清掃したほうがよいでしょう。通常のマウスよりもメンテナンス頻度が高く、手間がかかります。
大きくて重いので持ち運びに向かない
トラックボールは本体が大きく重量もあるため、持ち運ぶのが大変です。自宅内で持ち運ぶなら大丈夫ですが、会社など自宅以外の場所に毎日持ち運ぶのには向きません。
自宅以外で使うように、もうひとつトラックボールを購入しましょう。
トラックボールが向いている人、選ぶポイント
ここまでに解説したメリット・デメリットを踏まえると、トラックボールは次のような人におすすめです。
- パソコンを長時間使う
- パソコンデスクが小さく作業スペースが狭い
- 大型ディスプレイまたは複数ディスプレイで作業をする
パソコンを長時間使う
パソコンを長時間使う人にはトラックボールが向いています。通常のマウスより腕や手首が疲れにくいため、長時間のパソコン作業にうってつけです。
疲労軽減目的でトラックボールを利用する場合は、手のひら操作タイプか人差し指操作タイプを選びましょう。親指操作タイプはほぼ親指だけで操作するため、親指に負担がかかります。
手全体で操作する手のひら操作タイプか、複数の指で操作できる人差し指操作タイプを選ぶとより効果的です。
パソコンデスクが小さく作業スペースが狭い
パソコンデスクが小さく、広い作業スペースを確保できない人にもトラックボールがおすすめです。
マウスと違い、トラックボールは本体を動かしません。本体分のスペースを確保すれば作業できるので、パソコンデスクが小さい人にピッタリです。
自宅に大きなパソコンデスクを用意できない人が、テレワークでパソコンを使うときに大活躍するでしょう。新幹線やカフェなど、限られた場所での作業にも役立ちます。
ただし、トラックボールは本体自体がマウスより大きめです。スペースを節約したい人は、なるべく本体が小さいトラックボールを選びましょう。
大型ディスプレイまたは複数ディスプレイで作業をする
大型ディスプレイ、もしくは複数ディスプレイで作業をする人にも、トラックボールはおすすめです。
ディスプレイが大きい場合、マウスだと端から端への移動に苦労します。トラックボールはボールを大きく回転させることで、画面の端から端への移動もスムーズです。広いディスプレイでも、快適に作業できます。
カーソル移動が多い人は、ボールを大きく動かしやすい手のひら操作タイプか人差し指操作タイプを選びましょう。