介護業界ではIoT機器の導入が進められており、介護の負担を軽減する方向に進んでいます。IoT機器で高齢者をモニタリングしながら健康状態を常に把握することで、離れて暮らしていても不安を軽減できます。
介護施設だけでなく在宅介護でも導入できるIoT機器もあるため、「在宅介護を楽にしたい」「両親の介護に備えたい」という方におすすめです。いま介護業界で活躍する、IoT機器について解説します。
介護業界で進むIoT機器の普及
介護の業界ではIoT機器の普及が進んでおり、介護に関わる人の負担を軽減する流れになっています。介護業界は人手不足が深刻化しており、働く人の負担も大きいという問題を抱えていました。
IoT機器の導入によって離れていても、要介護者のモニタリングが可能になりました。常に要介護者の近くにいる必要もなくなるため、介護者の負担を軽減できます。
在宅介護でも活躍するIoT機器も多いため、離れて暮らす両親の介護にも役に立ちますし、両親の家に通う負担も減らせるでしょう。
在宅介護・高齢家族をサポートするIoT機器
在宅介護や高齢家族をサポートしてくれるさまざまなIoT機器があります。これらのIoT機器を活用することで在宅介護の負担が軽減できるため、両親の介護にお悩みの方や介護に備えたい人におすすめです。
主な在宅介護をサポートするIoT機器としては以下のようなものがあります。
- 見守りCUBE
- eお薬さん
- Dfree(ルビ:ディー・フリー)
- シルバーホンあんしんSⅥ
- Sota(ルビ:ソータ)
それぞれのIoT機器を使うことでどのようなメリットがあるのか詳しくみていきましょう。
見守りCUBE
見守りCUBEは介護用の見守りカメラで、離れて暮らしていても常に生活をモニタリングできます。
ひとり暮らしの両親を心配する方が見守ったり、薬の飲み忘れなどがないか確認したりするのに使えます。また、呼びかけ機能を使って、簡単な会話をすることもできます。
高齢の両親がひとりで暮らしているとトラブルが起きたときに対応ができないのですが、見守りカメラがあれば万が一のときでも即座に対応が可能です。
eお薬さん
eお薬さんは、薬の飲み忘れや過剰服薬を防ぐためのIoT機器です。1日最大4回までの服薬時刻を指定して、1週間分の薬をセットでき、指定時刻になると自動的に薬が押し出されて服薬を促します。
決まった時間に決まった量の服薬を案内できるうえに、薬を飲んだかどうかを家族や薬剤師に通知してくれるため、薬をちゃんと飲んだかどうかの確認ができます。
薬を飲んだかどうかを確認することで、離れて暮らしていても生活リズムの確認ができるため、異変に気づくきっかけにもなるでしょう。
Dfree(ルビ:ディー・フリー)
Dfreeは、排尿のタイミングを通知してくれるIoT機器です。尿のたまり具合をモニタリングしてくれるため、最適なタイミングでトイレに行けます。
排尿のタイミングを通知する機能があるため、失禁を避けて生活の質を上げられますし、排尿のタイミングを自分で知れるため自立支援にもつながります。
高齢になるほど排泄の悩みが増え、要介護者はトイレへ行くたびサポートを受けねばなりません。しかし、Dfreeを使うことで排尿に関するモニタリングやタイミングの通知、記録、分析ができるため、介護者の負担を軽減できるでしょう。
シルバーホンあんしんSⅥ
シルバーホンあんしんSⅥは、ボタンひとつで身寄りの方やヘルパーの方への緊急通報ができるデバイスです。
ひとり暮らしで不安がある場合でも簡単に助けを呼べるため、ひとつあるだけで非常に安心です。スイッチは小型で常に持ち歩けますし、万が一の際にも素早く対応できるでしょう。
Sota(ルビ:ソータ)
Sotaは、介護業界をはじめ、幅広い用途で使われているコミュニケーションロボットです。自然な会話を楽しめる以外にも、ほかのIoT機器との連携も可能です。
ひとり暮らしで人恋しくなる高齢者も多いですが、Sotaを通じて会話を楽しめば寂しさを紛らわせることもできるでしょう。
そのほかにも、Sotaに搭載されたカメラ機能を使えば、離れて暮らす家族でも常に見守ることが可能です。
介護業界のIoT機器には、介護業務のサポートや効率化を実現するものだけでなく、高齢者の生活をより豊かにするアプローチも採用されています。
患者の生体情報を管理するスマートベッドシステム
介護業界のIoT機器には、ベッドにさまざまなセンサーを集約して要介護者の状況をリアルタイムで把握できる製品があります。代表的なのはパラマウントベッドの「スマートベッドシステム」で、ベッドサイドでのケアだけでなく、スタッフがいないときも常に状況を確認できます。
健康状態に関するさまざまな情報がベッドサイドに集約するため、介護でのモニタリングや病気の早期発見、予防などにもつながります。
スマートベッドの価格は?自宅に導入できる?
スマートベッドは医療現場用の製品であるため、個人宅には導入できません。価格についても、導入時に見積もりを行うしくみになっているため公表されていません。
在宅介護で活用できるIoTベッド
パラマウントベッドの「スマートベッドシステム」は個人向けに提供されていませんが、介護の負担を軽減できるIoTベッドにはさまざまな製品があります。そのほかIoTを活用した在宅介護向けのベッドを紹介します。
IoTを活用したベッドには、次の3つがあります。
- 楽匠(ルビ:らくしょう)プラス
- LASHIC-sleep(ルビ:ラシクスリープ)
- ベッドde見守り隊
それぞれどのような機能があるのか詳しくみていきましょう。
楽匠プラス
楽匠プラスはベッドの角度を調整することで姿勢を安定させ、楽な体勢で生活を送れます。起きているときには上半身部分を起き上がらせて体への負担を軽減することで、家族たちとの会話がしやすくなるでしょう。
スマートフォンとの連携機能もポイントのひとつです。付属スイッチと同じ操作をスマホからできるだけでなく、快適な角度を記憶して正確に再現できます。指先でスイッチを押せない方でも、音声による操作も可能です。さらに手元のスイッチと家族のスマホを連携して、簡単に家族を呼び出すこともできます。
ベッドの角度を細かく調整できる快適さと、便利なスマホと連係した機能で介護生活をより便利にしてくれるでしょう。価格はオープンプライスです。オプションによって価格は変動しますが、ショッピングサイトでは30万円台で販売されています。
LASHIC-sleep(ルビ:ラシクスリープ)
LASHIC-sleepはベッドに設置して使えるセンサー機器で、脈拍や睡眠状態などのモニタリングができます。連携したスマホにベッドの動きを表示できるため、寝ているのか起きているのかが簡単にわかりますし、異変にもすぐに気づけます。
健康状態を常にモニタリングできるため、睡眠時などの突発的なリスクにも素早く対応できるでしょう。一般のベッドでも導入できるため、費用面の負担を軽減して導入できます。LASHIC-sleepの自宅への導入には初期費用の2万9,800円(税別)のほかに、月額費用980円(税別)がかかります。
ベッドde見守り隊
ベッドde見守り隊は、マットレスの下に設置するセンサー機器を用いて、ベッドの使用状況をスマホへ通知してくれる製品です。ベッドの背上げや出入りなどの情報をリアルタイムで通知してくれるため、離れて暮らす家族も両親の生活状況を把握できます。
通知のタイミングなどをチェックしていけば、生活リズムも把握できますし、異変があった際もすぐにわかるでしょう。利用にあたっては通信端末セット3万5,000円(税別)、ベッドセンサー3万5,000円(税別)といった機器の購入費用のほか、システム利用料2年分3万1,200円(税別)などがかかります。